41 / 121
私と幼馴染の最強魔法使い~幼馴染に運命の恋人が現れた!?~
アネッサ
しおりを挟む
『シスター長様
突然、このような手紙を送らせていただくことをお許しください。
私は、10年前、教会の前に、産まれたばかりの女の子を置き去りにしました。
当時私は若く、赤ん坊の父親もおりませんでした。苦渋の決断でしたが、自分では育てられないと判断した結果でした。
本当に身勝手で、恥知らずだったと思います。
自分で赤ん坊を手放したにも関わらず、私の子がどう過ごしているのか、元気にしているのか、考えない日はありませんでした。
教会に何度も足を運びました。どうやら、私の娘は「ナタリー」という名前で、子どもたちにもシスターたちにも慕われていると知り、とても嬉しくなりました。
2年前、私も仕事や生活が安定し、娘と2人で暮らす覚悟ができました。娘と暮らすため、恥知らずにも、私がナタリーの母親だと名乗り出ようと思っていた矢先でした。
娘の姿を、ぱったりと見なくなりました。教会の解放日に探しに行きますが、他の子ども達はいるのに、娘はいません。
何か事情があり、公の場に出られないのか、もしかしたら他所のお家に引き取られたのかとも考えました。
我が子を捨てておいて、今さら名乗り出ることも勇気が要り、そうこうしているうちに、娘を見なくなってから2年の月日が経ってしまいました。
私の娘はどうしているでしょうか?元気に過ごしているでしょうか?
今さらもう遅いのかもしれませんが、失ってしまった娘との歳月を取り戻したいです。
ご連絡お待ちしております。
ナタリーの母親 アネッサ』
ナタリーは手紙を読み、しばらく手紙を見つめたまま、無言になっていた。
「13年前、シスター長からこの手紙を受け取っていた。この手紙を見せ、ナタリーが母親と暮らしたいと言い出すことを恐れた俺は、この手紙を隠した。本当にすまないと思っている。俺を恨んでくれて構わない。」
アッシュは、後悔したような表情でナタリーに語りかけた。
「・・・恨まないわよ、アッシュ。」
ナタリーは、手紙の内容に驚きはしたが、不思議と、当時、母親と暮らせればという後悔の気持ちは起こらなかった。
「どんな理由があるにせよ、赤ん坊の私を捨てた人よ?自分の準備が整ったからって、一緒に暮らしたいって言われても、私も戸惑ったと思う。それに、私はあなたとの生活が楽しかったしね。すごく大変ではあったけど、あの時、私の家族は一緒に育ったシスターと子どもたち、それにあなただけだった。」
ナタリーはフフッと笑ってアッシュに問いかけた。
「でも、よく今さら白状したわね。黙っておけば死ぬまで分からなかったのに、どうして?」
「・・・どうしてだろうな。俺も欲が出たのかもしれない。」
「欲?」
「全てを知った上で、ナタリーが俺の側にいることを選択して欲しいという欲さ。」
アッシュはこんな男だっただろうか?とナタリーは思った。昔は、自分の弱みを絶対に見せなかった。常に、何が本心なのか、ナタリーには分かりかねる部分があった。
ナタリーが逃げ出した3年間というのは、彼を変える大きなきっかけとなったのだろうか。
「でも私、もし今も生きているなら、会ってみたい。この人に。」
ナタリーは静かに言った。
「私は闇属性の魔力があるようだしね。母親か、父親の魔力を受け継いだ可能性がある。自分のルーツについて、知れるものなら知りたいの。」
アッシュはナタリーを見つめ、
「ああ、連絡を取ってみよう。」
とナタリーの希望を承諾した。
突然、このような手紙を送らせていただくことをお許しください。
私は、10年前、教会の前に、産まれたばかりの女の子を置き去りにしました。
当時私は若く、赤ん坊の父親もおりませんでした。苦渋の決断でしたが、自分では育てられないと判断した結果でした。
本当に身勝手で、恥知らずだったと思います。
自分で赤ん坊を手放したにも関わらず、私の子がどう過ごしているのか、元気にしているのか、考えない日はありませんでした。
教会に何度も足を運びました。どうやら、私の娘は「ナタリー」という名前で、子どもたちにもシスターたちにも慕われていると知り、とても嬉しくなりました。
2年前、私も仕事や生活が安定し、娘と2人で暮らす覚悟ができました。娘と暮らすため、恥知らずにも、私がナタリーの母親だと名乗り出ようと思っていた矢先でした。
娘の姿を、ぱったりと見なくなりました。教会の解放日に探しに行きますが、他の子ども達はいるのに、娘はいません。
何か事情があり、公の場に出られないのか、もしかしたら他所のお家に引き取られたのかとも考えました。
我が子を捨てておいて、今さら名乗り出ることも勇気が要り、そうこうしているうちに、娘を見なくなってから2年の月日が経ってしまいました。
私の娘はどうしているでしょうか?元気に過ごしているでしょうか?
今さらもう遅いのかもしれませんが、失ってしまった娘との歳月を取り戻したいです。
ご連絡お待ちしております。
ナタリーの母親 アネッサ』
ナタリーは手紙を読み、しばらく手紙を見つめたまま、無言になっていた。
「13年前、シスター長からこの手紙を受け取っていた。この手紙を見せ、ナタリーが母親と暮らしたいと言い出すことを恐れた俺は、この手紙を隠した。本当にすまないと思っている。俺を恨んでくれて構わない。」
アッシュは、後悔したような表情でナタリーに語りかけた。
「・・・恨まないわよ、アッシュ。」
ナタリーは、手紙の内容に驚きはしたが、不思議と、当時、母親と暮らせればという後悔の気持ちは起こらなかった。
「どんな理由があるにせよ、赤ん坊の私を捨てた人よ?自分の準備が整ったからって、一緒に暮らしたいって言われても、私も戸惑ったと思う。それに、私はあなたとの生活が楽しかったしね。すごく大変ではあったけど、あの時、私の家族は一緒に育ったシスターと子どもたち、それにあなただけだった。」
ナタリーはフフッと笑ってアッシュに問いかけた。
「でも、よく今さら白状したわね。黙っておけば死ぬまで分からなかったのに、どうして?」
「・・・どうしてだろうな。俺も欲が出たのかもしれない。」
「欲?」
「全てを知った上で、ナタリーが俺の側にいることを選択して欲しいという欲さ。」
アッシュはこんな男だっただろうか?とナタリーは思った。昔は、自分の弱みを絶対に見せなかった。常に、何が本心なのか、ナタリーには分かりかねる部分があった。
ナタリーが逃げ出した3年間というのは、彼を変える大きなきっかけとなったのだろうか。
「でも私、もし今も生きているなら、会ってみたい。この人に。」
ナタリーは静かに言った。
「私は闇属性の魔力があるようだしね。母親か、父親の魔力を受け継いだ可能性がある。自分のルーツについて、知れるものなら知りたいの。」
アッシュはナタリーを見つめ、
「ああ、連絡を取ってみよう。」
とナタリーの希望を承諾した。
39
お気に入りに追加
2,244
あなたにおすすめの小説
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
【完結】不出来令嬢は王子に愛される
きなこもち
恋愛
『ララが綺麗なことは僕だけが知ってればいい。何者でもない僕を見てくれるのは、君以外いないよ。』
姉の婚約者、ディアンの言葉は、ララの心の奥底に沈み込んだ。その時から、分不相応にも彼に恋してしまった────
◇
有力貴族の次女、ララ・ファーレンは、人と少し違っていた。勉強や運動、何をやっても上手く行かず、同年代の友達もいなかった。両親や姉からは『恥さらし』と罵られ、屋敷から出ることを禁止されていた。
ララの唯一の心の拠り所は、時折屋敷を訪れる、姉ダリアの婚約者、ディアンと遊ぶことだった。ディアンとララはお互いに心を通わせるが、「王子」と「恥さらし令嬢」との恋は上手くいくはずもなく、姉ダリアとディアンの結婚式の日を迎えてしまう······
[連載中]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ@異世界恋愛ざまぁ連載
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる