雇われオメガとご主人様

筍とるぞう

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第四十二話 飲ませてあげる

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(それって、つまり――……!)


以前、シグレさんに抑制剤を口移しで飲ませた事を思い出し、顔がカッと熱くなった。


”今度は俺が飲ませてあげる”


要するに、今度は僕がシグレさんに口移しで飲ませてもらう、という事だ。

考えただけで身体が反応しそうになり、僕はフルフルと頭を横に振って抗議する。


「……っそ、そんなの、だめです……!僕、いま発情期で、抑制剤だってちゃんと効かないかもですし、またシグレさんの邪魔をしてしまいますから……!」


昨日だって、僕は我慢できずに、シグレさんの元へ行ってしまったのだから。

〆切だって近付いているのだから、こんな風にイチャイチャするのは一旦終わりにしなければならない。

しかし、シグレさんは包装シートから抑制剤を取り出した。


「……ん、セイラ、おいで?」


「だっ、だめですって……!あっ」


なんとか逃れようとベッドから降りようとすると、すぐさま腕を掴まえられてしまった。

その拍子に振り返ると、後ろ頭に手が回され、強引に唇を奪われる。


「ん、んんっ……」

深く、熱いキスに心臓が壊れそうなほどドキドキと音を立てる。

耐えられず胸元を押し返すと、腰元に回された腕に力が込められ、完全に動きを封じられてしまった。


「ん、ぁ……っシグ、レさ……ふっ、ん」


「んー……はい、もう一錠」


「ちょっ……ま……んん……っ」


いけないと思いながらのキスは、なぜか凄く気持ちいい。


(こんなこと……ご主人様のお仕事の邪魔なんて、絶対、ダメなのに……気持ちい……っ)


頭では、シグレさんの為にも離れなければと思っているのに、身体は正直だ。

キスだけでトロトロにされてしまった僕の身体は、敏感な部分がすっかり立ち上がり、気が付けば、シグレさんの首元に両腕を回して抱き着いていた。


「ん、ふぁ……しぐれさん、すき……っきもちぃ、です……っ」


「ああ、セイラ……かわい過ぎるね。仕事に戻る前に、もう一度だけ抱いてもいい?」


「は、い……僕も、シグレさんと、したいです……」


「はぁ……もう」


こんな状態では、もはや素直に気持ちを打ち明ける事しか出来ず、瞳を潤ませて伝えると、シグレさんは甘いため息をついて僕を熱く見つめた。

それから僕の手を取り、手のひらにチュッとキスを落とす。


「なるべく、優しくするから」


「……っはい」


まっ赤になりつつも頷き答えると、今度はおでこにキスをされ、再び甘やかな時間が訪れたのだった。







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