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私と最愛の魔法使い~王女様、私の夫に惚れられても困ります!~
幼馴染とのケンカ
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ナタリーが目覚めると、アッシュはすでに起きていた。ナタリーの寝顔を見ていたのか、起きた瞬間に目が合い、ひどく恥ずかしくなってしまった。
「ごめん、寝ちゃってて······それで、アッシュはやることがあるって言ってたけど、すぐに発つの?」
「俺はもうしばらく時期を待つ。二週間後に王女の結婚式があるな。その数日前に動くつもりだ。」
「そうなんだ·····何にせよ、気をつけてね。王女は残忍だから。私は、少ししたらここを発つわ。───会えて嬉しかった。」
アッシュはため息をついた。
「ナタリー。行く当てもないのにここを出ていってどうする?この教会は結界が張ってあって、俺よりも劣っている魔法使いは入ってこられないし、見つかることもない。ここより安全な場所があるか?」
「·······でも、私がいたら迷惑でしょ?アッシュは一人で生活してたのに。」
「また捕まって、助けに行く羽目になる方が迷惑だ。つべこべ言わずにここにいろ。」
ここまで言われたら、断る理由がない。ナタリーだって、また乱暴されたり、死ぬかもしれないという恐怖を味わうのはごめんだった。
「はい··········お世話になります。」
「よし。それでいい。」
ナタリーは数日間、アッシュと2人きりで過ごすことになり、いささか緊張していた。幼馴染ではあるが、過去のいざこざやケイリーと話したこともあり、異性として意識せずに生活するという方が難しかった。
ナタリーが教会のイスに腰掛け考え事をしていると、アッシュがやってきて隣に座った。
「ナタリー、考え事か?もしかして、あいつのことか?ウィル。」
アッシュはウィルの話などしたくないかと思い、ナタリーは話題を避けていたが、アッシュ自らその話を持ち出したのは以外だった。
「──うん。今頃どうしてるかなって。上手く逃げ出してほしいけど、私は今何もしてあげられない。」
「··········お前を助け出しに行った時に分かったんだが、王宮には元上級魔法使い達が全員揃っていた。魔力を感じたから分かる。捕まったのではなく、おそらく自ら来たんだろうな。」
「え?カイザーもいたってこと?」
「エステルもいた。魔法使いのトップの奴らが、王宮に入り込む理由はいくつかある。人間界を乗っ取ろうとしてるか、取引をしているか、共生しようとしているかだ。そうしないと、現状魔法使いは追われ続けるし、正体を隠しながら生活しなければならないだろ?」
「·········うん。確かにそうね。」
「そうなると、アイツ····ウィルは魔法使いにとっても、王宮の人間にとっても、重要なカードなんだ。」
「ウィルがカード??」
「王女のお気に入りで、王配になる予定なんだろ?魔法使いから王配を出せば、さっき俺が言った、『乗っ取り』、『取引』、『共生』どの目的に置いても重要な役割を果たすことになる。」
「───ウィルの意思とは関係なく、利用されるかもしれないってこと?」
「その可能性もあるってことだ。目をつけられた以上、王配にならないからといって、のこのこナタリーのところに現れ、またお前を危険に巻き込んだら俺が許さない。」
アッシュの語気が強くなったのを見て、ナタリーは不安になってしまった。ウィルがナタリーの所に戻ってきたとしても、アッシュが以前のように、ウィルを目の敵にすることは避けたかった。
「アッシュ···だから、そもそもウィルのせいではないのよ。私が王女を助けなければ───」
「同じことだ。俺はナタリーを危険にさらしたくなかったから、憎かった奴にお前を託した。だが、奴はお前を守れなかった。だから今こんなことになっているんだろ?」
ナタリーはアッシュの言い様に腹が立ってきてしまった。
「そんな言い方はないでしょ?ウィルはいつも私の側にいてくれたわよ。託したって····私が守られないと生きていけない赤ちゃんだと思ってるの?」
「守られないと生きられないだろう?お前に何の力がある?何もないだろ。」
ナタリーは図星をつかれ、珍しく頭に血が上ってしまった。
「!!······誰だって自分じゃどうしようもないことがあるじゃない!あなたに助けてもらって感謝してるけど·····じゃあなぜ何もできない役立たずの私を側に置いたのよ?一度は逃げた私を、なぜ無理やり連れ戻したの!?私がいないと生きられないのはあなたの方じゃない!!」
ナタリーがそこまで言い切るとアッシュは押し黙り、無言でその場から立ち去ってしまった。
アッシュに助けてもらい、今は安全な場所に住まわせてもらっている身で、暴言を吐いてしまった自分に対して、ナタリーは激しく後悔し、頭を抱えた。
(アッシュと言い合いしたのは久しぶりね····)
ナタリーは後悔と同時に、なぜか懐かしい気持ちになっていた。
「ごめん、寝ちゃってて······それで、アッシュはやることがあるって言ってたけど、すぐに発つの?」
「俺はもうしばらく時期を待つ。二週間後に王女の結婚式があるな。その数日前に動くつもりだ。」
「そうなんだ·····何にせよ、気をつけてね。王女は残忍だから。私は、少ししたらここを発つわ。───会えて嬉しかった。」
アッシュはため息をついた。
「ナタリー。行く当てもないのにここを出ていってどうする?この教会は結界が張ってあって、俺よりも劣っている魔法使いは入ってこられないし、見つかることもない。ここより安全な場所があるか?」
「·······でも、私がいたら迷惑でしょ?アッシュは一人で生活してたのに。」
「また捕まって、助けに行く羽目になる方が迷惑だ。つべこべ言わずにここにいろ。」
ここまで言われたら、断る理由がない。ナタリーだって、また乱暴されたり、死ぬかもしれないという恐怖を味わうのはごめんだった。
「はい··········お世話になります。」
「よし。それでいい。」
ナタリーは数日間、アッシュと2人きりで過ごすことになり、いささか緊張していた。幼馴染ではあるが、過去のいざこざやケイリーと話したこともあり、異性として意識せずに生活するという方が難しかった。
ナタリーが教会のイスに腰掛け考え事をしていると、アッシュがやってきて隣に座った。
「ナタリー、考え事か?もしかして、あいつのことか?ウィル。」
アッシュはウィルの話などしたくないかと思い、ナタリーは話題を避けていたが、アッシュ自らその話を持ち出したのは以外だった。
「──うん。今頃どうしてるかなって。上手く逃げ出してほしいけど、私は今何もしてあげられない。」
「··········お前を助け出しに行った時に分かったんだが、王宮には元上級魔法使い達が全員揃っていた。魔力を感じたから分かる。捕まったのではなく、おそらく自ら来たんだろうな。」
「え?カイザーもいたってこと?」
「エステルもいた。魔法使いのトップの奴らが、王宮に入り込む理由はいくつかある。人間界を乗っ取ろうとしてるか、取引をしているか、共生しようとしているかだ。そうしないと、現状魔法使いは追われ続けるし、正体を隠しながら生活しなければならないだろ?」
「·········うん。確かにそうね。」
「そうなると、アイツ····ウィルは魔法使いにとっても、王宮の人間にとっても、重要なカードなんだ。」
「ウィルがカード??」
「王女のお気に入りで、王配になる予定なんだろ?魔法使いから王配を出せば、さっき俺が言った、『乗っ取り』、『取引』、『共生』どの目的に置いても重要な役割を果たすことになる。」
「───ウィルの意思とは関係なく、利用されるかもしれないってこと?」
「その可能性もあるってことだ。目をつけられた以上、王配にならないからといって、のこのこナタリーのところに現れ、またお前を危険に巻き込んだら俺が許さない。」
アッシュの語気が強くなったのを見て、ナタリーは不安になってしまった。ウィルがナタリーの所に戻ってきたとしても、アッシュが以前のように、ウィルを目の敵にすることは避けたかった。
「アッシュ···だから、そもそもウィルのせいではないのよ。私が王女を助けなければ───」
「同じことだ。俺はナタリーを危険にさらしたくなかったから、憎かった奴にお前を託した。だが、奴はお前を守れなかった。だから今こんなことになっているんだろ?」
ナタリーはアッシュの言い様に腹が立ってきてしまった。
「そんな言い方はないでしょ?ウィルはいつも私の側にいてくれたわよ。託したって····私が守られないと生きていけない赤ちゃんだと思ってるの?」
「守られないと生きられないだろう?お前に何の力がある?何もないだろ。」
ナタリーは図星をつかれ、珍しく頭に血が上ってしまった。
「!!······誰だって自分じゃどうしようもないことがあるじゃない!あなたに助けてもらって感謝してるけど·····じゃあなぜ何もできない役立たずの私を側に置いたのよ?一度は逃げた私を、なぜ無理やり連れ戻したの!?私がいないと生きられないのはあなたの方じゃない!!」
ナタリーがそこまで言い切るとアッシュは押し黙り、無言でその場から立ち去ってしまった。
アッシュに助けてもらい、今は安全な場所に住まわせてもらっている身で、暴言を吐いてしまった自分に対して、ナタリーは激しく後悔し、頭を抱えた。
(アッシュと言い合いしたのは久しぶりね····)
ナタリーは後悔と同時に、なぜか懐かしい気持ちになっていた。
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