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私と最愛の魔法使い~王女様、私の夫に惚れられても困ります!~

少女の正体

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「ジークリートとイース!?どうして2人が····じゃあ敵じゃないのかしら?あの子も魔法使い?」
「いや、分からない·····シェリー。今から僕が言うことよく聞いて。」
 レイはシェリーの両肩を掴み、はっきりとした口調でシェリーに言った。
「これから、僕たちはきっと何かに巻き込まれる。今までの生活は送れなくなると思った方がいい。そして、僕は今から、シェリーと僕が生き残れると思う最善の言動をするよ。前にも言ったけど、チャンスは待たないと訪れない。シェリーも、よく考えて行動するんだ。目先の感情で動いちゃダメだよ。」
「────うん、レイ、私分かってる。」
「僕が他の人の前で、何かを言ったとしても、それはきっと本心じゃない。愛しているのは君だけだ。それを忘れないで。」
 シェリーは頷くと、レイと強く抱き合った。

 2人とも軽く身支度をすると、覚悟を決めて外に出た。
 2人が出てくるのが分かっていたのか、イース、ジークリート、あの少女は静かに待っていた。少女は、貴族でもお目にかかれないような優雅なドレスを着て、髪も美しく結い上げていた。
「待ちくたびれたわ。先日はどうもありがとう、レイ、シェリー。間違えたわ、水属性上級魔法使いのウィル・アンダーソンと、孤児のナタリーね。偽名を使ってたなんて、驚いたわ!おまけに夫婦というのも嘘だったのね。戸籍を確認したけど、ウィルとナタリーは夫婦じゃない。」
「······あなたは、何者なんですか?」
 身分が高い人物であることは間違いない。レイは少女に聞いた。
「よくぞ聞いてくれたわウィル。私は、この国の第一王女、アレクシアよ。」
「お、王女様!?」
 シェリーは驚き、口を手で押さえた。
「立ち話もなんだから、私達と一緒に王宮に来て。念のために言っておくけど、あなたたちに選択肢はないわよ。一緒に行くか、ここで死ぬか、どちらかしかない。」
 ウィルは警戒したが、現状付いていくしか道はない。ジークリートとイースは、何らかの理由で王女に従っているのだろう。
「──分かりました。一緒に行きます。」
「うれしいわ。本当はウィルしかいらないんだけど、そこの女は大魔法使いアッシュの侍女だったそうね。何かに使えるかもしれないから、一緒にきて。」

 ウィルは王宮の場所が分からなかった為、ジークリートとイースの移動魔法で一緒に飛ぶことになった。ジークリートがレイとシェリーに近寄った時に、小声で
「ウィル、ナタリー本当にすまない。今は王女に逆らえないんだ。」
 と言った。

 シェリーはひどく後悔していた。王女を助けなければ、今もレイとシェリーは平穏で幸せな暮らしを送れていたのに。いつもシェリーが余計なことをして、レイを危険な目に合わせてしまう。
 しかし、何としても2人とも無事に生き残ろう。そう覚悟を決めて、シェリーは王宮に飛んだ。
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