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第九十四話
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・・・
「はい、あーん?」
「……っ」
その後、僕はシグレさんの ”あーん攻撃” にあっていた。
スプーンには美味しそうなおかゆが乗っているものの、口を開けるのが恥ずかしい。
「あの……どうしても、やらないとダメですか?」
「うん、もちろん。はい、あーんして?」
「うぅ……」
押し切られ、僕はおずおずと口を開けた。
そこへスプーンが近付き、僕はパク、とおかゆを食べる。
「ん……っおいしい、です」
「ふふ、良かった。にしても、レトルトだからなぁ。今度は俺がちゃんと作ったのを食べさせてあげるからね」
「っは、はい……っ」
色っぽい目で見つめられ、ただのお粥の話なのに照れてしまう。
モジモジしていると、シグレさんが更にスプーンでおかゆを掬って差し出してきた。
「さ、どんどん食べて。セイラは元々体力無い方なんだから、ね」
「う……そうですけど、あとは自分で食べますから」
「だーめー」
「もう、シグレさん!」
イジワルな態度に怒ってみせると、シグレさんは楽しそうに笑って僕の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
そんな事にも、いちいちドキドキしてしまう。
僅かに潤んだ瞳で見上げると、シグレさんは困ったような笑みを浮かべてため息をついた。
「分かった。じゃあ、後はちゃんと食べるんだよ? 俺は、今日の分の家事を片付けてくるから」
「……すみません」
僕が動けないと、必然的にシグレさんが家事をこなす事になる。
申し訳なくて俯くと、ポン、と頭に手が乗せられた。
「こんな時は、俺を頼って? 今のセイラは使用人じゃなくて、俺の恋人なんだから」
「恋……っ」
恋人という響きに、耳まで真っ赤になってしまった。
なんでだろう、番と言われるよりも照れくさい気がする。
僕は真っ赤になった顔を俯けたまま、コクリと頷いた。
・・・
そして、その夜。
僕の体調は一向に良くならず、シグレさんは眉をひそめる。
「セイラ、やっぱり医者を呼ぼう。何かあったら大変だ」
「は……シグレさん……僕、どうしちゃったんでしょう……」
「分からない。待ってて、夜間病院に連絡するから」
今は夜中の一時過ぎなので、夜間に対応してくれる病院に連絡するしかない。
救急車という手もあるけれど、なんとなく、今はシグレさんと一緒にこの部屋に居たくて、我儘を聞いて貰ってしまった。
シグレさんは素早くスマホに番号を打ち込むと、夜間病院に連絡をした。
「はい、あーん?」
「……っ」
その後、僕はシグレさんの ”あーん攻撃” にあっていた。
スプーンには美味しそうなおかゆが乗っているものの、口を開けるのが恥ずかしい。
「あの……どうしても、やらないとダメですか?」
「うん、もちろん。はい、あーんして?」
「うぅ……」
押し切られ、僕はおずおずと口を開けた。
そこへスプーンが近付き、僕はパク、とおかゆを食べる。
「ん……っおいしい、です」
「ふふ、良かった。にしても、レトルトだからなぁ。今度は俺がちゃんと作ったのを食べさせてあげるからね」
「っは、はい……っ」
色っぽい目で見つめられ、ただのお粥の話なのに照れてしまう。
モジモジしていると、シグレさんが更にスプーンでおかゆを掬って差し出してきた。
「さ、どんどん食べて。セイラは元々体力無い方なんだから、ね」
「う……そうですけど、あとは自分で食べますから」
「だーめー」
「もう、シグレさん!」
イジワルな態度に怒ってみせると、シグレさんは楽しそうに笑って僕の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
そんな事にも、いちいちドキドキしてしまう。
僅かに潤んだ瞳で見上げると、シグレさんは困ったような笑みを浮かべてため息をついた。
「分かった。じゃあ、後はちゃんと食べるんだよ? 俺は、今日の分の家事を片付けてくるから」
「……すみません」
僕が動けないと、必然的にシグレさんが家事をこなす事になる。
申し訳なくて俯くと、ポン、と頭に手が乗せられた。
「こんな時は、俺を頼って? 今のセイラは使用人じゃなくて、俺の恋人なんだから」
「恋……っ」
恋人という響きに、耳まで真っ赤になってしまった。
なんでだろう、番と言われるよりも照れくさい気がする。
僕は真っ赤になった顔を俯けたまま、コクリと頷いた。
・・・
そして、その夜。
僕の体調は一向に良くならず、シグレさんは眉をひそめる。
「セイラ、やっぱり医者を呼ぼう。何かあったら大変だ」
「は……シグレさん……僕、どうしちゃったんでしょう……」
「分からない。待ってて、夜間病院に連絡するから」
今は夜中の一時過ぎなので、夜間に対応してくれる病院に連絡するしかない。
救急車という手もあるけれど、なんとなく、今はシグレさんと一緒にこの部屋に居たくて、我儘を聞いて貰ってしまった。
シグレさんは素早くスマホに番号を打ち込むと、夜間病院に連絡をした。
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