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私と最愛の魔法使い~王女様、私の夫に惚れられても困ります!~
夢の中で
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ナタリーとアッシュの子どもは、アッシュの名前にちなんで『アリシア』と名付けられた。アリシアは白銀の髪を持つ神秘的な容姿をした女児で、どこからどう見てもアッシュの子だった。
ナタリーはアリシアを初めて見たとき、ひどく奇妙だが、アッシュがナタリーの子どもとして生まれ変わってきてくれたのではないかという錯覚に陥った。そんなはずはないと自身でも分かってはいるのだが、それほどアリシアはアッシュに似ていた。
アリシアとの生活は、赤ん坊を育てた経験のないナタリーにとって苦難と忍耐の連続だったが、無垢で小さな手や紅いぷっくりとしたほっぺを見ていると、堪らなく愛しく幸福な気持ちになった。アッシュの死を知り自暴自棄になった時、もしも自ら命を絶つという選択をしていれば、ナタリーはこの子に会えていなかったと思うと本当にゾッとした。
アリシアが3ヶ月になる頃には子育てにも慣れ、少し余裕が出てきたナタリーだったが、そのことによって、再び夜になると悲しみに襲われる日々が始まった。
夢の中にはアッシュやエステルが出てくることもあれば、ケイリーやジークリート、懐かしい魔法使いの仲間が出てくることもあった。
そして、ナタリーの心の中で、アッシュと共に忘れることができないウィルもまた、頻繁にナタリーに夢の中で話しかけてくるようになった。夢の中ではウィルとナタリーは、フィガロで暮らしたあの家で、夫婦仲良く話ができた。
ウィルは寂しそうに笑いながら、ナタリーに話しかけてきた。
「·····ナタリー久しぶり。僕のこともう忘れちゃった?」
「ウィル。······元気??忘れてなんかないわ。王女様にひどい目に合わされてない?私はもうひどい有り様。自業自得よね。あなたを裏切ってアッシュを選んだのに、アッシュは遠くへ旅立ってしまった。今は産まれたばかりの子どもと2人きり。」
「僕は君を忘れたことは1日だってないよ。ナタリーがあの人を選んだのはすごくショックだけど·····でもそれは仕方ない。僕は君を守れなかったんだから当然の結果さ。·····辛い時に側にいれなくてごめんね。」
「どうしてウィルが謝るの?私のことは忘れて、ウィルは幸せになって。もう私に関わってはダメよ。私は疫病神なの。そのせいでアッシュは死に、あなたは苦境に立たされた。」
「ナタリー、自分を責めないで。僕は君を愛してるんだ····あの時言っただろ?どんなことがあっても、愛してるのは君だけだって。僕の気持ちまでなかったことにしないで。」
ナタリーは涙を流しながら、ウィルの頬を撫でた。
「私を許さないでほしいのウィル·····私はあなたに愛される価値はないわ。元気で、さようなら私のレイ。」
レイの美しい瞳から一筋の涙が流れた。ひどく悲しそうなレイを見ると、シェリーもひどく心が痛み、駆け寄りたくなったがぐっと堪え、フィガロの家を出ていった。
ナタリーははっと目を覚ました。
アリシアはまだすやすやと寝息を立てて寝ている。ナタリーも気が付いたら寝てしまっていたようだ。
それにしても、何と自分に都合のいい夢だろうか。これがナタリーのウィルに対する願望ならば、本気で自分が嫌いになりそうだ。ナタリーがウィルを捨てたくせに、アッシュが死んでしまった後は、ウィルに自分を許してほしい、まだ愛していて欲しいという自分勝手な願望でもあるというのだろうか。
ナタリーが頭を抱え、罪悪感からしばらくうずくまっていた時だった。
ドアをトントンと軽くノックされた。
エルがいつものように様子を見にきてくれたのだ。
ナタリーはすぐにドアを開け、エルを迎え入れようとした。
「──エル、朝からごめんなさい。いつもありが·····と───」
「────ナタリー久しぶり。じゃないか。夢の中であったよね。」
扉の前に立っていたのは、1年前のあの頃と変わらない、ナタリーが愛した魔法使いウィルだった。
ナタリーはアリシアを初めて見たとき、ひどく奇妙だが、アッシュがナタリーの子どもとして生まれ変わってきてくれたのではないかという錯覚に陥った。そんなはずはないと自身でも分かってはいるのだが、それほどアリシアはアッシュに似ていた。
アリシアとの生活は、赤ん坊を育てた経験のないナタリーにとって苦難と忍耐の連続だったが、無垢で小さな手や紅いぷっくりとしたほっぺを見ていると、堪らなく愛しく幸福な気持ちになった。アッシュの死を知り自暴自棄になった時、もしも自ら命を絶つという選択をしていれば、ナタリーはこの子に会えていなかったと思うと本当にゾッとした。
アリシアが3ヶ月になる頃には子育てにも慣れ、少し余裕が出てきたナタリーだったが、そのことによって、再び夜になると悲しみに襲われる日々が始まった。
夢の中にはアッシュやエステルが出てくることもあれば、ケイリーやジークリート、懐かしい魔法使いの仲間が出てくることもあった。
そして、ナタリーの心の中で、アッシュと共に忘れることができないウィルもまた、頻繁にナタリーに夢の中で話しかけてくるようになった。夢の中ではウィルとナタリーは、フィガロで暮らしたあの家で、夫婦仲良く話ができた。
ウィルは寂しそうに笑いながら、ナタリーに話しかけてきた。
「·····ナタリー久しぶり。僕のこともう忘れちゃった?」
「ウィル。······元気??忘れてなんかないわ。王女様にひどい目に合わされてない?私はもうひどい有り様。自業自得よね。あなたを裏切ってアッシュを選んだのに、アッシュは遠くへ旅立ってしまった。今は産まれたばかりの子どもと2人きり。」
「僕は君を忘れたことは1日だってないよ。ナタリーがあの人を選んだのはすごくショックだけど·····でもそれは仕方ない。僕は君を守れなかったんだから当然の結果さ。·····辛い時に側にいれなくてごめんね。」
「どうしてウィルが謝るの?私のことは忘れて、ウィルは幸せになって。もう私に関わってはダメよ。私は疫病神なの。そのせいでアッシュは死に、あなたは苦境に立たされた。」
「ナタリー、自分を責めないで。僕は君を愛してるんだ····あの時言っただろ?どんなことがあっても、愛してるのは君だけだって。僕の気持ちまでなかったことにしないで。」
ナタリーは涙を流しながら、ウィルの頬を撫でた。
「私を許さないでほしいのウィル·····私はあなたに愛される価値はないわ。元気で、さようなら私のレイ。」
レイの美しい瞳から一筋の涙が流れた。ひどく悲しそうなレイを見ると、シェリーもひどく心が痛み、駆け寄りたくなったがぐっと堪え、フィガロの家を出ていった。
ナタリーははっと目を覚ました。
アリシアはまだすやすやと寝息を立てて寝ている。ナタリーも気が付いたら寝てしまっていたようだ。
それにしても、何と自分に都合のいい夢だろうか。これがナタリーのウィルに対する願望ならば、本気で自分が嫌いになりそうだ。ナタリーがウィルを捨てたくせに、アッシュが死んでしまった後は、ウィルに自分を許してほしい、まだ愛していて欲しいという自分勝手な願望でもあるというのだろうか。
ナタリーが頭を抱え、罪悪感からしばらくうずくまっていた時だった。
ドアをトントンと軽くノックされた。
エルがいつものように様子を見にきてくれたのだ。
ナタリーはすぐにドアを開け、エルを迎え入れようとした。
「──エル、朝からごめんなさい。いつもありが·····と───」
「────ナタリー久しぶり。じゃないか。夢の中であったよね。」
扉の前に立っていたのは、1年前のあの頃と変わらない、ナタリーが愛した魔法使いウィルだった。
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