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(……恋愛サークル、か……)

いまだ抱きしめられたまま、俺はふと、恋愛サークルの事を思い出した。

あまり乗り気じゃないけれど、もしかしたら、サークルを通して東条と一緒に恋愛についてガッツリ学ぶ方が、変な話、早いのかもしれない。

だかしかし。

(女子に囲まれて楽しそうにしてる東条……俺はやっぱり、見てられないかも)

藤野先輩と話しているのを見ただけでも、あんなにモヤモヤしたのに。

恋愛サークルはおそらく、ほぼ”東条ファンクラブ”みたいになっているだろうし。

下手をすれば、俺が東条と女子のキューピッド役を任される、なんて展開もあるかもしれない。

(……考え過ぎかな。でも、そんなのはゴメンだ)

嫌な妄想に囚われそうになり、つい手に力を込めると、東条がモソッと顔を上げた。

「……陽斗君?」

「え?あ……な、なんでもないっ」

突っ張って顔をそらすと、東条がクスッと笑う。

そして気分を入れ替えるように、最後にもう一度ギュッとされると、腕から解放された。

「……さてと。そろそろ準備して大学に行かないと、遅れてしまうよ。陽斗君、一限は?」

「いや、今日は午後からだから……」

温もりが離れ、寂しい気持ちが込み上げてくるけれど、我慢する。

俺は目を覚ますように目元をゴシゴシ袖で擦り、大学に行く準備をするべく、一旦家に帰ることにした。

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