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再会
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イリオを見つけた騎士達は、部屋に入ってくるなり涙を流して喜び、イリオに抱きついていた。
「殿下~!!どこにいらっしゃったんですか!?急に消えてしまって·····死ぬ気で探したんですよ!?」
「暑苦しいから離れろ!あんなに分かりやすく跡を残してただろ!?来るのが遅いんだよ!」
ララが彼らの光景を微笑ましく見ていると、すぐにレックスが部屋に入ってきた。ララの姿を見るなり走り寄ってきて、勢いよくララを抱き締めた。
「········ララ······良かった無事で────!!」
レックスはすぐにはっとし、ララの両腕を掴むと、「何かされてないか!?」と問いただしてきた。
「あ····私は大丈夫。イリオが助けてくれたの。」
「イリオ王子が·········?なんでまた一緒に····とにかく、ララを助けてくれてありがとうございます。」
レックスがイリオに向かって礼を言うと、イリオは「なんでお前に礼を言われなきゃいけないんだ?」とでも言いたそうな顔をして、鼻で笑った。
「とにかく帰ろう。みんな心配して待ってる。」
「みんな·······ディアン殿下も·····??」
真っ先にディアンの名前が出てきたことにレックスは一瞬真顔になった。
「────ああ、兄さんももう帰ってると思う。」
遠征中のディアンを呼び戻し、皆を心配させてしまったと知り、ララは居たたまれなくなってしまった。あんなにディアンから別棟から出るなと言われていたのに、約束を守らずこんなことになってしまった。きっとひどく怒られるか、失望されるに違いない。怒られるのはまだいいが、優しいディアンから冷たい目を向けられると思うと、ララは王宮に帰るのが怖くなってしまった。
ララが泣きそうな顔で下を向いていると、心配したレックスが顔を覗き込んできた。
「ララどうした?怖かったのか?······お前は何も悪くない。」
「兄さん·······私、王宮に帰れません。こんなに皆に迷惑をかけて、どんな顔をして帰ればいいのか分かりません。」
「───だから、ララは悪くないって。お前を騙した侍女や、職務怠慢の騎士や、なんなら一番悪いのは兄上だな。王宮が危ないのは分かっているはずなのに、ララが狙われるのを防げなかったんだから。」
レックスは憤っていた。ララをこんな危ない目に合わせ、このまま王宮に返すなど納得できなかった。
その時、イリオが突然声をあげた。
「安心しろララ。ララは王宮には帰らなくていい。このままレックスと屋敷に帰れ。」
「···········え?」
「これから王妃は大変なことになる。保身に必死で、息子の世継ぎのことなど手が回らなくなるさ。兄上も飛び火するとは思うが············兄上も望んでいたことだからな。俺はこのまま手を緩めない。すべてはララの愚かな姉のおかげだ!」
イリオは騎士達に向かって指示を出した。
「隊を全員集めろ!今からこのまま突入するところがある。明日にはすべてが変わるさ。」
イリオはポカンとしているララの近くまで来ると、ララの両手を掴んで顔を近づけ、耳元で囁いた。
「ララ、楽しい冒険だったよ。君のおかげだ。ありがとう。何も心配しなくていい。今日はゆっくりお休み。」
レックスが忌々しそうな顔でイリオを見ていたが、イリオは全く気にすることもなく踵を返し、騎士を連れて馬車に乗り込んだ。
ララはレックスと、一旦アリソンの待つ屋敷に帰ることになった。
何が起こっているのか、レックスには完全には状況が飲み込めなかったが、馬車が屋敷に着くまで、ララの手をしっかりと握り離さなかった。
「殿下~!!どこにいらっしゃったんですか!?急に消えてしまって·····死ぬ気で探したんですよ!?」
「暑苦しいから離れろ!あんなに分かりやすく跡を残してただろ!?来るのが遅いんだよ!」
ララが彼らの光景を微笑ましく見ていると、すぐにレックスが部屋に入ってきた。ララの姿を見るなり走り寄ってきて、勢いよくララを抱き締めた。
「········ララ······良かった無事で────!!」
レックスはすぐにはっとし、ララの両腕を掴むと、「何かされてないか!?」と問いただしてきた。
「あ····私は大丈夫。イリオが助けてくれたの。」
「イリオ王子が·········?なんでまた一緒に····とにかく、ララを助けてくれてありがとうございます。」
レックスがイリオに向かって礼を言うと、イリオは「なんでお前に礼を言われなきゃいけないんだ?」とでも言いたそうな顔をして、鼻で笑った。
「とにかく帰ろう。みんな心配して待ってる。」
「みんな·······ディアン殿下も·····??」
真っ先にディアンの名前が出てきたことにレックスは一瞬真顔になった。
「────ああ、兄さんももう帰ってると思う。」
遠征中のディアンを呼び戻し、皆を心配させてしまったと知り、ララは居たたまれなくなってしまった。あんなにディアンから別棟から出るなと言われていたのに、約束を守らずこんなことになってしまった。きっとひどく怒られるか、失望されるに違いない。怒られるのはまだいいが、優しいディアンから冷たい目を向けられると思うと、ララは王宮に帰るのが怖くなってしまった。
ララが泣きそうな顔で下を向いていると、心配したレックスが顔を覗き込んできた。
「ララどうした?怖かったのか?······お前は何も悪くない。」
「兄さん·······私、王宮に帰れません。こんなに皆に迷惑をかけて、どんな顔をして帰ればいいのか分かりません。」
「───だから、ララは悪くないって。お前を騙した侍女や、職務怠慢の騎士や、なんなら一番悪いのは兄上だな。王宮が危ないのは分かっているはずなのに、ララが狙われるのを防げなかったんだから。」
レックスは憤っていた。ララをこんな危ない目に合わせ、このまま王宮に返すなど納得できなかった。
その時、イリオが突然声をあげた。
「安心しろララ。ララは王宮には帰らなくていい。このままレックスと屋敷に帰れ。」
「···········え?」
「これから王妃は大変なことになる。保身に必死で、息子の世継ぎのことなど手が回らなくなるさ。兄上も飛び火するとは思うが············兄上も望んでいたことだからな。俺はこのまま手を緩めない。すべてはララの愚かな姉のおかげだ!」
イリオは騎士達に向かって指示を出した。
「隊を全員集めろ!今からこのまま突入するところがある。明日にはすべてが変わるさ。」
イリオはポカンとしているララの近くまで来ると、ララの両手を掴んで顔を近づけ、耳元で囁いた。
「ララ、楽しい冒険だったよ。君のおかげだ。ありがとう。何も心配しなくていい。今日はゆっくりお休み。」
レックスが忌々しそうな顔でイリオを見ていたが、イリオは全く気にすることもなく踵を返し、騎士を連れて馬車に乗り込んだ。
ララはレックスと、一旦アリソンの待つ屋敷に帰ることになった。
何が起こっているのか、レックスには完全には状況が飲み込めなかったが、馬車が屋敷に着くまで、ララの手をしっかりと握り離さなかった。
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