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第四十五話 気になる人・2
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(ふぅ……ラブラブって、こういう事をいうのかな)
玄関で一人、熱くなった頬をパタパタ仰いで冷ます。
それから「よしっ」と気を取り直して、僕は部屋の戸締りを確認しにリビングへ向かった。
「ベランダは、閉まってる。あとはキッチンとベッドルームと……」
一部屋ずつ漏れのないよう確認し、全ての戸締りを万全にすると急に疲労感が襲ってきて、僕はベッドへと急いだ。
マットに腰を下ろすと安堵感に包まれ、そのまま横になり目を閉じる。
(はぁ……やっぱり、発情期は体力落ちるな。後でまた抑制剤、飲まなきゃ)
珍しく一人になった僕は、もっと寂しさを感じたり、一人で発情してしまうかもと懸念したりしていたのだけれど、それよりも疲労が勝り、パタリと深い眠りについたのだった。
・・・
「んー……」
目を覚ますと、時刻は先程より一時間ほど進んでいた。
(一時間ぐらい寝てたんだ……そうだ、抑制剤飲まないと)
本当なら、抑制剤を飲んでから寝た方が良かったのだけれど、その前に寝落ちしてしまったせいで、先ほどより症状が悪化している。
僕はゆっくりと身を起こすと、立ち上がってキッチンへ急いだ。
(抑制剤は……)
いつもの引き出しを開けると、そこには僕の分の抑制剤が、透明な袋に沢山用意されていた。
(あ、シグレさん、病院で貰ってきてくれたんだ)
発情期前に見た時は、もう少し量が少なかったと思うので、おそらく、僕の発情期に合わせて貰ってきてくれたのだろう。
いつも影でしっかりと気を遣ってくれるシグレさんに、じわじわと感謝の気持ちが沸いてくる。
(シグレさん……大好きです)
抑制剤を二錠、包装シートから取り出し、コップに水を注ぎながらシグレさんの事を想う。
そして、抑制剤を口に含もうとしたその時、シンクの端に何かあるのを視界の端に捉えた。
なんだろうと何気なく見てみると、それは一枚のメモだった。
(これは……)
メモには知らない誰かの名前と、スマートフォンの番号が書かれていた。
更にその下には、『キス止まり? エドナ・アロシュ』と走り書きされている。
(これ……シグレさんの字、だよね?エドナって、女の人の名前……?)
そう思った瞬間、全身から血の気が引いていくような感覚になり、僕はメモから目を逸らした。
考えたくないけれど、女性の名前と連絡先、それに……キス止まり?とは、どういうことだろう。
字の感じからして、おそらくシグレさんの字だとは思うけれど、シグレさんは普段から綺麗な字を書く人だ。
もし、このメモを書いたのが女性で、その人の字が綺麗だとするなら、シグレさんの字と見分けるのは割と難しい気もする。
(って、ちょっと待って……!それじゃあ、このエドナって人がメモを書いた可能性もあるって事に……)
そう考えると、不安はより一層大きくなってしまった。
よからぬ妄想が広がってしまいそうになり、僕は今一度冷静になろうと、頭を横に振って気を取り直す。
(き、きっとお仕事の事だよね。シグレさん小説家だし……そうだ、キスシーンとかで、担当さんと相談するってことかも!)
我ながら、正しい答えに辿り着いた気がして、ホッと胸を撫でおろす。
けれど、それなら『キス止まり?』なんて、意味深な表現で書くだろうか。
もし話し合いをするというのなら、『キスシーンの事で相談』とか『キスシーンの件で』とか、もう少し仕事っぽい言い回しになる気もする。
(キス止まり……)
せっかく一安心したと思ったのに、また振り出しに戻ってしまい、僕は深いため息をついたのだった。
玄関で一人、熱くなった頬をパタパタ仰いで冷ます。
それから「よしっ」と気を取り直して、僕は部屋の戸締りを確認しにリビングへ向かった。
「ベランダは、閉まってる。あとはキッチンとベッドルームと……」
一部屋ずつ漏れのないよう確認し、全ての戸締りを万全にすると急に疲労感が襲ってきて、僕はベッドへと急いだ。
マットに腰を下ろすと安堵感に包まれ、そのまま横になり目を閉じる。
(はぁ……やっぱり、発情期は体力落ちるな。後でまた抑制剤、飲まなきゃ)
珍しく一人になった僕は、もっと寂しさを感じたり、一人で発情してしまうかもと懸念したりしていたのだけれど、それよりも疲労が勝り、パタリと深い眠りについたのだった。
・・・
「んー……」
目を覚ますと、時刻は先程より一時間ほど進んでいた。
(一時間ぐらい寝てたんだ……そうだ、抑制剤飲まないと)
本当なら、抑制剤を飲んでから寝た方が良かったのだけれど、その前に寝落ちしてしまったせいで、先ほどより症状が悪化している。
僕はゆっくりと身を起こすと、立ち上がってキッチンへ急いだ。
(抑制剤は……)
いつもの引き出しを開けると、そこには僕の分の抑制剤が、透明な袋に沢山用意されていた。
(あ、シグレさん、病院で貰ってきてくれたんだ)
発情期前に見た時は、もう少し量が少なかったと思うので、おそらく、僕の発情期に合わせて貰ってきてくれたのだろう。
いつも影でしっかりと気を遣ってくれるシグレさんに、じわじわと感謝の気持ちが沸いてくる。
(シグレさん……大好きです)
抑制剤を二錠、包装シートから取り出し、コップに水を注ぎながらシグレさんの事を想う。
そして、抑制剤を口に含もうとしたその時、シンクの端に何かあるのを視界の端に捉えた。
なんだろうと何気なく見てみると、それは一枚のメモだった。
(これは……)
メモには知らない誰かの名前と、スマートフォンの番号が書かれていた。
更にその下には、『キス止まり? エドナ・アロシュ』と走り書きされている。
(これ……シグレさんの字、だよね?エドナって、女の人の名前……?)
そう思った瞬間、全身から血の気が引いていくような感覚になり、僕はメモから目を逸らした。
考えたくないけれど、女性の名前と連絡先、それに……キス止まり?とは、どういうことだろう。
字の感じからして、おそらくシグレさんの字だとは思うけれど、シグレさんは普段から綺麗な字を書く人だ。
もし、このメモを書いたのが女性で、その人の字が綺麗だとするなら、シグレさんの字と見分けるのは割と難しい気もする。
(って、ちょっと待って……!それじゃあ、このエドナって人がメモを書いた可能性もあるって事に……)
そう考えると、不安はより一層大きくなってしまった。
よからぬ妄想が広がってしまいそうになり、僕は今一度冷静になろうと、頭を横に振って気を取り直す。
(き、きっとお仕事の事だよね。シグレさん小説家だし……そうだ、キスシーンとかで、担当さんと相談するってことかも!)
我ながら、正しい答えに辿り着いた気がして、ホッと胸を撫でおろす。
けれど、それなら『キス止まり?』なんて、意味深な表現で書くだろうか。
もし話し合いをするというのなら、『キスシーンの事で相談』とか『キスシーンの件で』とか、もう少し仕事っぽい言い回しになる気もする。
(キス止まり……)
せっかく一安心したと思ったのに、また振り出しに戻ってしまい、僕は深いため息をついたのだった。
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