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私と最愛の魔法使い~王女様、私の夫に惚れられても困ります!~

アッシュの愛し方

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 辺りが暗くなり、アッシュがなかなか帰ってこないのでナタリーは心配していると、アッシュがどこかで捕ってきたのか、魚を数匹両手に持ち、帰ってきた。
「ナタリー、飯にしよう。」
 アッシュはそれだけナタリーに言うと、魚を調理しに厨房へ行ってしまった。

 魚を焼いて戻ってきたアッシュは、ナタリーの座っているイスに料理の皿を置き、少し離れた席にアッシュも座り、無言で料理を食べ始めた。
 ナタリーは背中を向けているアッシュに向かって声をかけた。
「········アッシュ!さっきはごめんなさい───私、あなたがいなかったら今こうして生きてないのに·····本当に馬鹿なこと言ったわ、忘れて──」
「··········謝らなくていい。お前の言うとおりだからな。全部自分のためだ。」
 アッシュはナタリーに背を向けたまま言葉を続けた。
「側にいて欲しいと思い連れてきたのも、婚姻してまで逃げ出したお前を無理やり連れ戻したのも、ナタリーがいないと俺が困るからだ。ウィルが嫌いなのも、お前がアイツを愛してるから。今回助けたのも、ナタリーが死ぬのは俺が耐えられないからだ。」
「·······アッシュ·····」
「これからも、俺はこういう生き方しかできないと思う。お前を忘れて、新しい人生を生きるというのは俺には無理なんだ。そういう意味では、エステルと俺は似た者同士だな。エステルは前世の俺にこだわり、俺はお前にこだわってる。馬鹿みたいだろう?」
 ナタリーはアッシュの本心を聞き、堪らなく愛しい気持ちになってしまった。ウィルはナタリーのことを女性として愛してくれている。アッシュは、ナタリーが例え男だとしても、子どもや老人だとしても、エステルと大河のように死に別れ生まれ変わったとしても、同じように愛してくれる、そんな気がした。

 ナタリーは座っているアッシュを後ろから抱き締めた。
「きっと私たちは、魂で繋がってるのよ。だから離れられない。」
「·····俺はそういうの信じない。でも、お前と目の見えない何かで繋がって、離れられないのなら俺は嬉しい。」
 アッシュはナタリーの方を振り向き、2人は見つめ合った。
「───ナタリー、キスしたいんだ。してもいいか?」
 ナタリーは頷き、自分からアッシュに口付けた。久しぶりのアッシュとの口付けの感覚にナタリーは心酔してしまった。侍女時代、アッシュとのキス、またその先の行為を望んだ、当時の気持ちを思い出してしまった。

 会えなかった時間を埋めるように、2人は求め合い、夢中でお互いの唇を求め合った。
 (レイごめんなさい·····どんな時も愛し合うって誓い合ったのに、裏切る私を許さないで。)
 ウィルへの罪悪感はあったが、ナタリーは一度は死を覚悟したこと、死地を救ってくれたアッシュの存在が、心の大部分を支配していた。静まり返った教会には、アッシュとナタリーの息遣いだけがこだましている。まるで、この世界は2人だけしかいないような感覚に陥り、ナタリーは目の前にいるアッシュのことしか考えられなくなった。
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