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(……あれ……俺……?)

朦朧とする意識の中、うっすら目を覚ますと、俺はどうやら部屋の中にいるようだった。

(ベッド……ここ、俺の部屋……じゃない……!?)

なんとなく間取りは似ているものの、家具の配置や見慣れないソファーに、見たことのないパステルカラーのカーテン。どれもこれも、俺の趣味じゃない。

(つーか、どこだよここ!?)

思わず勢いよく起き上がろうとすると、頭がズキリと痛み、俺はそのまま額を押さえてパタリと倒れた。

(熱……あんのかも)

手の甲に感じる熱に、俺は自分が発熱しているのだと悟った。

昨日、ろくに食事もせず、夜中まで帽子を探したり、東条対策を練っていたせいだろう。

(あー……ダサ)

自分に呆れつつ、少しづつ先ほどの記憶を手繰っていると、一人の男性が部屋に入ってきた。

「あ、目が覚めたみたいだね。良かった……急に倒れるから心配したよ」

顔を見なくても分かる。東条だ。

「……どうして、あんたがここに? ここ、どこ?」

「ん? ああ、ここはね、僕の部屋だよ」

「え……!?」

なんということだ。

あんなに避けよう、気を付けようって思っていたのに。

さっそく部屋に連れてこられてしまうなんて、昨夜の努力はもはや水の泡。

「あーーーーーー……」

俺はもうどうでもよくなって、両手の甲で顔を覆って呻き声を漏らしたのだった。


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