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「よ、よろしく……」
おずおずと握り返すと、成瀬は嬉しそうに頷き、ゆっくりと手を離した。
そして「よいしょ」とショルダーバックを肩に引っ掛けると、軽く手を上げて言う。
「それじゃ、俺は次の講義があるから、もう行くよ」
「え、連続なんだ?」
「うん、連続。じゃ、また」
「うん」
手を振られたので振り返すと、成瀬は講堂の階段を1段抜かしでひょいひょい上がっていき、あっという間に姿が見えなくなった。
(足、長ぇ……)
俺は暫し、その軽やかな身のこなしに見とれてしまっていたけれど、ハッと我に返り、借りたノートをトートバッグの中へ仕舞った。
(さて、この後はバイトか)
とはいえ、バイトの時間まであと1時間ほどある。
俺は暫しスマホの時計を見つめて思考を巡らせ、キャンパス内のカフェテリアに移動する事にした。
・・・
――カフェテリアにて。
バイトの前にノートの写しを終えてしまおうと、筆記用具とノートを引っ張り出す。
(えっと、借りたノート……)
成瀬に借りたノートをカバンから取り出し、開いてみる。
するとそこには、きっちりと講義の内容が書き込まれていた。
(すげー……)
おそらく、自分で調べた事も書いてあるのだろう。
眺めているだけで内容が理解出来てしまうぐらい、見やすいノートに仕上げられている。
これはもはや、作品と言っても過言ではない。
俺は成瀬に感謝しつつ、ノートの写しに取り掛かった。
そして丁度1時間が経過した頃、無事にノートを写し終え、一息つく。
(よし、明日にはノート返せるな。あとで連絡しとこっと)
パタンとノートを閉じ、鞄に仕舞う。
そして、俺はいつも通りバイトに向かった。
おずおずと握り返すと、成瀬は嬉しそうに頷き、ゆっくりと手を離した。
そして「よいしょ」とショルダーバックを肩に引っ掛けると、軽く手を上げて言う。
「それじゃ、俺は次の講義があるから、もう行くよ」
「え、連続なんだ?」
「うん、連続。じゃ、また」
「うん」
手を振られたので振り返すと、成瀬は講堂の階段を1段抜かしでひょいひょい上がっていき、あっという間に姿が見えなくなった。
(足、長ぇ……)
俺は暫し、その軽やかな身のこなしに見とれてしまっていたけれど、ハッと我に返り、借りたノートをトートバッグの中へ仕舞った。
(さて、この後はバイトか)
とはいえ、バイトの時間まであと1時間ほどある。
俺は暫しスマホの時計を見つめて思考を巡らせ、キャンパス内のカフェテリアに移動する事にした。
・・・
――カフェテリアにて。
バイトの前にノートの写しを終えてしまおうと、筆記用具とノートを引っ張り出す。
(えっと、借りたノート……)
成瀬に借りたノートをカバンから取り出し、開いてみる。
するとそこには、きっちりと講義の内容が書き込まれていた。
(すげー……)
おそらく、自分で調べた事も書いてあるのだろう。
眺めているだけで内容が理解出来てしまうぐらい、見やすいノートに仕上げられている。
これはもはや、作品と言っても過言ではない。
俺は成瀬に感謝しつつ、ノートの写しに取り掛かった。
そして丁度1時間が経過した頃、無事にノートを写し終え、一息つく。
(よし、明日にはノート返せるな。あとで連絡しとこっと)
パタンとノートを閉じ、鞄に仕舞う。
そして、俺はいつも通りバイトに向かった。
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