18 / 175
2
18
しおりを挟む
「陽斗君、体調が悪い時に申し訳ないのだけど……少しだけ、僕の話を聞いてくれないか?」
「ああ……まぁ、いいけど?」
熱でぼうっとしてはいるけれど、人の話を聞くぐらい出来る。
承諾すると、東条は嬉しそうに微笑んだ。
「……僕には、少し年の離れた妹がいるんだ。可愛くてね、昔はよく一緒に遊んだし、自分で言うのもなんだけど、妹の面倒は両親以上にみていたって思えるほどだよ。もちろん、基本的には両親が全部みてくれたけどさ」
「……」
懐かしそうに話す東条を、俺は黙って見つめ、話の先を待った。
「僕はね、幼い頃少しだけ海外に住んでいたんだ。父の仕事の関係でね。だから……日本ではない習慣も身についた。例えば、挨拶でハグやキスをするとか、ごく当たり前の事だと認識していた」
「ハグ……」
反射的に繰り返しそうになって、俺は慌てて口を噤んだ。
″キス″とか、恥ずかしくて言えないし。
(けどコイツは、挨拶でそういうの、出来るって事か……)
生粋の日本人である俺には、考えられない事だ。
言うのだけでも照れてしまうのに、挨拶でそんな事をされたら、顔から火が出てしまうだろう。
そんな事を思いながら頬を赤らめていると、東条がクスッと笑いながら続けた。
「そう、日本だとキスやハグって聞くと、それだけで赤くなっちゃう子もいるんだよね。例えば、今の陽斗君みたいに」
「んな……っ別に、赤くなってなんかねーよ!」
見透かされたのがまた恥ずかしくて、ムキになって言い返すと、東条はアハハと笑った。
「ごめんごめん。陽斗君のは、熱のせいだよね。……でね、話の続きなんだけど。その……僕には今でもその″クセ″が強く残っているんだ」
「え、そうなのか?」
「ああ……まぁ、いいけど?」
熱でぼうっとしてはいるけれど、人の話を聞くぐらい出来る。
承諾すると、東条は嬉しそうに微笑んだ。
「……僕には、少し年の離れた妹がいるんだ。可愛くてね、昔はよく一緒に遊んだし、自分で言うのもなんだけど、妹の面倒は両親以上にみていたって思えるほどだよ。もちろん、基本的には両親が全部みてくれたけどさ」
「……」
懐かしそうに話す東条を、俺は黙って見つめ、話の先を待った。
「僕はね、幼い頃少しだけ海外に住んでいたんだ。父の仕事の関係でね。だから……日本ではない習慣も身についた。例えば、挨拶でハグやキスをするとか、ごく当たり前の事だと認識していた」
「ハグ……」
反射的に繰り返しそうになって、俺は慌てて口を噤んだ。
″キス″とか、恥ずかしくて言えないし。
(けどコイツは、挨拶でそういうの、出来るって事か……)
生粋の日本人である俺には、考えられない事だ。
言うのだけでも照れてしまうのに、挨拶でそんな事をされたら、顔から火が出てしまうだろう。
そんな事を思いながら頬を赤らめていると、東条がクスッと笑いながら続けた。
「そう、日本だとキスやハグって聞くと、それだけで赤くなっちゃう子もいるんだよね。例えば、今の陽斗君みたいに」
「んな……っ別に、赤くなってなんかねーよ!」
見透かされたのがまた恥ずかしくて、ムキになって言い返すと、東条はアハハと笑った。
「ごめんごめん。陽斗君のは、熱のせいだよね。……でね、話の続きなんだけど。その……僕には今でもその″クセ″が強く残っているんだ」
「え、そうなのか?」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
二軍バスケ部寮性活
ザボン
BL
バスケ推薦で入学した目白台学園大学、1年は寮に入らないといけないらしい。そこで教育係の2年、3年のセンパイ達に色々と教育されていく。本当にこんなこと、必要なの?
◇◇◇
辛かった寮生活、やっと2年に進級し出られると思ったら1年の教育係。1年間耐え抜いた辱しめを新1年へしっかりと教育しないと!
目白台学園大二軍バスケ部寮を中心に展開される青春エロストーリー
保育士だっておしっこするもん!
こじらせた処女
BL
男性保育士さんが漏らしている話。ただただ頭悪い小説です。
保育士の道に進み、とある保育園に勤めている尾北和樹は、新人で戸惑いながらも、やりがいを感じながら仕事をこなしていた。
しかし、男性保育士というものはまだまだ珍しく浸透していない。それでも和樹が通う園にはもう一人、男性保育士がいた。名前は多田木遼、2つ年上。
園児と一緒に用を足すな。ある日の朝礼で受けた注意は、尾北和樹に向けられたものだった。他の女性職員の前で言われて顔を真っ赤にする和樹に、気にしないように、と多田木はいうが、保護者からのクレームだ。信用問題に関わり、同性職員の多田木にも迷惑をかけてしまう、そう思い、その日から3階の隅にある職員トイレを使うようになった。
しかし、尾北は一日中トイレに行かなくても平気な多田木とは違い、3時間に一回行かないと限界を迎えてしまう体質。加えて激務だ。園児と一緒に済ませるから、今までなんとかやってこれたのだ。それからというものの、限界ギリギリで間に合う、なんて危ない状況が何度か見受けられた。
ある日の紅葉が色づく頃、事件は起こる。その日は何かとタイミングが掴めなくて、いつもよりさらに忙しかった。やっとトイレにいける、そう思ったところで、前を押さえた幼児に捕まってしまい…?
溺愛執事と誓いのキスを
水無瀬雨音
BL
日本有数の大企業の社長の息子である周防。大学進学を機に、一般人の生活を勉強するため一人暮らしを始めるがそれは建前で、実際は惹かれていることに気づいた世話係の流伽から距離をおくためだった。それなのに一人暮らしのアパートに流伽が押し掛けてきたことで二人での生活が始まり……。
ふじょっしーのコンテストに参加しています。
人体実験サークル
狼姿の化猫ゆっと
恋愛
人間に対する興味や好奇心が強い人達、ようこそ。ここは『人体実験サークル』です。お互いに実験し合って自由に過ごしましょう。
《注意事項》
・同意無しで相手の心身を傷つけてはならない
・散らかしたり汚したら片付けと掃除をする
[SM要素満載となっております。閲覧にはご注意ください。SとMであり、男と女ではありません。TL・BL・GL関係なしです。
ストーリー編以外はM視点とS視点の両方を載せています。
プロローグ以外はほぼフィクションです。あとがきもお楽しみください。]
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
隠れSな攻めの短編集
あかさたな!
BL
こちら全話独立、オトナな短編集です。
1話1話完結しています。
いきなりオトナな内容に入るのでご注意を。
今回はソフトからドがつくくらいのSまで、いろんなタイプの攻めがみられる短編集です!隠れSとか、メガネSとか、年下Sとか…⁉︎
【お仕置きで奥の処女をもらう参謀】【口の中をいじめる歯医者】
【独占欲で使用人をいじめる王様】
【無自覚Sがトイレを我慢させる】
【召喚された勇者は魔術師の性癖(ケモ耳)に巻き込まれる】
【勝手にイくことを許さない許嫁】
【胸の敏感なところだけでいかせたいいじめっ子】
【自称Sをしばく女装っ子の部下】
【魔王を公開処刑する勇者】
【酔うとエスになるカテキョ】
【虎視眈々と下剋上を狙うヴァンパイアの眷属】
【貴族坊ちゃんの弱みを握った庶民】
【主人を調教する奴隷】
2022/04/15を持って、こちらの短編集は完結とさせていただきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
前作に
・年下攻め
・いじわるな溺愛攻め
・下剋上っぽい関係
短編集も完結してるで、プロフィールからぜひ!
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる