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はだけた胸元に指先が触れると、優真が僅かに声を漏らす。

「んっ……はぁ」

「~~~~っ」

あまりの色っぽさに、俺はつい目を逸らしてしまう。

(なんつー顔すんだよ……っ!)

こんなの直視してたら、買い出しどころではなくなるだろう。

(ったく……!買い出しに行きたいのに、これじゃあ行かれねーだろ)

もちろん、イチャつくのは一向に構わないし、俺だってそうしたい。

さっき恋愛談義で言った言葉は、決して嘘ではない。

大好きな優真が望むことなら、俺は何だってしてやりたいと思う。

けれど、優真は風邪をひいているのだ。

しかも、結構ひどいやつ。

だから今は、彼が望もうが望むまいが、一刻も早くスポーツドリンクやらゼリーやら熱を冷ますシートやらを買ってきて、看病したいのだ。

それなのに、これでは動けない。

(はぁ、困った……)

密かに、俺はため息をついた。

優真はというと、今度は俺の手を自分の頬へ持っていき、甘えるように擦り寄っている。

「陽斗……マイ・エンジェル……ふぉーりんらぶ……」

(だめだ、完全に壊れてやがる……!)

このままでは色々とヤバい。

俺は身動ぎをして、どうにか優真から離れると、ベッドから降りた。

「っはぁ、やっと離れたっ!」

「な……っ陽斗、離れちゃダメだよ?」

「あーもーうるせぇ!分かったから、大人しく待ってろ!買い出し行ってくる!」

「もう……陽斗は買い出しなんて行かなくていいんだよ。さぁ、こっちへ……可憐なエンジェル。大人の色気を放つこの腕の中へ、理性を捨てて飛び込んでおいd」

「いーから寝てろ」

強制的に優真を黙らせ、俺は外へ飛び出した。

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