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※第八十二話 項を噛んで・3
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そう告げると、シグレさんは切なげに眉を寄せ、腰の動きを速めていく。
「は……っセイラ……好きだ、愛してる」
「んぁっ……シグレさん、僕も……愛、してます……っ」
互いの気持ちをもう一度伝えあう。
そしていよいよ、首筋に唇が近付いてきた。
「ああ……セイラ、噛むよ?」
「……っ」
身体を揺さぶられながら、僕は首を傾けて頸を見せる。
すると同時に、シグレさんの顔が近付き、歯を突き立てられた。
「っああ……!」
少しだけ、チクリとした痛みが走り、僕は目を見開く。
ゆっくりと首筋に歯が食い込み、強い快楽に全身が震えた。
(ああ、これで僕はシグレさんと……)
――番になれた。
少しして歯が引き抜かれると、そこにはもう痛みが無く、快楽だけが残った。
僕は今まで味わった事のない甘過ぎる感覚に、ただひたすら身を任せて喘いでいた。
■□■
ーー翌日。
(うぅ、腰が痛いかも……)
昨晩、シグレさんと熱い夜を過ごしたせいで全身がだるく、僕は昼過ぎまでベッドから起き上がれなかった。
でもそのお陰か、午後はだいぶ回復し、シグレさんと一緒にホテルの近くを散策することに。
「セイラ、身体は大丈夫?明日もあるし、無理しなくていいからね」
「あっ、はい……!ありがとうございます、大丈夫です。せっかくの旅行ですし、観光しましょう」
ちょっと照れくさくて、赤くなりながらも笑顔で返す。
そう、今日は番になってから初めてのデートだ。
見た目はあまり変わったように見えないかもしれないけれど、僕の中で、そしておそらくシグレさんの中でも、確実に強い絆のようなものが生まれた。
(シグレさんと僕……運命の番なら、良かったのにな)
運命の番についてはシグレさんも気になっていたようで、昨晩、項を噛んだ後に僕の身体を隈なくチェックした。
小さい星型のアザが見つかれば運命の番だという事なのだけれど、残念ながら、アザは見つからなかった。
(残念……でも、番になれただけでも幸せなんだし、贅沢言っちゃダメだよね)
僕は少し落ち込みそうになった気を取り直し、差し出された手を握った。
――ザザーー……ン。
外に出ると、今日も天気が良く、波の音が心地いい。
とりあえず、この辺りは土産物を売っている店もたくさんあるので、今日はゆっくり買い物をすることになった。
まずは、少し歩いた場所にある店で、日ごろお世話になっている人達へのお土産を選ぶ事にする。
「何がいいかな……セイラはこういう時、何を選ぶ?」
「うーん、そうですね……あ、このハンドタオルとか、どうですか?」
ふと目に留まったハンドタオルを指差すと、シグレさんもそちらに視線を向ける。
ハンドタオルはデザインが三種類ほどあり、そのうちの一つを手に取って見せると、シグレさんは納得したように頷いた。
「確かに、ハンドタオルならみんな使うだろうし、いいかもしれないな」
「はい、僕もそう思います。色も三種類ありますし、男女問わず使えるかも」
「なるほど」
意見が一致し、シグレさんは傍にあった買い物カゴを持ってくると、その中にハンドタオルをいくつか入れた。
その後も、美味しそうな焼き菓子やおしゃれなTシャツ等、見つけてはカゴに入れていくと、かなりの量になってしまった。
それを見て、シグレさんが苦笑する。
「はは、こんなに沢山、車に入るかな」
「あははっ、そうですね」
それに、このままでは金額もそこそこいきそうだ。
僕は少々気遣って、この中から更に厳選しようかと提案したのだけれど、結局、全部買う事になったのだった。
「は……っセイラ……好きだ、愛してる」
「んぁっ……シグレさん、僕も……愛、してます……っ」
互いの気持ちをもう一度伝えあう。
そしていよいよ、首筋に唇が近付いてきた。
「ああ……セイラ、噛むよ?」
「……っ」
身体を揺さぶられながら、僕は首を傾けて頸を見せる。
すると同時に、シグレさんの顔が近付き、歯を突き立てられた。
「っああ……!」
少しだけ、チクリとした痛みが走り、僕は目を見開く。
ゆっくりと首筋に歯が食い込み、強い快楽に全身が震えた。
(ああ、これで僕はシグレさんと……)
――番になれた。
少しして歯が引き抜かれると、そこにはもう痛みが無く、快楽だけが残った。
僕は今まで味わった事のない甘過ぎる感覚に、ただひたすら身を任せて喘いでいた。
■□■
ーー翌日。
(うぅ、腰が痛いかも……)
昨晩、シグレさんと熱い夜を過ごしたせいで全身がだるく、僕は昼過ぎまでベッドから起き上がれなかった。
でもそのお陰か、午後はだいぶ回復し、シグレさんと一緒にホテルの近くを散策することに。
「セイラ、身体は大丈夫?明日もあるし、無理しなくていいからね」
「あっ、はい……!ありがとうございます、大丈夫です。せっかくの旅行ですし、観光しましょう」
ちょっと照れくさくて、赤くなりながらも笑顔で返す。
そう、今日は番になってから初めてのデートだ。
見た目はあまり変わったように見えないかもしれないけれど、僕の中で、そしておそらくシグレさんの中でも、確実に強い絆のようなものが生まれた。
(シグレさんと僕……運命の番なら、良かったのにな)
運命の番についてはシグレさんも気になっていたようで、昨晩、項を噛んだ後に僕の身体を隈なくチェックした。
小さい星型のアザが見つかれば運命の番だという事なのだけれど、残念ながら、アザは見つからなかった。
(残念……でも、番になれただけでも幸せなんだし、贅沢言っちゃダメだよね)
僕は少し落ち込みそうになった気を取り直し、差し出された手を握った。
――ザザーー……ン。
外に出ると、今日も天気が良く、波の音が心地いい。
とりあえず、この辺りは土産物を売っている店もたくさんあるので、今日はゆっくり買い物をすることになった。
まずは、少し歩いた場所にある店で、日ごろお世話になっている人達へのお土産を選ぶ事にする。
「何がいいかな……セイラはこういう時、何を選ぶ?」
「うーん、そうですね……あ、このハンドタオルとか、どうですか?」
ふと目に留まったハンドタオルを指差すと、シグレさんもそちらに視線を向ける。
ハンドタオルはデザインが三種類ほどあり、そのうちの一つを手に取って見せると、シグレさんは納得したように頷いた。
「確かに、ハンドタオルならみんな使うだろうし、いいかもしれないな」
「はい、僕もそう思います。色も三種類ありますし、男女問わず使えるかも」
「なるほど」
意見が一致し、シグレさんは傍にあった買い物カゴを持ってくると、その中にハンドタオルをいくつか入れた。
その後も、美味しそうな焼き菓子やおしゃれなTシャツ等、見つけてはカゴに入れていくと、かなりの量になってしまった。
それを見て、シグレさんが苦笑する。
「はは、こんなに沢山、車に入るかな」
「あははっ、そうですね」
それに、このままでは金額もそこそこいきそうだ。
僕は少々気遣って、この中から更に厳選しようかと提案したのだけれど、結局、全部買う事になったのだった。
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