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私と幼馴染の最強魔法使い~幼馴染に運命の恋人が現れた!?~

アネッサ

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『シスター長様

 突然、このような手紙を送らせていただくことをお許しください。

 私は、10年前、教会の前に、産まれたばかりの女の子を置き去りにしました。

 当時私は若く、赤ん坊の父親もおりませんでした。苦渋の決断でしたが、自分では育てられないと判断した結果でした。

 本当に身勝手で、恥知らずだったと思います。
 自分で赤ん坊を手放したにも関わらず、私の子がどう過ごしているのか、元気にしているのか、考えない日はありませんでした。

 教会に何度も足を運びました。どうやら、私の娘は「ナタリー」という名前で、子どもたちにもシスターたちにも慕われていると知り、とても嬉しくなりました。

 2年前、私も仕事や生活が安定し、娘と2人で暮らす覚悟ができました。娘と暮らすため、恥知らずにも、私がナタリーの母親だと名乗り出ようと思っていた矢先でした。

 娘の姿を、ぱったりと見なくなりました。教会の解放日に探しに行きますが、他の子ども達はいるのに、娘はいません。

 何か事情があり、公の場に出られないのか、もしかしたら他所のお家に引き取られたのかとも考えました。

 我が子を捨てておいて、今さら名乗り出ることも勇気が要り、そうこうしているうちに、娘を見なくなってから2年の月日が経ってしまいました。

 私の娘はどうしているでしょうか?元気に過ごしているでしょうか?

 今さらもう遅いのかもしれませんが、失ってしまった娘との歳月を取り戻したいです。

 ご連絡お待ちしております。

 ナタリーの母親 アネッサ』


 ナタリーは手紙を読み、しばらく手紙を見つめたまま、無言になっていた。

「13年前、シスター長からこの手紙を受け取っていた。この手紙を見せ、ナタリーが母親と暮らしたいと言い出すことを恐れた俺は、この手紙を隠した。本当にすまないと思っている。俺を恨んでくれて構わない。」

 アッシュは、後悔したような表情でナタリーに語りかけた。

「・・・恨まないわよ、アッシュ。」

 ナタリーは、手紙の内容に驚きはしたが、不思議と、当時、母親と暮らせればという後悔の気持ちは起こらなかった。

「どんな理由があるにせよ、赤ん坊の私を捨てた人よ?自分の準備が整ったからって、一緒に暮らしたいって言われても、私も戸惑ったと思う。それに、私はあなたとの生活が楽しかったしね。すごく大変ではあったけど、あの時、私の家族は一緒に育ったシスターと子どもたち、それにあなただけだった。」

 ナタリーはフフッと笑ってアッシュに問いかけた。

「でも、よく今さら白状したわね。黙っておけば死ぬまで分からなかったのに、どうして?」

「・・・どうしてだろうな。俺も欲が出たのかもしれない。」

「欲?」

「全てを知った上で、ナタリーが俺の側にいることを選択して欲しいという欲さ。」

 アッシュはこんな男だっただろうか?とナタリーは思った。昔は、自分の弱みを絶対に見せなかった。常に、何が本心なのか、ナタリーには分かりかねる部分があった。

 ナタリーが逃げ出した3年間というのは、彼を変える大きなきっかけとなったのだろうか。

「でも私、もし今も生きているなら、会ってみたい。この人に。」

 ナタリーは静かに言った。

「私は闇属性の魔力があるようだしね。母親か、父親の魔力を受け継いだ可能性がある。自分のルーツについて、知れるものなら知りたいの。」

 アッシュはナタリーを見つめ、

「ああ、連絡を取ってみよう。」
 
 とナタリーの希望を承諾した。
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