26 / 121
私と幼馴染の最強魔法使い~幼馴染に運命の恋人が現れた!?~
エステルの告白
しおりを挟む
エステルの発言に、アッシュは耳を疑った。
「今何と言った?」
「大河の元侍女の居場所、私なら分かると言ったのよ。」
エステルは飄々と答えた。
「聖女。ふざけているのか?3年探し続けて手掛かりもないというのに、なぜ何もしていないお前に分かる?」
アッシュの怒気をはらんだ声に、エステルは肩をすくめながらこう言った。
「怖いわよ大河。私は助けてあげようと思って言ってるのに。」
エステルの、どこか楽しんでいるような、からかっているような表情と物言いに、アッシュはイライラしてきた。
「ふざけているなら、聞くつもりはない。」
アッシュがそう言うと、エステルはクスッと笑った。
「私ね、」
「彼女がここを出ていく少し前、2人っきりで話したのよ。私と大河の前世の記憶を見せてあげた。そしたら、彼女ひどく悲しそうに、『大魔法使い様のお側を離れます。』って言ってたわ。彼女って健気よね。」
それを聞いたアッシュは、エステルの襟元を掴み、怒りを抑えられない様子でこう聞いた。
「···なぜそんなことを?どういうつもりだ?」
エステルは少し考えて、アッシュの目を見て話し始めた。
「だって···」
「あなたが悪いんじゃない。記憶を取り戻したのに、私を恋人にするどころか、魔力の供給以外では触れてもくれない。あの侍女が近くにいるせいだって、すぐ分かったわ。」
「彼女はいい子よね!宣言通り、誰にも気づかれずに出ていってくれた。なのにあなたは····3年経っても、私には何もしてくれない。だから、手法を変えることにしたのよ。」
「私ね、触れた人の中に、光の種を植えることができるの。」
アッシュは怪訝な顔をした。
「····光の種?」
「他の魔法使いには悟られない、私だけにしか分からない、光の痕跡のようなものを、触れた人の中に埋めるのよ。元々は加護の力なんだけどね。それを、あの日彼女の中に埋めた。」
アッシュは驚愕の表情になり、エステルを問い詰めた。
「それは本当か····!?それでは、今も聖女にはナタリーの居場所が分かっていると····?知っていて黙っていたのか。俺と取引でもするつもりか?」
「さすが大河!察しがいいのね。」
エステルは嬉しそうな声で言った。
「大河、いえ、大魔法使いアッシュ、私と婚姻して。」
アッシュは怒りと呆れに満ちた表情で笑った。
「ははっ!聖女、そこまでして俺と一緒になって嬉しいか?俺はお前を愛してないのに?」
今度はエステルが、アッシュをキッと睨みつけた。
「あなたにとっては、私は『前世が恋人同士だっただけの女』でしょうけど、私は違うの。あなたは私にとって大河なのよ。これは運命でもあり、今世の私に与えられた使命でもあるの。」
エステルは、前世にとらわれ、大河の生まれ変わりと結ばれることを、今世の悲願としていた。それは一種の盲信でもあったが、エステルにはそれがすべてだった。
「婚姻を公表し、神の前で誓い、夫婦になるのよ。それが終わったら、侍女の居場所を教えてあげてもいい。拷問しても無駄よ。答えは私の中にしかない。」
アッシュの答えは1つだった。
婚姻の誓いなど、アッシュにとってはどうでもいいことだ。アッシュは神も運命も信じない。
「今の言葉、忘れるな。誓約魔法をかけよう。言った通り、婚姻が成立したら、ナタリーの居場所を教えてもらう。」
「····楽しみだわ。」
エステルは幸せそうに笑い、アッシュの頬を撫でた。
「今何と言った?」
「大河の元侍女の居場所、私なら分かると言ったのよ。」
エステルは飄々と答えた。
「聖女。ふざけているのか?3年探し続けて手掛かりもないというのに、なぜ何もしていないお前に分かる?」
アッシュの怒気をはらんだ声に、エステルは肩をすくめながらこう言った。
「怖いわよ大河。私は助けてあげようと思って言ってるのに。」
エステルの、どこか楽しんでいるような、からかっているような表情と物言いに、アッシュはイライラしてきた。
「ふざけているなら、聞くつもりはない。」
アッシュがそう言うと、エステルはクスッと笑った。
「私ね、」
「彼女がここを出ていく少し前、2人っきりで話したのよ。私と大河の前世の記憶を見せてあげた。そしたら、彼女ひどく悲しそうに、『大魔法使い様のお側を離れます。』って言ってたわ。彼女って健気よね。」
それを聞いたアッシュは、エステルの襟元を掴み、怒りを抑えられない様子でこう聞いた。
「···なぜそんなことを?どういうつもりだ?」
エステルは少し考えて、アッシュの目を見て話し始めた。
「だって···」
「あなたが悪いんじゃない。記憶を取り戻したのに、私を恋人にするどころか、魔力の供給以外では触れてもくれない。あの侍女が近くにいるせいだって、すぐ分かったわ。」
「彼女はいい子よね!宣言通り、誰にも気づかれずに出ていってくれた。なのにあなたは····3年経っても、私には何もしてくれない。だから、手法を変えることにしたのよ。」
「私ね、触れた人の中に、光の種を植えることができるの。」
アッシュは怪訝な顔をした。
「····光の種?」
「他の魔法使いには悟られない、私だけにしか分からない、光の痕跡のようなものを、触れた人の中に埋めるのよ。元々は加護の力なんだけどね。それを、あの日彼女の中に埋めた。」
アッシュは驚愕の表情になり、エステルを問い詰めた。
「それは本当か····!?それでは、今も聖女にはナタリーの居場所が分かっていると····?知っていて黙っていたのか。俺と取引でもするつもりか?」
「さすが大河!察しがいいのね。」
エステルは嬉しそうな声で言った。
「大河、いえ、大魔法使いアッシュ、私と婚姻して。」
アッシュは怒りと呆れに満ちた表情で笑った。
「ははっ!聖女、そこまでして俺と一緒になって嬉しいか?俺はお前を愛してないのに?」
今度はエステルが、アッシュをキッと睨みつけた。
「あなたにとっては、私は『前世が恋人同士だっただけの女』でしょうけど、私は違うの。あなたは私にとって大河なのよ。これは運命でもあり、今世の私に与えられた使命でもあるの。」
エステルは、前世にとらわれ、大河の生まれ変わりと結ばれることを、今世の悲願としていた。それは一種の盲信でもあったが、エステルにはそれがすべてだった。
「婚姻を公表し、神の前で誓い、夫婦になるのよ。それが終わったら、侍女の居場所を教えてあげてもいい。拷問しても無駄よ。答えは私の中にしかない。」
アッシュの答えは1つだった。
婚姻の誓いなど、アッシュにとってはどうでもいいことだ。アッシュは神も運命も信じない。
「今の言葉、忘れるな。誓約魔法をかけよう。言った通り、婚姻が成立したら、ナタリーの居場所を教えてもらう。」
「····楽しみだわ。」
エステルは幸せそうに笑い、アッシュの頬を撫でた。
44
お気に入りに追加
2,244
あなたにおすすめの小説
【完結】不出来令嬢は王子に愛される
きなこもち
恋愛
『ララが綺麗なことは僕だけが知ってればいい。何者でもない僕を見てくれるのは、君以外いないよ。』
姉の婚約者、ディアンの言葉は、ララの心の奥底に沈み込んだ。その時から、分不相応にも彼に恋してしまった────
◇
有力貴族の次女、ララ・ファーレンは、人と少し違っていた。勉強や運動、何をやっても上手く行かず、同年代の友達もいなかった。両親や姉からは『恥さらし』と罵られ、屋敷から出ることを禁止されていた。
ララの唯一の心の拠り所は、時折屋敷を訪れる、姉ダリアの婚約者、ディアンと遊ぶことだった。ディアンとララはお互いに心を通わせるが、「王子」と「恥さらし令嬢」との恋は上手くいくはずもなく、姉ダリアとディアンの結婚式の日を迎えてしまう······
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
[連載中]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ@異世界恋愛ざまぁ連載
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。
大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。
見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。
黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…?
対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる