43 / 121
私と幼馴染の最強魔法使い~幼馴染に運命の恋人が現れた!?~
母と娘
しおりを挟む
ナタリーはアネッサの家の中へ通され、紅茶を出された。ナタリーは何を話していいか分からず、紅茶を飲みながらしばらく黙っていると、アネッサが話し出した。
「あなたから、会いたいと連絡をもらって本当に嬉しかったわ。もう10年以上前に手紙を出したっきり、生きている間に会ってはもらえないものだと思っていたから。こんな私に会ってくれて、本当にありがとうナタリー。そして、謝って済むものではないけれど、本当にごめんなさい。あなたを捨てたこと、ずっと後悔してたの。」
アネッサは嗚咽するくらい泣き始めた。
ナタリーは、彼女への怒りも、強い感情もなかった為、少し困ってしまった。ナタリーは生まれながらに親がいなかった。母親の愛がどういうものか分からなかった。
「あの····泣かないでください。私はあなたを憎んでいません。ただ、私を産んだ人が、どんな人なのか気になったんです。父親のことも教えてくれませんか?」
アネッサは、ナタリーが憎んでないと言ったことで、心の荷が降りたのか、小さい声で「ありがとう。」と言った。
「私は若くて、本当に馬鹿だったの。一時の感情で、あなたの父親と関係を持ってしまった。その人は、町の外から来た男性で、付き合っていると思っていたのは私だけだった。私は捨てられて、あなたを身籠ったわ。親からも勘当され、1人では育てられなくなり、教会に置き去りにした。
「つまり、私の父親は町の外から来て、すぐにいなくなったということですか?」
アネッサは小さく頷いた。
ナタリーは、アネッサが気の毒になってしまった。18歳といえば、まだまだ子どもである。田舎町で普通の生活をしていた女の子が、外から来た悪い男に騙され、逃げられ、身籠った。頼る当てもなく、赤ん坊の命を優先し、やむ無く教会に預けたとすれば、ナタリーは命があるだけマシなのかもしれないと思った。
「どんな人だったんですか?私の父は。」
「····彼は、普通と違ってた。」
「普通と違う····?」
「異様に美しくて、魅惑的だった。悪魔が人の形をしているとすれば、あんな感じだと思う。」
アネッサは、昔の男の姿を思い浮かべているのか、どこか恍惚とした表情になった。
◇
その頃、アッシュとジークリートは、アネッサの雑貨屋の前をウロウロしていた。
「アッシュ様、ナタリーは積もる話しもあるでしょうし、まだしばらくかかります。せっかく人間界に来たんですから、散策してみましょう。綺麗な町じゃないですか。」
ジークリートがそう提案すると、アッシュは不機嫌そうに答えた。
「なぜ俺が、お前と散策などしなきゃならない?行きたきゃ1人で行ってこい。俺はここにいる。」
ジークリートは、アッシュの頑固さに呆れてしまった。ナタリーがどこかへ行ってしまうとでも思っているのか、忠犬のようにこの場から離れようとしなかった。
いよいよ待ちきれなくなったアッシュが、
「遅すぎる」と言い、雑貨屋の中に入っていった。
「あなたから、会いたいと連絡をもらって本当に嬉しかったわ。もう10年以上前に手紙を出したっきり、生きている間に会ってはもらえないものだと思っていたから。こんな私に会ってくれて、本当にありがとうナタリー。そして、謝って済むものではないけれど、本当にごめんなさい。あなたを捨てたこと、ずっと後悔してたの。」
アネッサは嗚咽するくらい泣き始めた。
ナタリーは、彼女への怒りも、強い感情もなかった為、少し困ってしまった。ナタリーは生まれながらに親がいなかった。母親の愛がどういうものか分からなかった。
「あの····泣かないでください。私はあなたを憎んでいません。ただ、私を産んだ人が、どんな人なのか気になったんです。父親のことも教えてくれませんか?」
アネッサは、ナタリーが憎んでないと言ったことで、心の荷が降りたのか、小さい声で「ありがとう。」と言った。
「私は若くて、本当に馬鹿だったの。一時の感情で、あなたの父親と関係を持ってしまった。その人は、町の外から来た男性で、付き合っていると思っていたのは私だけだった。私は捨てられて、あなたを身籠ったわ。親からも勘当され、1人では育てられなくなり、教会に置き去りにした。
「つまり、私の父親は町の外から来て、すぐにいなくなったということですか?」
アネッサは小さく頷いた。
ナタリーは、アネッサが気の毒になってしまった。18歳といえば、まだまだ子どもである。田舎町で普通の生活をしていた女の子が、外から来た悪い男に騙され、逃げられ、身籠った。頼る当てもなく、赤ん坊の命を優先し、やむ無く教会に預けたとすれば、ナタリーは命があるだけマシなのかもしれないと思った。
「どんな人だったんですか?私の父は。」
「····彼は、普通と違ってた。」
「普通と違う····?」
「異様に美しくて、魅惑的だった。悪魔が人の形をしているとすれば、あんな感じだと思う。」
アネッサは、昔の男の姿を思い浮かべているのか、どこか恍惚とした表情になった。
◇
その頃、アッシュとジークリートは、アネッサの雑貨屋の前をウロウロしていた。
「アッシュ様、ナタリーは積もる話しもあるでしょうし、まだしばらくかかります。せっかく人間界に来たんですから、散策してみましょう。綺麗な町じゃないですか。」
ジークリートがそう提案すると、アッシュは不機嫌そうに答えた。
「なぜ俺が、お前と散策などしなきゃならない?行きたきゃ1人で行ってこい。俺はここにいる。」
ジークリートは、アッシュの頑固さに呆れてしまった。ナタリーがどこかへ行ってしまうとでも思っているのか、忠犬のようにこの場から離れようとしなかった。
いよいよ待ちきれなくなったアッシュが、
「遅すぎる」と言い、雑貨屋の中に入っていった。
36
お気に入りに追加
2,244
あなたにおすすめの小説
【完結】不出来令嬢は王子に愛される
きなこもち
恋愛
『ララが綺麗なことは僕だけが知ってればいい。何者でもない僕を見てくれるのは、君以外いないよ。』
姉の婚約者、ディアンの言葉は、ララの心の奥底に沈み込んだ。その時から、分不相応にも彼に恋してしまった────
◇
有力貴族の次女、ララ・ファーレンは、人と少し違っていた。勉強や運動、何をやっても上手く行かず、同年代の友達もいなかった。両親や姉からは『恥さらし』と罵られ、屋敷から出ることを禁止されていた。
ララの唯一の心の拠り所は、時折屋敷を訪れる、姉ダリアの婚約者、ディアンと遊ぶことだった。ディアンとララはお互いに心を通わせるが、「王子」と「恥さらし令嬢」との恋は上手くいくはずもなく、姉ダリアとディアンの結婚式の日を迎えてしまう······
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。
[連載中]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ@異世界恋愛ざまぁ連載
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる