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「東条君!こんにちは、えっと……大丈夫?緊急事態かしら?サークルメンバー、今日も早々と集まってるわよ」

「ああ、藤野先輩。ええと、その……すみません。今日はメンバー全員で「恋愛とはなんぞや」という議題で話し合う予定だったのですが……見ての通り、病人を運ぶ使命が生まれてしまいまして……」

″藤野先輩″に向かって、東条はなんだかよそ行きの顔をして謝っている。

のは、いいとして。

(って、いやおい……なんだその議題)

内心ツッコム俺。

″恋愛とはなんぞや″って……。

(つーか、どんな活動内容だよ!)

まったく。

恋愛について語り合うなんざ、ますます恋愛サークルとやらには入りたくなくなった。

(……まぁでも、東条としては真面目にやってんだろうから……)

俺はとりあえず、東条の胸に顔を埋めるようにして、時が過ぎるのを静かに待つことに。

大人しくしていると、藤野先輩が心配そうな声音を漏らした。

「そう……まだ夜は冷えるし、お大事にね。じゃあ、今日は私がサークルメンバーに議題を伝えておくわ。レポートは後日、東条君に渡すわね」

「はい、宜しくお願いします。すみません、代表である僕が欠席になってしまって……」

東条が謝ると、藤野先輩はブンブンと顔の前で手を左右に振った。

「いいのよ!こういう時はお互い様。まぁ、今日もどうせ、東条君へのラブ・メッセージばかりが集まりそうだけど。ま、後日お楽しみにってことで。じゃあ、またね!」

「はい」

藤野先輩は手を振り、去っていった。

東条は暫し藤野先輩を見送ると、パッと微笑む。

「さ、行こう。待たせたね」

「……」

東条と藤野先輩って、なんかいい関係っぽい……。

2人のやり取りを盗み見ていた俺は、なんとなくモヤモヤした気持ちになり、寝たフリを決め込んで返事をしなかった。





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