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「ん……そっか」

「……優真?」

俯いたまま黙っている優真に首を傾げると、突然、身体が引き寄せられた。

「わっ……ど、どうした!?」

「ひ、ひなとぉ~~!!」

「!?!?」

訳が分からず呆然としていると、俺をぎゅうっと抱きしめたまま、優真は語り始めた。

「もう、カッコつけないで正直に言うよ……!陽斗、成瀬君と2人でなんて、どこにも行かないでくれ……!だってさ、成瀬君は僕に負けず劣らずカッコイイし、そんな彼と2人で出かけるなんて、ちょーーーー心配だよ!」

「お、おお……」

……なるほど。

優真は優真なりに、我慢してたんだな。

そう思うと、なんだか気が抜けて笑えてきた。

俺は優真の背中に手を回し、肩口に顔を埋めて話の続きを待つ。

暫しの沈黙の後、優真の静かな声が耳に響いてきた。

「けど……嫌なんだ。僕のせいで陽斗が……窮屈な思いをしたり、悩んだりするのは。ましてや、友達を作る度に嫉妬なんてされていたら、たまったもんじゃないだろう?」

「……」

(優真……)

やばい、ちょっと泣きそうになった。

なんだよ、優真ってこんなに俺のこと、想ってくれてんのかよ。

優真の気持ちが伝わってきて、嬉しくなる。

俺はついニヤけそうになり、誤魔化すように優真の胸に顔を埋めた。

「陽斗?」

「……」

耳元で囁かれるものの、俺は反応を押し殺す。

しかし……

「ひーなーと?」

「……っ」

「……好きだよ?陽斗」

「~~っ!」

もうダメだ。

俺は顔を上げ、嬉しさを隠したままキッと優真を睨んだ。

すると、優真は穏やかな笑みを浮かべて俺の頬を撫でる。

「ふふ、かーわい」

「……ばか優真」

「うん」

「……っ」

目尻に涙が滲んでしまい、俺は見られまいと、自分から優真の唇にキスをした。

「ん……」

すると次の瞬間、後ろ頭を押さえられ、ぐっとキスが深まる。

「んっ、は」

「陽斗……」

キスの合間に名前を囁かれるとドキドキする。

最後にチュッと音をさせて唇が離れると、優真はハッとした顔になり、慌てて俺を引き離した。

「マズイ……!僕の作った特製オリジナル・ボロネーゼが……!」


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