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私と最愛の魔法使い~王女様、私の夫に惚れられても困ります!~
レイとの再会
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「············ウィル?───」
「君を探すのに時間がかかってしまった。成功するか分からなかったけど、夢の中に会いに行ったんだ。そしたらやっと繋がった。」
ナタリーは目の前にいるウィルを不思議な気持ちで見つめた。ナタリーの大好きな頃のままの、人好きのする笑顔を浮かべてウィルが立っている。
「おかえりって言ってくれないの?····」
「───ごめんなさい、私···───」
ウィルは手でナタリーが何か言おうとするのを制した。
「ナタリー、謝罪はいらない。自分を責める言葉もいらない。夢で散々聞いたよ。そんなことが聞きたいんじゃないんだ。」
ウィルは何かを堪えるような表情をしてナタリーの両手を握った。
「僕は、君に会えてすごく嬉しい。シェリー····ナタリーは?僕の顔なんてもう見たくない?」
「───そんなわけないじゃないウィル······!!私だって会えてうれしいわよ。でも、もう····あなたに合わせる顔がなかったから───」
ウィルは涙が溢れて止まらないナタリーを抱き締めた。
「僕は自分の意思でここに来たんだ。君が僕に会い辛いだろうなって承知の上で勝手に来た。僕の意思や行動をナタリーが決めることはできないだろ?君には悪いけど、僕の好きにさせて。」
「─────無事で良かったわウィル。」
ウィルはナタリーから体を離し、はにかむような笑顔を見せた。
「実はもう『ウィル』はいないんだ。レイって呼んで。········色々話したいこともあるし、良ければ中に入れてくれない?その子が起きないように静かに話すよ。」
レイは、ドア越しに見える赤ん坊用のベッドをチラッと見た。
「うん·······どうぞ、入ってレイ。」
ナタリーはレイを促し、家の中へ招き入れた。
レイは寝ているアリシアにそっと近付き、目を細め優しげな笑みを浮かべた。
「かわいい子だね。君に似てる。····アッシュにも。」
やはり遺恨があるのか、アッシュの名前を出すのに少しのためらいが感じられた。
「ありがとう。アリシアよ。3ヶ月なの。」
ナタリーはレイに飲み物を出した。レイは椅子に腰かけると、これまでのことについて話し始めた。
カイザーがウィルの替え玉となり、王女と結婚し実質権力を握っていること、ウィルはナタリーを探したがなかなか見つけることができず、時間がかかってしまったこと、エステルの訃報に驚き、間接的にアッシュの死を知ったことを話してくれた。
「実は、ここに来る前に王族のルイーゼに会ったんだ。僕が魔法使いだと言ったら、歓迎すると言ってくれた。この国のために尽力する代わりに、住居や生活面で面倒みてくれるって約束してくれたよ。僕が近くにいるのはナタリーは落ち着かないかもしれないけど·····困らせるようなことはしないから安心して。······でも、側にいることは許してほしい。前みたいに友達だと思ってくれてもいいよ。」
レイはなんでもないように話していたが、彼がナタリーを安心させようと無理をしている時、瞳の奥が少し揺らぐのをナタリーは知っていた。こんな言葉をレイに言わせてしまったことがひどく悲しかった。
「うん······分かったわレイ。でも、あなたがあなた自身の幸せを見つけたら、その時は迷わないで。私にも教えてくれたら嬉しい。」
レイがここにいると決めた以上、ナタリーがそのことに口を出すことはできない。そもそも、帝国はまだまだ魔法使いが人権を取り戻すには時間がかかる。名前も戸籍も失くしたレイにとっても、この国にいる方が安全だし必要とされるだろう。
「───分かった。じゃあ、僕はルイーゼに会ってくるよ。今後のことについて話があるって言われてるんだ。じゃあ、またねナタリー。」
レイは帰り際、すやすやと寝ているアリシアの髪をそっと撫で、「君もまたね。」と小声で言うと、ナタリーの家を出て行った。
レイが扉から出ていった時、ちょうど入れ違いにエルが訪ねてきた。エルはレイの顔と後ろ姿をじろじろと見た後、興奮気味にナタリーに問い質した。
「──ちょっとナタリー!あの若い男だれよ!?なんであなたの家から出てくるの?どういう関係!?」
ナタリーは、よりにもよって噂好きのエルにレイを見られてしまい、なんと説明しようか頭を悩ませるのだった。
「君を探すのに時間がかかってしまった。成功するか分からなかったけど、夢の中に会いに行ったんだ。そしたらやっと繋がった。」
ナタリーは目の前にいるウィルを不思議な気持ちで見つめた。ナタリーの大好きな頃のままの、人好きのする笑顔を浮かべてウィルが立っている。
「おかえりって言ってくれないの?····」
「───ごめんなさい、私···───」
ウィルは手でナタリーが何か言おうとするのを制した。
「ナタリー、謝罪はいらない。自分を責める言葉もいらない。夢で散々聞いたよ。そんなことが聞きたいんじゃないんだ。」
ウィルは何かを堪えるような表情をしてナタリーの両手を握った。
「僕は、君に会えてすごく嬉しい。シェリー····ナタリーは?僕の顔なんてもう見たくない?」
「───そんなわけないじゃないウィル······!!私だって会えてうれしいわよ。でも、もう····あなたに合わせる顔がなかったから───」
ウィルは涙が溢れて止まらないナタリーを抱き締めた。
「僕は自分の意思でここに来たんだ。君が僕に会い辛いだろうなって承知の上で勝手に来た。僕の意思や行動をナタリーが決めることはできないだろ?君には悪いけど、僕の好きにさせて。」
「─────無事で良かったわウィル。」
ウィルはナタリーから体を離し、はにかむような笑顔を見せた。
「実はもう『ウィル』はいないんだ。レイって呼んで。········色々話したいこともあるし、良ければ中に入れてくれない?その子が起きないように静かに話すよ。」
レイは、ドア越しに見える赤ん坊用のベッドをチラッと見た。
「うん·······どうぞ、入ってレイ。」
ナタリーはレイを促し、家の中へ招き入れた。
レイは寝ているアリシアにそっと近付き、目を細め優しげな笑みを浮かべた。
「かわいい子だね。君に似てる。····アッシュにも。」
やはり遺恨があるのか、アッシュの名前を出すのに少しのためらいが感じられた。
「ありがとう。アリシアよ。3ヶ月なの。」
ナタリーはレイに飲み物を出した。レイは椅子に腰かけると、これまでのことについて話し始めた。
カイザーがウィルの替え玉となり、王女と結婚し実質権力を握っていること、ウィルはナタリーを探したがなかなか見つけることができず、時間がかかってしまったこと、エステルの訃報に驚き、間接的にアッシュの死を知ったことを話してくれた。
「実は、ここに来る前に王族のルイーゼに会ったんだ。僕が魔法使いだと言ったら、歓迎すると言ってくれた。この国のために尽力する代わりに、住居や生活面で面倒みてくれるって約束してくれたよ。僕が近くにいるのはナタリーは落ち着かないかもしれないけど·····困らせるようなことはしないから安心して。······でも、側にいることは許してほしい。前みたいに友達だと思ってくれてもいいよ。」
レイはなんでもないように話していたが、彼がナタリーを安心させようと無理をしている時、瞳の奥が少し揺らぐのをナタリーは知っていた。こんな言葉をレイに言わせてしまったことがひどく悲しかった。
「うん······分かったわレイ。でも、あなたがあなた自身の幸せを見つけたら、その時は迷わないで。私にも教えてくれたら嬉しい。」
レイがここにいると決めた以上、ナタリーがそのことに口を出すことはできない。そもそも、帝国はまだまだ魔法使いが人権を取り戻すには時間がかかる。名前も戸籍も失くしたレイにとっても、この国にいる方が安全だし必要とされるだろう。
「───分かった。じゃあ、僕はルイーゼに会ってくるよ。今後のことについて話があるって言われてるんだ。じゃあ、またねナタリー。」
レイは帰り際、すやすやと寝ているアリシアの髪をそっと撫で、「君もまたね。」と小声で言うと、ナタリーの家を出て行った。
レイが扉から出ていった時、ちょうど入れ違いにエルが訪ねてきた。エルはレイの顔と後ろ姿をじろじろと見た後、興奮気味にナタリーに問い質した。
「──ちょっとナタリー!あの若い男だれよ!?なんであなたの家から出てくるの?どういう関係!?」
ナタリーは、よりにもよって噂好きのエルにレイを見られてしまい、なんと説明しようか頭を悩ませるのだった。
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