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「陽斗君……!」

「……っ」

真剣な眼差しと勢いに押され、俺は息を飲む。

ああ、優真にもついに、恋心を自覚する時が来たのだ。

俺はドキドキしながら優真を見つめた。

優真も俺を見つめ、その想いを口にする。

「この感じは……なんだろう!?」

「は……え?」

……おい。

告白はどうした。

俺は目を点にして固まった。

いや、早とちりした俺も悪いんだけど。

優真は俺を置き去りにして、一人盛り上がっていく。

「この感じ……こんなの、初めてだ。手を繋いだだけで、心臓がドキドキ、いや、バクバクだ!バクバクしてしまう!それなのに、あんな風にくっつかれたら……ああ、陽斗君、どうして君はそんなに可愛いんだ!?本当は女の子なのか!?それとも、僕がおかしいのだろうか!?身体がウズウズして仕方がない……!どうしたら……どうしたらいいんだ!」

「……」

……言っとくが、俺は列記とした男だ。

まぁ、それはともかく。

俺は今、遠回しに告白されているんだろうな。

自分で言うのもなんだけれど、優真は俺への恋心を自覚し始めているのだろう。うん、いい傾向だ。

けれど、初めての感覚過ぎて戸惑いまくっている、といったところだろうか。

優真は続ける。

「陽斗君、お願いだ。もう少しだけこの手を……離さないでいて欲しい。今はまだ、離れたくないんだ……」

「お、おう……」

ここまで言われると照れてしまうが、俺は素直にこくりと頷いた。

優真はスーハーと深呼吸をして息を整える。

そして改めて繋がれた手に視線を落とし、軽く手を握り直すと、柔らかな笑みを浮かべて一息ついた。

「はぁ……取り乱してすまない。それにしても、手を繋ぐという行為は、やはり良いものだね。恋人達がこうするのも、分かる気がしたよ」

「そ、そっか、それは良かったな……」

嬉しそうな優真に、俺は曖昧に笑ってみせた。

まぁ、優真が少しでも気持ちを自覚できたのなら、今回は良しという事だろうか。

それに今は、こうして手を繋いで、まるで恋人同士になれたみたいで、俺としては十分幸せだったりする。

(だけど……)

俺はどうしても、この恋愛スゴロクを優真がサークルメンバーの女子達とやるのだろうと思うとモヤモヤしてしまう。

ていうか、もうやったのかもしれないし。

そうやって、やったのかどうか分からないのも、気になってしまって嫌だ。

(もうやったとしたら、誰かと手を繋いだりしたのかな……)

優真が他の誰かと恋人繋ぎをしているところを思い浮かべそうになり、俺はフルフルと頭を横に振る。

(……っ妄想ストップ!てか、こんなんただのゲームだろ!……はぁ、ヤダヤダ。俺ってこんな独占欲強かったっけ……もー、余計な事考えるの、やめよ)

……とは思うけれど。

困ったことに、どうしても不安やら嫉妬心がジワジワと湧いてきてしまう。



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