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私と幼馴染の最強魔法使い~幼馴染に運命の恋人が現れた!?~
前世の記憶
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ナタリーとアッシュは、ジークリートと聖女エステルが出ていった後、その場に取り残された。しばしの沈黙が流れた。
アッシュが口を開いた。
「ナタリー」
「あの女が言った妄言は気にするな。お前に闇の力などない。ただの人間だ。」
「・・・しかし、エステル様はこれまで予言を的中させてきました。信憑性がないとは言いきれないと思います。」
ナタリーはアッシュと目を合わせず、弱々しく言った。
「アッシュ様、1つだけ答えてください。私は、あなたを害する者ですか?」
アッシュはその言葉を聞いたとき、顔色を変え
ナタリーの側まで歩いてきた。
ナタリーは両肩を掴まれた。
「ナタリー、何を言ってる。お前は俺の侍女だろ?お前が俺を害するなど、あり得ないことだ。俺が信じられないか?」
アッシュはこうも続けた。
「ナタリー。俺に任せて、もう少し待っててくれ。おまえは何もするな。」
アッシュにとって、ナタリーは今まで通り、何も知らず、余計なことをしない、魔力無しの人間であるほうが、都合がいいのだろう。ナタリーが闇の魔力があるかもしれないと騒ぎ立てることを、アッシュは望んでいないらしかった。
ナタリーは、不安そうに何度か瞬きをし、
「・・・・・・はい。アッシュ様。」
と答えた。
ナタリーは、もう1つ気になっていることがあった。
エステルが言った、『前世で運命の番だった』という言葉である。
アッシュには前世の記憶がないため、エステルを相手にしていなかったのがせめてもの救いだが、仮にアッシュも、前世の記憶とやらを思い出してしまったら?
ナタリーは、きっと自分は、2人が近づいていくのを侍女として見守ることはできないだろうなと思った。
◇
その日、アッシュは夢を見ていた。
以前はよく見た夢だったが、ここ最近は見なくなっていた。
夢の中のアッシュは、姫を守る従者だった。姫は、従者のことを親しげに「大河」と呼び、女のことを「姫様」と呼んでいた。
2人は追手から逃げていた。色々なところを旅した。初めは姫と従者の関係でしかなかったが、次第に、お互いがなくてはならない存在となり、恋人同士となった。
「大河、私たちはずっと一緒よ。私を離さないで。」
「はい、姫様。俺は、あなたのものです。」
2人の恋は美しく、儚くもあった。
追手から追い詰められ、従者は姫を守るために死んだ。死に際、姫が泣きながら、従者に言った
「今生ではさよならね、大河。私は来世であなたを探し出すわ。必ずね。ずっと一緒だと言ったでしょ? 愛してる。」
従者の意識が途切れる間際、姫の泣き顔が近くにあった。とても美しく、従者は手を伸ばす。エメラルドグリーンの目が、涙に濡れていた。
アッシュははっと目を覚ました。
いつもの自分のベッドの上だ。
おぼろ気だった夢が、昨夜はやたら鮮明だった。姫の顔、瞳の色をはっきりと覚えている。信じたくはないが、聖女エステルと瓜二つだった。
アッシュが口を開いた。
「ナタリー」
「あの女が言った妄言は気にするな。お前に闇の力などない。ただの人間だ。」
「・・・しかし、エステル様はこれまで予言を的中させてきました。信憑性がないとは言いきれないと思います。」
ナタリーはアッシュと目を合わせず、弱々しく言った。
「アッシュ様、1つだけ答えてください。私は、あなたを害する者ですか?」
アッシュはその言葉を聞いたとき、顔色を変え
ナタリーの側まで歩いてきた。
ナタリーは両肩を掴まれた。
「ナタリー、何を言ってる。お前は俺の侍女だろ?お前が俺を害するなど、あり得ないことだ。俺が信じられないか?」
アッシュはこうも続けた。
「ナタリー。俺に任せて、もう少し待っててくれ。おまえは何もするな。」
アッシュにとって、ナタリーは今まで通り、何も知らず、余計なことをしない、魔力無しの人間であるほうが、都合がいいのだろう。ナタリーが闇の魔力があるかもしれないと騒ぎ立てることを、アッシュは望んでいないらしかった。
ナタリーは、不安そうに何度か瞬きをし、
「・・・・・・はい。アッシュ様。」
と答えた。
ナタリーは、もう1つ気になっていることがあった。
エステルが言った、『前世で運命の番だった』という言葉である。
アッシュには前世の記憶がないため、エステルを相手にしていなかったのがせめてもの救いだが、仮にアッシュも、前世の記憶とやらを思い出してしまったら?
ナタリーは、きっと自分は、2人が近づいていくのを侍女として見守ることはできないだろうなと思った。
◇
その日、アッシュは夢を見ていた。
以前はよく見た夢だったが、ここ最近は見なくなっていた。
夢の中のアッシュは、姫を守る従者だった。姫は、従者のことを親しげに「大河」と呼び、女のことを「姫様」と呼んでいた。
2人は追手から逃げていた。色々なところを旅した。初めは姫と従者の関係でしかなかったが、次第に、お互いがなくてはならない存在となり、恋人同士となった。
「大河、私たちはずっと一緒よ。私を離さないで。」
「はい、姫様。俺は、あなたのものです。」
2人の恋は美しく、儚くもあった。
追手から追い詰められ、従者は姫を守るために死んだ。死に際、姫が泣きながら、従者に言った
「今生ではさよならね、大河。私は来世であなたを探し出すわ。必ずね。ずっと一緒だと言ったでしょ? 愛してる。」
従者の意識が途切れる間際、姫の泣き顔が近くにあった。とても美しく、従者は手を伸ばす。エメラルドグリーンの目が、涙に濡れていた。
アッシュははっと目を覚ました。
いつもの自分のベッドの上だ。
おぼろ気だった夢が、昨夜はやたら鮮明だった。姫の顔、瞳の色をはっきりと覚えている。信じたくはないが、聖女エステルと瓜二つだった。
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