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東条(攻)目線・1
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その頃、東条は藤野と話しながらも、駅に向かう陽斗の後ろ姿を目の端に捉えていた。
(……あれは)
まったく、どうして風邪が完治するまでじっとしていられないのか。
(やれやれ)
呆れつつも、そんな陽斗も愛おしく思えて、東条はふっと優しい笑みを漏らした。
それに藤野が気付いて、小首を傾げる。
「東条君?どうしたの、なんだか、いい顔してるわね」
「え?ああ、ちょっと……すみません、僕はもう行かないと」
藤野からサークルのレポートを受け取り、東条はペコリとお辞儀をした。
そして去ろうとすると、藤野が引き止める。
「東条君。もしかして、さっき抱えてた子の看病?それで急いでるの?」
「ええ、まぁ……なかなか言うことを聞かない病人でして、目が離せないというか……」
「まぁ、そうなの。弟さんとか?」
「はは、そんな感じもしますけど、弟ではないです。可愛い後輩ってとこかな」
「後輩の子なのね!ふふ、東条君、すごく世話妬いてそう」
藤野に言われ、東条は照れくさそうに後ろ頭をかく。
「そうですね……やり過ぎないように、気をつけます。それじゃ、また」
「うん、またサークルで!」
藤野は手を振り、東条は軽く会釈をして、お互い別れた。
(……あれは)
まったく、どうして風邪が完治するまでじっとしていられないのか。
(やれやれ)
呆れつつも、そんな陽斗も愛おしく思えて、東条はふっと優しい笑みを漏らした。
それに藤野が気付いて、小首を傾げる。
「東条君?どうしたの、なんだか、いい顔してるわね」
「え?ああ、ちょっと……すみません、僕はもう行かないと」
藤野からサークルのレポートを受け取り、東条はペコリとお辞儀をした。
そして去ろうとすると、藤野が引き止める。
「東条君。もしかして、さっき抱えてた子の看病?それで急いでるの?」
「ええ、まぁ……なかなか言うことを聞かない病人でして、目が離せないというか……」
「まぁ、そうなの。弟さんとか?」
「はは、そんな感じもしますけど、弟ではないです。可愛い後輩ってとこかな」
「後輩の子なのね!ふふ、東条君、すごく世話妬いてそう」
藤野に言われ、東条は照れくさそうに後ろ頭をかく。
「そうですね……やり過ぎないように、気をつけます。それじゃ、また」
「うん、またサークルで!」
藤野は手を振り、東条は軽く会釈をして、お互い別れた。
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