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第八話 夢
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◇◆◇
……夢を見ていた。
――僕は今、施設にいる。
(あ、あの人は……)
そこへ、薄いブラウンの髪を靡かせた男性が一人、こちらへ向かってやってくる。
「セイラ、迎えに来たよ」
「シグレさん……」
そうだ、この人はシグレさん。
なんだ、知ってる人じゃないか……ぼうっと彼を見つめたまま、僕はそう思った。
低すぎない心地よいテノールが優しく耳に響く。
「こんにちは、シグレ・ロゼです。セイラ、実は……君に……」
「え……?」
手招きされて、僕は首を傾げる。
どうしてもシグレさんの声が、途中からちゃんと聞き取れない。
「セイラ……」
「え……ちょっ……」
シグレさんは僕の方へゆっくりと近付いてきて、目の前まで来ると、僕の頬に優しく手を添えた。
そして綺麗な顔が近付き、唇が触れそうになる。
(……っ!)
ドキドキが激しくなり、思わずぎゅっと目を瞑る。
少しして、軽く唇を奪われたかと思うと、そのまま首筋へと下りていく。
「あっ……だめ……!」
項を指先でなぞられ、全身がビクンッと震える。
このままでは、僕はシグレさんの番にされてしまう……!
「待って……まだ、心の準備が……っ」
僕は必死に彼の胸を押し返す。
けれど、全力で拒絶しているわけでもない。
(なんだろう……このまま許してしまっても、いいような……)
そう思うけれど、番になるにはまだ早いのは間違いない。
まだ出会ったばかりでよく知らない相手だし、番になる決断はΩにとって、とても重要な事なのだ。
けれど、シグレさんは僕の項に歯を立てた。
(もう、ダメだ――!)
その瞬間、目の前が真っ白になった。
◆◇◆
「……っ!」
ソファーの上で、僕はハッと目を覚ました。
(あ……夢……?)
僅かに首筋に汗が伝う感覚があり、軽く手で拭うと、思ったよりもびっしょりと汗をかいていた。
しかも、腰元がズクズクと疼くので見てみれば、中心はすっかりズボンを押し上げてしまっていた。
(ああ、あんな夢見たから……っていうか、ここシグレさんの家なのに……っ……え?)
現状を思い出し、慌てて身を起こそうとすると、肩にずっしりとした感覚があって動けない。一体何が……
(シ、シグレさん……!?)
僕の肩には、いつの間にか隣に座っていたシグレさんの頭が乗っていた。
(……寝てる)
シグレさんは、僕の肩に寄りかかり、スヤスヤと眠っている。僕が寝ていたから、つられて寝てしまったのかもしれない。
それにしても、一体どうすれば良いやら判断がつかない。
僕はわからないなりにあれこれと思考を巡らせ、ふと、テーブルに目をやると……そこにはきちんと、ホットコーヒーとオレンジジュースが、美味しそうなお菓子と共に準備されていた。
(シグレさん、お菓子まで用意してくれたんだ……コーヒー、冷めちゃうよな)
とりあえず、コーヒーが冷めるからという理由で、僕はシグレさんを起こす事にした。
……夢を見ていた。
――僕は今、施設にいる。
(あ、あの人は……)
そこへ、薄いブラウンの髪を靡かせた男性が一人、こちらへ向かってやってくる。
「セイラ、迎えに来たよ」
「シグレさん……」
そうだ、この人はシグレさん。
なんだ、知ってる人じゃないか……ぼうっと彼を見つめたまま、僕はそう思った。
低すぎない心地よいテノールが優しく耳に響く。
「こんにちは、シグレ・ロゼです。セイラ、実は……君に……」
「え……?」
手招きされて、僕は首を傾げる。
どうしてもシグレさんの声が、途中からちゃんと聞き取れない。
「セイラ……」
「え……ちょっ……」
シグレさんは僕の方へゆっくりと近付いてきて、目の前まで来ると、僕の頬に優しく手を添えた。
そして綺麗な顔が近付き、唇が触れそうになる。
(……っ!)
ドキドキが激しくなり、思わずぎゅっと目を瞑る。
少しして、軽く唇を奪われたかと思うと、そのまま首筋へと下りていく。
「あっ……だめ……!」
項を指先でなぞられ、全身がビクンッと震える。
このままでは、僕はシグレさんの番にされてしまう……!
「待って……まだ、心の準備が……っ」
僕は必死に彼の胸を押し返す。
けれど、全力で拒絶しているわけでもない。
(なんだろう……このまま許してしまっても、いいような……)
そう思うけれど、番になるにはまだ早いのは間違いない。
まだ出会ったばかりでよく知らない相手だし、番になる決断はΩにとって、とても重要な事なのだ。
けれど、シグレさんは僕の項に歯を立てた。
(もう、ダメだ――!)
その瞬間、目の前が真っ白になった。
◆◇◆
「……っ!」
ソファーの上で、僕はハッと目を覚ました。
(あ……夢……?)
僅かに首筋に汗が伝う感覚があり、軽く手で拭うと、思ったよりもびっしょりと汗をかいていた。
しかも、腰元がズクズクと疼くので見てみれば、中心はすっかりズボンを押し上げてしまっていた。
(ああ、あんな夢見たから……っていうか、ここシグレさんの家なのに……っ……え?)
現状を思い出し、慌てて身を起こそうとすると、肩にずっしりとした感覚があって動けない。一体何が……
(シ、シグレさん……!?)
僕の肩には、いつの間にか隣に座っていたシグレさんの頭が乗っていた。
(……寝てる)
シグレさんは、僕の肩に寄りかかり、スヤスヤと眠っている。僕が寝ていたから、つられて寝てしまったのかもしれない。
それにしても、一体どうすれば良いやら判断がつかない。
僕はわからないなりにあれこれと思考を巡らせ、ふと、テーブルに目をやると……そこにはきちんと、ホットコーヒーとオレンジジュースが、美味しそうなお菓子と共に準備されていた。
(シグレさん、お菓子まで用意してくれたんだ……コーヒー、冷めちゃうよな)
とりあえず、コーヒーが冷めるからという理由で、僕はシグレさんを起こす事にした。
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