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第十四話 お誘い
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・・・
「シグレさん、これで片付けしても良いですか?」
持ってきた箒と塵取りを高めに掲げ、僕はシグレさんにこれで良いかどうかを確認する。
「ああ、問題ない。こっちも丁度いい紙袋があったから、これに入れて捨てよう」
シグレさんも、破片を入れる為の袋を用意出来たらしく、早速、僕から箒と塵取りを受け取ろうと手を伸ばしてきた。
「ダ、ダメです……!僕が片付けますから」
「おっと、そうだった。ええと、じゃあこれをつけてやって。ケガをしたらいけないからね」
「これは……軍手、ですか?」
「そう、軍手。二重にしてあるけど、破片を触る際は気を付けて」
「……」
僕はおずおずと、分厚い軍手を受け取った。
触った感じ、二重にしなくても十分な厚さのある軍手だと分かる。
(こ、これ、逆にやりずらいんじゃ……?)
厚みで箒と塵取りが持ちにくい。
しかし、せっかくの好意を無駄にするわけにもいかない。
「じ……じゃあ、あとはお任せください」
「ありがとう。俺も、なるべく原稿早く片付けるから、ビーフシチューは一緒に食べよう」
「はい……!」
やはり、こうして任せて貰えるとホッとするし、夕飯を一緒に食べれるのは嬉しい。
(片付けたら、おいしいビーフシチュー作ろうっと)
片付けも夕飯の準備も大変な筈なのに、なんだか心がウキウキしてしまう。
僕は使用人という立場を忘れないよう気を付けながら、使命を全うしていった。
◆◇◆
――そして、時刻は21時。
シグレさんの仕事が一段落するのを待っていた為、遅めの夕食となった。
僕達は向かい合って座り "いただきます" をすると、温かいビーフシチューを口へ運んだ。
「ん……すごくおいしい」
ビーフシチューを飲み下しながら、シグレさんは目を輝かせる。
「本当ですか……!? 良かったー……かなり緊張しながら作ったので、そう言って頂けると嬉しいです」
「ふふ、そうなんだ。セイラの料理、すごく美味しいよ。だから、これからも自信を持って色々作るといい」
「は、はい……っ!ありがとうございます」
こんな風に褒められると、なんだか照れてしまう。
お礼を言いながら、僕は改めて充実したテーブルの上を見た。
テーブルには、清潔感のある白い皿に、綺麗に盛り付けられたビーフシチューとライス、それに、僕の好きなオレンジジュースが透明なコップに注がれている。
シグレさんは、上品な白いカップでストレートの紅茶を飲んでいる。
(なんか、夢みたい……)
施設にいた頃は考えられなかったような光景に、幸せな気持ちで一杯になる。
ここへ来れた事に、まずは感謝しなければならない。
僕はゆっくり噛み締めるように、ビーフシチューとライスを食べ進めていく。
そして暫しの沈黙の後、シグレさんが何かを思い出したように口を開いた。
「そうだ。セイラ、少し先の予定なんだけど……」
「あ、はい。メモしますか?」
仕事のスケジュールならカレンダーに書き込まなければと立ち上がりかけると、シグレさんに待ったをかけられた。
「いや、それは大丈夫、ありがとう。その……今の原稿が全て片付いたら、一緒に旅行にでも行かないかな、と思って。俺、旅って好きなんだ。色んなインスピレーションが得られるし、ストレス解消にもなるからね。だから……もし、セイラが良かったら、どうかな。行き先は……その、おススメの場所があるから、良ければ宿泊先も含めて、手配するよ」
シグレさんはどこか照れくさそうに、後ろ頭に手をやりながら微笑む。
「え……ええっ……!?」
まさかの旅行のお誘いに、僕は驚きでスプーンを取り落としそうになり、慌てて持ち直す。
(シグレさんと、旅行……)
「シグレさん、これで片付けしても良いですか?」
持ってきた箒と塵取りを高めに掲げ、僕はシグレさんにこれで良いかどうかを確認する。
「ああ、問題ない。こっちも丁度いい紙袋があったから、これに入れて捨てよう」
シグレさんも、破片を入れる為の袋を用意出来たらしく、早速、僕から箒と塵取りを受け取ろうと手を伸ばしてきた。
「ダ、ダメです……!僕が片付けますから」
「おっと、そうだった。ええと、じゃあこれをつけてやって。ケガをしたらいけないからね」
「これは……軍手、ですか?」
「そう、軍手。二重にしてあるけど、破片を触る際は気を付けて」
「……」
僕はおずおずと、分厚い軍手を受け取った。
触った感じ、二重にしなくても十分な厚さのある軍手だと分かる。
(こ、これ、逆にやりずらいんじゃ……?)
厚みで箒と塵取りが持ちにくい。
しかし、せっかくの好意を無駄にするわけにもいかない。
「じ……じゃあ、あとはお任せください」
「ありがとう。俺も、なるべく原稿早く片付けるから、ビーフシチューは一緒に食べよう」
「はい……!」
やはり、こうして任せて貰えるとホッとするし、夕飯を一緒に食べれるのは嬉しい。
(片付けたら、おいしいビーフシチュー作ろうっと)
片付けも夕飯の準備も大変な筈なのに、なんだか心がウキウキしてしまう。
僕は使用人という立場を忘れないよう気を付けながら、使命を全うしていった。
◆◇◆
――そして、時刻は21時。
シグレさんの仕事が一段落するのを待っていた為、遅めの夕食となった。
僕達は向かい合って座り "いただきます" をすると、温かいビーフシチューを口へ運んだ。
「ん……すごくおいしい」
ビーフシチューを飲み下しながら、シグレさんは目を輝かせる。
「本当ですか……!? 良かったー……かなり緊張しながら作ったので、そう言って頂けると嬉しいです」
「ふふ、そうなんだ。セイラの料理、すごく美味しいよ。だから、これからも自信を持って色々作るといい」
「は、はい……っ!ありがとうございます」
こんな風に褒められると、なんだか照れてしまう。
お礼を言いながら、僕は改めて充実したテーブルの上を見た。
テーブルには、清潔感のある白い皿に、綺麗に盛り付けられたビーフシチューとライス、それに、僕の好きなオレンジジュースが透明なコップに注がれている。
シグレさんは、上品な白いカップでストレートの紅茶を飲んでいる。
(なんか、夢みたい……)
施設にいた頃は考えられなかったような光景に、幸せな気持ちで一杯になる。
ここへ来れた事に、まずは感謝しなければならない。
僕はゆっくり噛み締めるように、ビーフシチューとライスを食べ進めていく。
そして暫しの沈黙の後、シグレさんが何かを思い出したように口を開いた。
「そうだ。セイラ、少し先の予定なんだけど……」
「あ、はい。メモしますか?」
仕事のスケジュールならカレンダーに書き込まなければと立ち上がりかけると、シグレさんに待ったをかけられた。
「いや、それは大丈夫、ありがとう。その……今の原稿が全て片付いたら、一緒に旅行にでも行かないかな、と思って。俺、旅って好きなんだ。色んなインスピレーションが得られるし、ストレス解消にもなるからね。だから……もし、セイラが良かったら、どうかな。行き先は……その、おススメの場所があるから、良ければ宿泊先も含めて、手配するよ」
シグレさんはどこか照れくさそうに、後ろ頭に手をやりながら微笑む。
「え……ええっ……!?」
まさかの旅行のお誘いに、僕は驚きでスプーンを取り落としそうになり、慌てて持ち直す。
(シグレさんと、旅行……)
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