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「え……?」
腕の中で聞き返すと、やんわりと体が解放された。
そして頬に手を添えられ、真正面から見つめられる。
ドキドキしながら見つめ返すと、優真は少し照れくさそうに話し始めた。
「君が、他の人と楽しそうに話しているのを見ただけで、どうしようもなく不安になったよ。もしかしたら、陽斗は彼に惹かれているんじゃないかとか、この先、奪われるんじゃないかとか……短い時間でたくさん考えた」
「優真……そんなこと考えてたのかよ?」
「うん……考えてた」
「……」
……馬鹿なヤツ。
俺が好きなのは、優真だけなのに。
(確かに、成瀬は良い奴みたいだけど……つーか、俺はもともとゲイじゃないし、優真を好きになったのも奇跡みたいなもんだし、そう簡単には男を好きにならねぇよ)
本当に、そうなのだ。
優真は俺にとって、かなりレアな存在で、男だとか女だとか、そういう概念もどこかに吹っ飛んでしまっている。
俺はきっと、優真だから好きなのだ。
(初めて出会った時は、あんなに毛嫌いしてたのにな)
優真に初めて出会った時のことを思い出すと、ちょっと笑ってしまう。
(たまにコントだけど、そういうのも含めて、俺は……)
俯く優真の手をキュッと掴み、俺は少し背伸びをする。
そして――
「……!」
チュッと唇に触れるだけのキスをすると、優真が小さく息を飲んだ。
ふふん、と強気の笑みを浮かべてみせると、優真は恐れ入ったというように肩を落とし、俺の髪を優しく撫でながら静かな声音を響かせる。
「ほんとに君は……色々と、敵わないな。いつも僕に、”初めて”を体験させてくれる」
「今回はどんな初めてだった?」
「今回は……」
優真は少し考え、そして回答を述べた。
「……嫉妬、かな」
そう言って、優真は苦笑した。
・・・
腕の中で聞き返すと、やんわりと体が解放された。
そして頬に手を添えられ、真正面から見つめられる。
ドキドキしながら見つめ返すと、優真は少し照れくさそうに話し始めた。
「君が、他の人と楽しそうに話しているのを見ただけで、どうしようもなく不安になったよ。もしかしたら、陽斗は彼に惹かれているんじゃないかとか、この先、奪われるんじゃないかとか……短い時間でたくさん考えた」
「優真……そんなこと考えてたのかよ?」
「うん……考えてた」
「……」
……馬鹿なヤツ。
俺が好きなのは、優真だけなのに。
(確かに、成瀬は良い奴みたいだけど……つーか、俺はもともとゲイじゃないし、優真を好きになったのも奇跡みたいなもんだし、そう簡単には男を好きにならねぇよ)
本当に、そうなのだ。
優真は俺にとって、かなりレアな存在で、男だとか女だとか、そういう概念もどこかに吹っ飛んでしまっている。
俺はきっと、優真だから好きなのだ。
(初めて出会った時は、あんなに毛嫌いしてたのにな)
優真に初めて出会った時のことを思い出すと、ちょっと笑ってしまう。
(たまにコントだけど、そういうのも含めて、俺は……)
俯く優真の手をキュッと掴み、俺は少し背伸びをする。
そして――
「……!」
チュッと唇に触れるだけのキスをすると、優真が小さく息を飲んだ。
ふふん、と強気の笑みを浮かべてみせると、優真は恐れ入ったというように肩を落とし、俺の髪を優しく撫でながら静かな声音を響かせる。
「ほんとに君は……色々と、敵わないな。いつも僕に、”初めて”を体験させてくれる」
「今回はどんな初めてだった?」
「今回は……」
優真は少し考え、そして回答を述べた。
「……嫉妬、かな」
そう言って、優真は苦笑した。
・・・
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