34 / 121
私と幼馴染の最強魔法使い~幼馴染に運命の恋人が現れた!?~
白い結婚
しおりを挟む
ひとしきり泣いた後、ナタリーはアッシュに言った。
「ごめんなさい····仕事は、明日からでもいい?」
アッシュは、少し驚いたような顔をして
「仕事?侍女の仕事のことか?もうやらなくていい。」
「·····?では、私はここで何をすればいいの?」
「今は何も心配するな。ゆっくりしていろ。魔法塔の敷地内だったら、好きに動いて構わない。」
何もしなくていいとは、どういうことだろうか。ではなぜナタリーを3年もかけて連れ戻したのか。アッシュが何を考えているか分からなかった。
その時、ナタリーははっとした。
アッシュは、エステルと婚姻したはずだ。
「あれからどれくらい経ったの?アッシュ、あなた聖女様と婚姻したのでは?」
「ああ、今朝婚姻した。今は同日の夜だ。」
まるで、『今朝の朝食はスープが出た』とでも言うような、何の感情も入っていない言い方に、ナタリーは違和感を覚えた。
「今朝婚姻したのなら、こんなところにいていいの?」
ナタリーが問いかけると、
「ああ、問題ない」
とアッシュは即答した。
ナタリーは、初夜なのに、新婦のところに行かなくていいのかという意味で聞いたのだが、意味が伝わらなかったのだろうか。
「今日はその···初夜でしょう?準備があるのでは?」
ナタリーが言いにくそうに言うと、アッシュは
「ああ····」と今思い出したかのような声を出した。
「この婚姻は、聖女との取引だった。必要だったから、取引を受けたまでだ。『神の前で婚姻の誓いをする』ことが聖女の条件だった。婚姻後に、一緒に過ごすことや、男女の営みをすることは条件にはない。」
ナタリーは、この人は何を言ってるんだ?と理解できずにいた。
「これからも、必要のないところで俺から聖女に触れることはない。公の場では、一緒にいなければならない場合もあるだろうが、それ以外は会いに行く必要はないだろう。」
アッシュの言葉を聞き、そもそもの疑問をナタリーはぶつけた。
「····でも、アッシュと聖女様は前世の恋人でしょう?3年前、魔力の供給も聖女様とされてたはず。恋人同士だったのでは?」
アッシュはため息をついた。
「そこを勘違いさせたのが俺の失敗だったな。聖女はナタリーに何か言ったのかも知れないが、俺は聖女のことをどうとも思っていない。」
「聖女は、俺の前世の『大河』に固執している。前世の記憶があっても、俺と『大河』は別人だ。大河が前世で彼女を愛していたとしても、俺はエステルを愛してない。」
ナタリーは、その話を聞き呆然としてしまった。すべては、ナタリーの勘違いだったということか?
「でも、あの時、その。。。私としていたようなこと、つまり『口付け』を、聖女様としてたんじゃないの?」
アッシュは、気まずそうに顔を背けながら言った。
「····あれは、俺がしたかったからしてただけだ。魔力の供給は、手を触れるだけで行える。」
「したかったからしてた····?どうして?私のこと、昔から嫌ってたじゃない。」
ナタリーは、アッシュの本当の気持ちが知りたかった。
「嫌ってたら、ここに連れてきてない。」
そういうと、アッシュは少し間を置いて、ナタリーの目を見た。
普段の傍若無人な態度とは打って変わって、少し緊張しているように見えた。
「一緒に過ごすようになって、気づいたんだ。ナタリー、お前を愛してる。」
「ごめんなさい····仕事は、明日からでもいい?」
アッシュは、少し驚いたような顔をして
「仕事?侍女の仕事のことか?もうやらなくていい。」
「·····?では、私はここで何をすればいいの?」
「今は何も心配するな。ゆっくりしていろ。魔法塔の敷地内だったら、好きに動いて構わない。」
何もしなくていいとは、どういうことだろうか。ではなぜナタリーを3年もかけて連れ戻したのか。アッシュが何を考えているか分からなかった。
その時、ナタリーははっとした。
アッシュは、エステルと婚姻したはずだ。
「あれからどれくらい経ったの?アッシュ、あなた聖女様と婚姻したのでは?」
「ああ、今朝婚姻した。今は同日の夜だ。」
まるで、『今朝の朝食はスープが出た』とでも言うような、何の感情も入っていない言い方に、ナタリーは違和感を覚えた。
「今朝婚姻したのなら、こんなところにいていいの?」
ナタリーが問いかけると、
「ああ、問題ない」
とアッシュは即答した。
ナタリーは、初夜なのに、新婦のところに行かなくていいのかという意味で聞いたのだが、意味が伝わらなかったのだろうか。
「今日はその···初夜でしょう?準備があるのでは?」
ナタリーが言いにくそうに言うと、アッシュは
「ああ····」と今思い出したかのような声を出した。
「この婚姻は、聖女との取引だった。必要だったから、取引を受けたまでだ。『神の前で婚姻の誓いをする』ことが聖女の条件だった。婚姻後に、一緒に過ごすことや、男女の営みをすることは条件にはない。」
ナタリーは、この人は何を言ってるんだ?と理解できずにいた。
「これからも、必要のないところで俺から聖女に触れることはない。公の場では、一緒にいなければならない場合もあるだろうが、それ以外は会いに行く必要はないだろう。」
アッシュの言葉を聞き、そもそもの疑問をナタリーはぶつけた。
「····でも、アッシュと聖女様は前世の恋人でしょう?3年前、魔力の供給も聖女様とされてたはず。恋人同士だったのでは?」
アッシュはため息をついた。
「そこを勘違いさせたのが俺の失敗だったな。聖女はナタリーに何か言ったのかも知れないが、俺は聖女のことをどうとも思っていない。」
「聖女は、俺の前世の『大河』に固執している。前世の記憶があっても、俺と『大河』は別人だ。大河が前世で彼女を愛していたとしても、俺はエステルを愛してない。」
ナタリーは、その話を聞き呆然としてしまった。すべては、ナタリーの勘違いだったということか?
「でも、あの時、その。。。私としていたようなこと、つまり『口付け』を、聖女様としてたんじゃないの?」
アッシュは、気まずそうに顔を背けながら言った。
「····あれは、俺がしたかったからしてただけだ。魔力の供給は、手を触れるだけで行える。」
「したかったからしてた····?どうして?私のこと、昔から嫌ってたじゃない。」
ナタリーは、アッシュの本当の気持ちが知りたかった。
「嫌ってたら、ここに連れてきてない。」
そういうと、アッシュは少し間を置いて、ナタリーの目を見た。
普段の傍若無人な態度とは打って変わって、少し緊張しているように見えた。
「一緒に過ごすようになって、気づいたんだ。ナタリー、お前を愛してる。」
53
お気に入りに追加
2,226
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる