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私と幼馴染の最強魔法使い~幼馴染に運命の恋人が現れた!?~
闇の魔法使い、アルヴェイン・ウォレス
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ナタリーやアッシュが教会の前に置き去りにされる数年前の話である。
アルヴェイン・ウォレスという男がいた。
アルヴェインは、強い魔力を持った闇属性の魔法使いだった。通常、各属性のトップに君臨する魔力と、それを使いこなす技術を持っていれば、上級魔法使いとなる。
しかし、アルヴェインは、優れた闇属性の魔法使いでありながらも、偏った思考と、他を寄せ付けない異質さから、同じ属性の貴族からもつまはじきにされていた。
「アルヴェインとは関わらないほうがいい。」
これは皆の共通認識だった。
ある雪の日の夜、アルヴェインは大事件を起こした。
魔法使いの中でも、禁止とされている
『死の呪文』『服従の呪文』を使い、光属性貴族の、屋敷にいた大人、子ども、侍従含む15人全員を殺害したのだった。
直ちに、アルヴェインは処刑対象となり、アルヴェインを捕まえるべく、上級魔法使い達がアルヴェインを探したが、既にアルヴェインの姿はなかった。その後、捜索を続けたが、アルヴェインが見つかることはなかった。
『闇の魔法使い、アルヴェイン・ウォレスは、一家全員を殺し、忽然と姿を消した。』
これは魔法界において、最悪の事件として語り継がれた。
◇
アリスは、田舎町ピエニ町で生まれた。
アリスは、珍しい白銀の髪に、グリーンの瞳を持つ美人で、田舎町ではその容姿から、一際目立つ存在だった。アリスは今18歳で、両親が営んでいる、安価で部屋を貸す、宿泊宿の仕事を手伝っていた。
休みの日は、親友のアネッサとおしゃべりしたり、市場に買い物に遊びに行っていた。アリスは平凡で幸せな、普通の毎日を送っていた。
ある日、アリスが店番をしていると、深いフードを被った黒ずくめの男が現れた。
異様な雰囲気を放つその男は、部屋を貸して欲しいと言ったが、アリスは身なりからして怪しいと思い、男に確認した。
「フードを取っていただけますか?」
「·····これでいいか?」
フードを取ると、男の容貌が露になった。真っ黒の長髪に、恐ろしくきれいな顔をしている。肌は青白く、アリスは生きた人間のような気がしなかった。
しばらく、アリスは放心したように、男の顔をじっと見つめていた。
「·····あっすみません!」
途中、アリスは我に帰り、宿の手続きをした。
男の名前はカーターといった。この日から、アリスは宿に泊まっているカーターの様子が、ひどく気になるようになった。
ある日、アリスが店番をしていると、カーターが顔を出した。
「すまない、部屋の水が出ないようなんだが、見てもらえるだろうか?」
アリスは男と一緒に部屋に行き、水道を確認した。水道管が古くなり破裂したことが原因のようで、すぐに直すことは無理だった。
「ごめんなさい、水道はしばらく使えないんだけど、他の部屋は今空きがなくて。。。あの、もし良かったらですけど、私の家の一室が空いているので、そちらを使われませんか?」
アリスの家に、一時的に住まないかという提案に、カーターは戸惑ったようだが、すぐに
「お願いしていいだろうか?」
と言った。
アリスはほっとすると共に、この男が、一つ屋根の下で、一緒に住むということに、奇妙な高揚感を覚えたのであった。
アルヴェイン・ウォレスという男がいた。
アルヴェインは、強い魔力を持った闇属性の魔法使いだった。通常、各属性のトップに君臨する魔力と、それを使いこなす技術を持っていれば、上級魔法使いとなる。
しかし、アルヴェインは、優れた闇属性の魔法使いでありながらも、偏った思考と、他を寄せ付けない異質さから、同じ属性の貴族からもつまはじきにされていた。
「アルヴェインとは関わらないほうがいい。」
これは皆の共通認識だった。
ある雪の日の夜、アルヴェインは大事件を起こした。
魔法使いの中でも、禁止とされている
『死の呪文』『服従の呪文』を使い、光属性貴族の、屋敷にいた大人、子ども、侍従含む15人全員を殺害したのだった。
直ちに、アルヴェインは処刑対象となり、アルヴェインを捕まえるべく、上級魔法使い達がアルヴェインを探したが、既にアルヴェインの姿はなかった。その後、捜索を続けたが、アルヴェインが見つかることはなかった。
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これは魔法界において、最悪の事件として語り継がれた。
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休みの日は、親友のアネッサとおしゃべりしたり、市場に買い物に遊びに行っていた。アリスは平凡で幸せな、普通の毎日を送っていた。
ある日、アリスが店番をしていると、深いフードを被った黒ずくめの男が現れた。
異様な雰囲気を放つその男は、部屋を貸して欲しいと言ったが、アリスは身なりからして怪しいと思い、男に確認した。
「フードを取っていただけますか?」
「·····これでいいか?」
フードを取ると、男の容貌が露になった。真っ黒の長髪に、恐ろしくきれいな顔をしている。肌は青白く、アリスは生きた人間のような気がしなかった。
しばらく、アリスは放心したように、男の顔をじっと見つめていた。
「·····あっすみません!」
途中、アリスは我に帰り、宿の手続きをした。
男の名前はカーターといった。この日から、アリスは宿に泊まっているカーターの様子が、ひどく気になるようになった。
ある日、アリスが店番をしていると、カーターが顔を出した。
「すまない、部屋の水が出ないようなんだが、見てもらえるだろうか?」
アリスは男と一緒に部屋に行き、水道を確認した。水道管が古くなり破裂したことが原因のようで、すぐに直すことは無理だった。
「ごめんなさい、水道はしばらく使えないんだけど、他の部屋は今空きがなくて。。。あの、もし良かったらですけど、私の家の一室が空いているので、そちらを使われませんか?」
アリスの家に、一時的に住まないかという提案に、カーターは戸惑ったようだが、すぐに
「お願いしていいだろうか?」
と言った。
アリスはほっとすると共に、この男が、一つ屋根の下で、一緒に住むということに、奇妙な高揚感を覚えたのであった。
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