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悶々としながらも電車に乗り込む。
車内は割りと込み合っており、サラリーマンやOLでひしめき合っていた。
混み合う電車に揺られながらも、俺の心は嫉妬で満ちていく。
(もし、誰かに告白されたとしたら、東条はどうするんだろ……やっぱ、付き合うとかって話になんのかな……で、その後は……)
不本意な妄想が浮かんできて、俺はフルフルと頭を振った。
と、その時――
ガタタン!
「……っ」
電車が大きく揺れ、俺は思い切りバランスを崩す。
(う……っ)
この時間は割りと車内が混雑しており、俺の体は人混みの中に呑まれそうになる。
咄嗟に吊革に手を伸ばすも、届かない。
けれど次の瞬間、
「わっ……!?」
力強い腕に、ぐいっと引き寄せられた。
「あ……」
「陽斗君、大丈夫?」
「お、おう……」
見上げると、落ち着き払った東条の顔が目の前に迫り、俺は慌てて顔を俯ける。
(ち、近いんだよ!いちいち!)
一気に心拍数が上がり、離れようと思うものの、ぎゅうぎゅうの車内では身動きすら取れない。
「……っ」
見れば、二人の身体はピタリとくっついており、温かな体温と鼓動が伝わってくる。
しかも……
(あ、当たってる……!)
東条の片足が俺の足と足の間に入り込んでいて、あろうことか、際どい所が擦れあっているではないか。
(や……っ……ちょっと、待っ……)
電車が揺れる度に、腰元に僅かな刺激が走る。
「ん……っ」
(やべ……!)
思わず変な声が出てしまい、咄嗟に口元を手で覆う。
と、東条が心配そうに顔を覗き込んできた。
「大丈夫?もう次の駅だから、ね」
「だっ、大丈夫……っ」
俺はもう腰が砕けて足に力が入らず、そう答えるのがやっとだった。
車内は割りと込み合っており、サラリーマンやOLでひしめき合っていた。
混み合う電車に揺られながらも、俺の心は嫉妬で満ちていく。
(もし、誰かに告白されたとしたら、東条はどうするんだろ……やっぱ、付き合うとかって話になんのかな……で、その後は……)
不本意な妄想が浮かんできて、俺はフルフルと頭を振った。
と、その時――
ガタタン!
「……っ」
電車が大きく揺れ、俺は思い切りバランスを崩す。
(う……っ)
この時間は割りと車内が混雑しており、俺の体は人混みの中に呑まれそうになる。
咄嗟に吊革に手を伸ばすも、届かない。
けれど次の瞬間、
「わっ……!?」
力強い腕に、ぐいっと引き寄せられた。
「あ……」
「陽斗君、大丈夫?」
「お、おう……」
見上げると、落ち着き払った東条の顔が目の前に迫り、俺は慌てて顔を俯ける。
(ち、近いんだよ!いちいち!)
一気に心拍数が上がり、離れようと思うものの、ぎゅうぎゅうの車内では身動きすら取れない。
「……っ」
見れば、二人の身体はピタリとくっついており、温かな体温と鼓動が伝わってくる。
しかも……
(あ、当たってる……!)
東条の片足が俺の足と足の間に入り込んでいて、あろうことか、際どい所が擦れあっているではないか。
(や……っ……ちょっと、待っ……)
電車が揺れる度に、腰元に僅かな刺激が走る。
「ん……っ」
(やべ……!)
思わず変な声が出てしまい、咄嗟に口元を手で覆う。
と、東条が心配そうに顔を覗き込んできた。
「大丈夫?もう次の駅だから、ね」
「だっ、大丈夫……っ」
俺はもう腰が砕けて足に力が入らず、そう答えるのがやっとだった。
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