55 / 98
※第五十五話 君の前では・3
しおりを挟む
……ちゅ。
唇と唇が触れ、一気に鼓動が速まる。
(シグレさんの……やわらかい……)
本当は一瞬だけで離れようと思っていたのだけれど、胸の奥がきゅうっと締め付けられ、もっとキスをしたくなる。
(離れられない……っ)
気付けば、僕はシグレさんの唇を舌でチロチロと舐めたり、チュッチュッと啄むようなキスを繰り返していた。
すると次の瞬間、どこからか伸びてきた手に後ろ頭を押さえられ、ぐっとキスが深まった。
「んっ、んんっ!?」
「ん……」
突然だったので、驚いてしまい目を見開くと、目の前にシグレさんの端正な顔、長い睫毛が迫っていた。
おそらく、途中から気付いていたのだろう。
そう思うと恥ずかしくて、僕は顔を真っ赤に染め上げた。
「んっ、ぁ……シグレ、さん……っ」
「はぁ。まったく……主人が寝てる間にこんな事をして、いけないね、セイラ?」
「すっ、すみませ……!」
謝ろうとすると、シグレさんはヤレヤレとため息をついた。
「あーあ、これでセイラにも完全に風邪がうつったな。治ったら、お仕置きだからね」
「えっ……!?」
お仕置きという単語に、ついドキッとしてしまう。
不謹慎なのは分かっていても、胸の奥がキュンキュンしてしまって止まらない。
涙目で見つめると、再び頭を引き寄せられて唇が奪われた。
「んん……っ」
「セイラ……飲み物、持ってきてくれた?」
「……っはい、んむ、持ってき、んっ、ました……っ」
答える途中で唇を塞がれ、途切れ途切れになってしまう。
こんな事をされれば、身体からはすっかり力が抜け落ちてしまった。
立っているのも辛くなり、シグレさんのシャツをぎゅっと掴むと、腰に手が回されてベッドに引き込まれた。
「わっ!」
「掴まえた。その顔……わざとしてる?」
「えっ……!?」
ワザとだなんて、勿論していない。
けれど、僕の顔がシグレさんを惑わせているのかもと思うと、恥ずかしくなってくる。
(僕、今どんな顔してるんだろ……)
顔を真っ赤にして俯くと、ふっと耳に吐息がかかり、敏感になっていた身体がビクンと跳ね上がった。
「あっ、やぁ……」
堪らず身動ぎをすると、グッと腰元を引き寄せられ、艶めいた声が鼓膜をくすぐる。
「セイラにはこの後、ずっと一緒に居てもらうからね」
「ひぁっ……あ、あの……お仕置き、ですか?」
おずおずと聞くと、シグレさんはゆっくりと首を横に振った。
そしておもむろに口を開く。
「言っただろ?お仕置きは、ちゃんと風邪が治ってからだよ。今は……俺の癒しになって?」
「ええっ、そん……っんん!」
これは、お仕置きされているようなものではないだろうか。
そう思い、反論しようとするものの、すぐに唇を塞がれてしまった。
指を絡めてぎゅっと握られ、ベッドに押し倒されて、キスが深まる。
「ふ、ん……っは……」
「……はぁ、かわい。もう少し……」
「んんっ……」
角度を変えて、また唇を奪われる。
そして、今度はシャツの裾を捲り上げられ、するりと大きな手が滑り込んできた。
唇と唇が触れ、一気に鼓動が速まる。
(シグレさんの……やわらかい……)
本当は一瞬だけで離れようと思っていたのだけれど、胸の奥がきゅうっと締め付けられ、もっとキスをしたくなる。
(離れられない……っ)
気付けば、僕はシグレさんの唇を舌でチロチロと舐めたり、チュッチュッと啄むようなキスを繰り返していた。
すると次の瞬間、どこからか伸びてきた手に後ろ頭を押さえられ、ぐっとキスが深まった。
「んっ、んんっ!?」
「ん……」
突然だったので、驚いてしまい目を見開くと、目の前にシグレさんの端正な顔、長い睫毛が迫っていた。
おそらく、途中から気付いていたのだろう。
そう思うと恥ずかしくて、僕は顔を真っ赤に染め上げた。
「んっ、ぁ……シグレ、さん……っ」
「はぁ。まったく……主人が寝てる間にこんな事をして、いけないね、セイラ?」
「すっ、すみませ……!」
謝ろうとすると、シグレさんはヤレヤレとため息をついた。
「あーあ、これでセイラにも完全に風邪がうつったな。治ったら、お仕置きだからね」
「えっ……!?」
お仕置きという単語に、ついドキッとしてしまう。
不謹慎なのは分かっていても、胸の奥がキュンキュンしてしまって止まらない。
涙目で見つめると、再び頭を引き寄せられて唇が奪われた。
「んん……っ」
「セイラ……飲み物、持ってきてくれた?」
「……っはい、んむ、持ってき、んっ、ました……っ」
答える途中で唇を塞がれ、途切れ途切れになってしまう。
こんな事をされれば、身体からはすっかり力が抜け落ちてしまった。
立っているのも辛くなり、シグレさんのシャツをぎゅっと掴むと、腰に手が回されてベッドに引き込まれた。
「わっ!」
「掴まえた。その顔……わざとしてる?」
「えっ……!?」
ワザとだなんて、勿論していない。
けれど、僕の顔がシグレさんを惑わせているのかもと思うと、恥ずかしくなってくる。
(僕、今どんな顔してるんだろ……)
顔を真っ赤にして俯くと、ふっと耳に吐息がかかり、敏感になっていた身体がビクンと跳ね上がった。
「あっ、やぁ……」
堪らず身動ぎをすると、グッと腰元を引き寄せられ、艶めいた声が鼓膜をくすぐる。
「セイラにはこの後、ずっと一緒に居てもらうからね」
「ひぁっ……あ、あの……お仕置き、ですか?」
おずおずと聞くと、シグレさんはゆっくりと首を横に振った。
そしておもむろに口を開く。
「言っただろ?お仕置きは、ちゃんと風邪が治ってからだよ。今は……俺の癒しになって?」
「ええっ、そん……っんん!」
これは、お仕置きされているようなものではないだろうか。
そう思い、反論しようとするものの、すぐに唇を塞がれてしまった。
指を絡めてぎゅっと握られ、ベッドに押し倒されて、キスが深まる。
「ふ、ん……っは……」
「……はぁ、かわい。もう少し……」
「んんっ……」
角度を変えて、また唇を奪われる。
そして、今度はシャツの裾を捲り上げられ、するりと大きな手が滑り込んできた。
0
お気に入りに追加
210
あなたにおすすめの小説
スノードロップに触れられない
ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照
BL
*表紙*
題字&イラスト:niia 様
※ 表紙の持ち出しはご遠慮ください
(拡大版は1ページ目に挿入させていただいております!)
アルファだから評価され、アルファだから期待される世界。
先天性のアルファとして生まれた松葉瀬陸真(まつばせ りくま)は、根っからのアルファ嫌いだった。
そんな陸真の怒りを鎮めるのは、いつだって自分よりも可哀想な存在……オメガという人種だ。
しかし、その考えはある日突然……一変した。
『四月から入社しました、矢車菊臣(やぐるま きくおみ)です。一応……先に言っておきますけど、ボクはオメガ性でぇす。……あっ。だからって、襲ったりしないでくださいねぇ?』
自分よりも楽観的に生き、オメガであることをまるで長所のように語る後輩……菊臣との出会い。
『職場のセンパイとして、人生のセンパイとして。後輩オメガに、松葉瀬センパイが知ってる悪いこと……全部、教えてください』
挑発的に笑う菊臣との出会いが、陸真の人生を変えていく。
周りからの身勝手な評価にうんざりし、ひねくれてしまった青年アルファが、自分より弱い存在である筈の後輩オメガによって変わっていくお話です。
可哀想なのはオメガだけじゃないのかもしれない。そんな、他のオメガバース作品とは少し違うかもしれないお話です。
自分勝手で俺様なアルファ嫌いの先輩アルファ×飄々としているあざと可愛い毒舌後輩オメガ でございます!!
※ アダルト表現のあるページにはタイトルの後ろに * と表記しておりますので、読む時はお気を付けください!!
※ この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

たしかなこと
大波小波
BL
白洲 沙穂(しらす さほ)は、カフェでアルバイトをする平凡なオメガだ。
ある日カフェに現れたアルファ男性・源 真輝(みなもと まさき)が体調不良を訴えた。
彼を介抱し見送った沙穂だったが、再び現れた真輝が大富豪だと知る。
そんな彼が言うことには。
「すでに私たちは、恋人同士なのだから」
僕なんかすぐに飽きるよね、と考えていた沙穂だったが、やがて二人は深い愛情で結ばれてゆく……。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。

お世話したいαしか勝たん!
沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。
悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…?
優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?!
※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる