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「別に……お前が、良かったなら……」

「陽斗君は?」

「え?」

「陽斗君は、良かった?これは、僕だけが満足するんじゃダメなんだよ。なんていうか、僕はね……」

「……?」

優真はなにやら真剣に考えている。

そして突如顔を上げると、拳を握り締めて言った。

「僕は……!陽斗君を気持ちよくさせたいんだーーーー!!」

「声がデカーーーーい!!」

ああもう。

隣の部屋に聞こえるだろ!

って、隣の部屋俺だったわ!

まぁいい。

ていうか、なんだそのエロ発言は。

気持ちよくさせたい……って。

(あああああもううう!!コイツ、無自覚過ぎ!!)

俺は内心、頭を抱えた。

普通、ここまで来たら自分の気持ちをちゃんと自覚するのではないだろうか。

それとも……

(優真は別に恋愛感情を抱いてる訳でも、ないのかな……)

無自覚だけれど、深い部分では俺の事を恋の対象として見てくれているなら、嬉しい。

けれど、優真の事はまだまだ知らない部分が多いし、予測できない。

不安と期待が入り交じり、俺はつい話を逸らした。

「……てかさ!早くスゴロクやろうぜ?どんなのか気になるし」

「あ……うん、そうだね。やろうか」

優真は頷くと、立ち上がって俺の手から食器を取った。

「あ……」

「いいよ、陽斗君は座ってて。自分のも一緒に片付けてくる」

「あ……あり、がと……」

戸惑いながらお礼を言うと、優真はニコッと笑顔をキメてキッチンへと去っていった。

そして、部屋に一人になると、途端にさっきのキスがフラッシュバックする。

(…………はぁ)

今回のはもう完全に、恋人同士がするキスにしか思えなかった。

甘くて、ドキドキして……

(……気持ち、良かった)

さっき正直に「気持ちよかった」と答えていたら、優真はどうしただろう。

(もっと……してくれたかな……)

そっと、指先で唇に触れ、俺は一人顔を熱くした。

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