【BL】キス魔の先輩に困ってます

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｢んん、はぁ……っ｣

｢……陽斗、可愛い｣

｢あっ……ゆ、優真、それ……｣

時折、呼び捨てにされるとドキドキしてしまう。

”陽斗君”だと、年下扱いの子供扱いって感じだけど、”陽斗”って呼び捨てられた途端、恋人感が半端ない。

それが嬉しくて、俺は優真と繋いだ手にきゅっと力を込めた。

そして小さな声で、密かに主張する。

｢それ……呼び捨てにすんの、好き｣

｢え？ああ、そっか……じゃあ｣

優真は俺の両肩を優しく掴むと、やや強引に自分の方へ向かせた。

そして少し首を傾げると、俺を見つめながら言う。

｢好きだよ、陽斗？｣

｢ば……っなんだよ、改まって｣

｢じゃあ……陽斗君？｣

｢う……君(くん)、いらねーし｣

｢ふふっ！かーわい、陽斗♡｣

｢わっ……！｣

君付けにムッとしていたら、ガバッと抱きつかれ、きつく抱き締められる。

苦しくて顔を上げると、間近で目が合った。

優真は甘いため息を漏らし、声をひそめる。

｢はぁ……嬉しいな。こんな可愛い人と想いが通じ合えたなんて。そして……ねぇ、陽斗君は僕の恋人って事で、いいんだよね？｣

｢あ……｣

両想いで、こうしてイチャついていれば、これはもう立派な恋人同士だろう。

俺は小さく頷いた。

｢うん……いいと、思う｣

｢ふふ、良かった。ええと、この場合……僕が彼氏役？｣

｢え、それは……｣

……BLの”受けか攻めか”みたいな事だろうか。

(うーん、この場合……俺が受けなんだろうな、やっぱ)

あまり客観視出来ている自信はないが、恐らくそうだろう。

てか、それってそんなに重要なのか？

俺としては、どっちがどっちでも、優真と両想いでイチャイチャできればそれで良し。

なのだが、優真が気になるというのなら……

｢……俺はどっちでもいーけど、優真が彼氏役でいいんじゃねぇの？｣

｢なら、陽斗君は僕の彼女……てことか｣

そう言って、優真は僅かに頬を赤らめる。