【BL】キス魔の先輩に困ってます

筍とるぞう

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「……分からない」

「え……?」

「ごめん、僕は本当に人との距離感がよく分かっていない人間だから……恋なのか、愛なのか、友情なのか、その境界線がよく分からないんだ。その……陽斗君。実はね……君に謝らなきゃならない事がある」

(……それって)

謝らなきゃならない事――そう聞いて、真っ先にあのキスの事だと思い当たった。

と、一気に顔が赤くなり、俺はそれを隠すようにサッと下を向く。

すると、東条はそっと俺の手を取り、床に跪いた。

「陽斗君……僕はね、君を見ていると、こう……どうしても心の奥がウズウズするというか、締め付けられるというか……なんとも表現し難い感情に襲われるんだ」

「……」

俺は手を握られたまま、黙って声に耳を傾ける。

東条は少し間を置いてから続けた。

「それで……先日、陽斗君がこの部屋で眠りに落ちた時、僕の中で何かが……プツリと切れたような気がした。抑えきれなかった……その、要するに……してしまったんだ、君に」

「……なにを?」

答えを分かってはいるけれど、先回りして言う訳にもいかないので一応聞いてみる。

東条は答える。

「……キス、だよ」

「……」

やはり、そうだった。

というか、一回目のは俺が寝落ちした直後だけれど、二回目のはどうなのだろうか。

二回目は東条が寝ぼけていて、キスをした後にすぐまた寝てしまったのだ。

やはり、本人は覚えていないのか。

俺は勇気を振り絞り、その事について確認することに。


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