雇われオメガとご主人様

筍とるぞう

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第二十二話

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「……ありがとうございます。でも、本当に忙しい時は言ってください。昼間なら安全だと思いますし、僕も気を付けますから」


少しでもシグレさんの役に立ちたくて、僕は懸命にそう伝えた。買い物は時間が掛かるし、締め切り間近なんかは、僕一人でも行けるようにしておきたい。


「わかったよ、ありがとう。なら、スマホと防犯ブザー、チョーカーは絶対に持って出るように、いいね?」


「はい、わかりました」


緊張気味に頷くと、シグレさんの手が頭に伸びてきて、優しく髪を撫でられる。


「まったく……こんなに可愛くて従順なΩが街を一人で歩いてたら、そこら中のαが寄ってきてしまうな」


「えっ……!?い、いえ、そんなことっ……」


謙遜すると、シグレさんが困ったような笑みを浮かべて、僕から手を離した。


「はぁ……おしまい。このまま触れてたら、また俺は原稿をほったらかしで暴走しそうだ。さて、もうお昼だし軽く食事をとって、また仕事だ」


「あっ、はいっ……!」


シグレさんは少々重いため息をつくと、ランチは何かデリバリーにしようと言い、スマホで調べ始めた。


◆◇◆


デリバリーで頼むことになったのは、ピザだった。

二人で少し話しながら食べていると時間はあっという間に過ぎ、シグレさんは時間を確認して慌てた表情で立ち上がった。


「おっと、いけない。これからまた原稿に戻るよ。セイラ、午後もよろしくね」


「はい!お任せください」


しっかりとした声で返事をすると、シグレさんは小さく微笑んで、部屋へ入っていった。


(よし、がんばろ!)


シグレさんが仕事をバリバリこなしている間、僕も皿洗いに部屋の掃除、観葉植物の水やりと、やる事は盛りだくさんだ。

それと、15時になったら一旦休憩でお茶とお菓子を運ぶ事になっている。

ちなみに、お茶とお菓子は僕の分もあるので、一緒に運んで来て欲しいとのことだった。


(……よし、皿洗い完了。次は)


僕は手を軽くタオルで拭くと、今度は掃除用具入れへ向かった。

扉を開けて、サイクロン式の掃除機を取り出す。

これで次は、床に掃除機をかける。

洗濯機は、さっき説明しながらシグレさんが回してくれたので、後は中身を干すだけだし、時間が余りそうならお茶の時間までに窓の拭き掃除も出来そうだ。

僕は掃除機を床にかけながら、これで少しはシグレさんの役に立てたかもと、僅かな満足感を感じたのだった。


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