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私と最愛の魔法使い~王女様、私の夫に惚れられても困ります!~
レイの変化
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シェリーはようやく僕を受け入れてくれた。
彼女がアッシュを選んだことは、覚悟はしていたが目の当たりにするとやはり落ち込んだ。夢の中で彼女に別れを告げられた時、僕はこのままシェリーの目の前に現れず、姿を消した方がいいのではないかと本気で思った。しかし、それができなかったのは、アッシュは消え、僕は生きているからだ。
愛していた故人を超えることはできないかもしれないが、共に生きていくことはできる。側にさえいれば、これから起こり得る、喜びも悲しみも共有できるのは生きている者の特権だ。
ただ一つ気掛かりなことがある。シェリーは、アッシュとエステルが婚姻による誓約で共に死んだと信じ疑っていないようだが、僕はやや疑問が残っていた。アッシュの死を目の当たりにしていないし、聖女の誓いについては詳しくない。魔力が関係する誓約は複雑で、かけた本人ですらも予想できないことが起こり得る。
シェリーがアッシュの死に納得しているのであれば、そのことについて僕が何か言うつもりはない。わざわざ寝た子を起こすほど僕はお人好しではないし、2年も音沙汰がないのだから、本当に死んだ可能性が高いからだ。期待だけさせて、子どももいるシェリーがアッシュの帰りを待ち続けるのはあまりにも酷だ。
シェリーには、僕に対して申し訳なく思うのはやめて欲しいと言ったが、それは本心だ。彼女を守れなかった自分の不甲斐なさが原因だし、元々シェリーがアッシュに対して恋心を抱いていたのは知っていたからだ。
しかし、アッシュに対しては、安らかにお眠りくださいなどと穏やかな感情を持つことはできなかった。シェリーはアッシュの石碑を作り、毎年エステルが死んだ日に祈りを捧げているようだったが、僕はとても祈りを捧げるような気にはなれない。
最愛の妻を寝取った挙げ句、子どもを孕ませ、無責任に姿を消しても尚、シェリーの心に居座り続ける奴が憎かった。
本音を言えば、「幼馴染で生まれも育ちも一緒」というのは、僕からすれば越えられない壁のようなものがあった。アッシュはああも破綻した性格なのに、幼馴染で能力が高いというだけでシェリーから愛されているような気がしてひどく羨ましかった。
2年ぶりに抱いたシェリーは以前と変わらず美しかったが、以前のように何の憂いもなく、ただ僕を愛し、情熱的に抱かれるというよりは、その表情には切なさと迷い、憂いと喜びのような複雑な感情が混在していた。
以前のシェリーは、朗らかで快活で優しい印象だったが、今は時折、蠱惑的に見える時があり、別人なのではないかと思うことがあった。しかし、僕は変わらず彼女を愛しているし、むしろ以前よりも想いが強くなった気がする。抱いているこの瞬間も、彼女を手に入れているのに、逃げられてしまいそうな焦燥感を抱いた。その焦燥感がぼくをより一層掻き立て、ほの暗い独占欲を抱かせた。
シェリーの肌や体液は甘く、まるで麻薬のようだった。以前の彼女との交わりは、幸福感に包まれた優しいものだったが、今は彼女を誰にも渡したくない、ずっと繋がっていたいという激情に支配されていた。
僕にこんな感情があるなんて自分でも予想外だ。シェリーとフィガロに逃げた時、彼女が愛しく、守りたいという強い感情はあったが、狂気じみた独占欲はなかった。アッシュに連れ戻された時も、元気でいて欲しい、笑っていてくれればそれでいいという穏やかな感情の方が先に立っていたが、今は違う。シェリーの肌に触れ、この甘さを味わい、彼女の中に放った男がいたなど信じたくもなかった。
死んでいるのか生きているのか、シェリーを捨てて逃げたのか知らないが、万が一あいつが戻ってきたとしても、僕はもう一歩も引く気はなかった。シェリーは僕の妻で、アリシアはナタリーと僕の子だ。
アッシュが永遠に僕たちの目の前に現れませんように····この時ばかりは僕も神に祈りを捧げた。
彼女がアッシュを選んだことは、覚悟はしていたが目の当たりにするとやはり落ち込んだ。夢の中で彼女に別れを告げられた時、僕はこのままシェリーの目の前に現れず、姿を消した方がいいのではないかと本気で思った。しかし、それができなかったのは、アッシュは消え、僕は生きているからだ。
愛していた故人を超えることはできないかもしれないが、共に生きていくことはできる。側にさえいれば、これから起こり得る、喜びも悲しみも共有できるのは生きている者の特権だ。
ただ一つ気掛かりなことがある。シェリーは、アッシュとエステルが婚姻による誓約で共に死んだと信じ疑っていないようだが、僕はやや疑問が残っていた。アッシュの死を目の当たりにしていないし、聖女の誓いについては詳しくない。魔力が関係する誓約は複雑で、かけた本人ですらも予想できないことが起こり得る。
シェリーがアッシュの死に納得しているのであれば、そのことについて僕が何か言うつもりはない。わざわざ寝た子を起こすほど僕はお人好しではないし、2年も音沙汰がないのだから、本当に死んだ可能性が高いからだ。期待だけさせて、子どももいるシェリーがアッシュの帰りを待ち続けるのはあまりにも酷だ。
シェリーには、僕に対して申し訳なく思うのはやめて欲しいと言ったが、それは本心だ。彼女を守れなかった自分の不甲斐なさが原因だし、元々シェリーがアッシュに対して恋心を抱いていたのは知っていたからだ。
しかし、アッシュに対しては、安らかにお眠りくださいなどと穏やかな感情を持つことはできなかった。シェリーはアッシュの石碑を作り、毎年エステルが死んだ日に祈りを捧げているようだったが、僕はとても祈りを捧げるような気にはなれない。
最愛の妻を寝取った挙げ句、子どもを孕ませ、無責任に姿を消しても尚、シェリーの心に居座り続ける奴が憎かった。
本音を言えば、「幼馴染で生まれも育ちも一緒」というのは、僕からすれば越えられない壁のようなものがあった。アッシュはああも破綻した性格なのに、幼馴染で能力が高いというだけでシェリーから愛されているような気がしてひどく羨ましかった。
2年ぶりに抱いたシェリーは以前と変わらず美しかったが、以前のように何の憂いもなく、ただ僕を愛し、情熱的に抱かれるというよりは、その表情には切なさと迷い、憂いと喜びのような複雑な感情が混在していた。
以前のシェリーは、朗らかで快活で優しい印象だったが、今は時折、蠱惑的に見える時があり、別人なのではないかと思うことがあった。しかし、僕は変わらず彼女を愛しているし、むしろ以前よりも想いが強くなった気がする。抱いているこの瞬間も、彼女を手に入れているのに、逃げられてしまいそうな焦燥感を抱いた。その焦燥感がぼくをより一層掻き立て、ほの暗い独占欲を抱かせた。
シェリーの肌や体液は甘く、まるで麻薬のようだった。以前の彼女との交わりは、幸福感に包まれた優しいものだったが、今は彼女を誰にも渡したくない、ずっと繋がっていたいという激情に支配されていた。
僕にこんな感情があるなんて自分でも予想外だ。シェリーとフィガロに逃げた時、彼女が愛しく、守りたいという強い感情はあったが、狂気じみた独占欲はなかった。アッシュに連れ戻された時も、元気でいて欲しい、笑っていてくれればそれでいいという穏やかな感情の方が先に立っていたが、今は違う。シェリーの肌に触れ、この甘さを味わい、彼女の中に放った男がいたなど信じたくもなかった。
死んでいるのか生きているのか、シェリーを捨てて逃げたのか知らないが、万が一あいつが戻ってきたとしても、僕はもう一歩も引く気はなかった。シェリーは僕の妻で、アリシアはナタリーと僕の子だ。
アッシュが永遠に僕たちの目の前に現れませんように····この時ばかりは僕も神に祈りを捧げた。
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