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「……っくしゅ!」

上半身が露になると、俺は肩を震わせクシャミをひとつ。

やはり、まだまだ体調は悪いようだ。

そんな俺を見て、東条は素早くルームウェアを広げて俺に着させる。

「ああ、いけない。早くこれを」

「っ……あ、あったかい」

東条が選んだのは、裏起毛のあるトレーナーだった。

結局、こういうのが一番暖かい気がする。

「……ありがと」

「ふ、礼には及ばないよ。さてと、今日はここでもう一眠りしていいからね。僕は夕飯に向けてお粥を作っておくよ」

「……待って」

颯爽と立ち上がる東条の服の裾を、俺は咄嗟に掴んだ。

……聞いてみたい。

前にも聞いたことがあるけれど、もっと、ちゃんと、理由を知りたい。

どうして、”俺に”ここまでしてくれるのか。

「あ、のさ……」

「ん、どうしたの?」

「あの……前にも聞いたかも、だけど……どうしてここまでしてくれんだよ?その、半分以上お前の性分だってのは、分かってるけどさ」

「え……」

言ってるうちに恥ずかしくなり、俺はだんだん声が小さくなった。

東条はそんな俺をキョトンと見下ろし、動かない。

答えを考えているのか、困っているのか、その表情からは分からない。

(なんだよ、なんか言えよ……っ)

なかなか返事が貰えず、恥ずかしくなってくる。

と、東条が静かに口を開いた。
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