25 / 34
近づく2人
しおりを挟む
翌日から、ルイは学園に来なくなった。
セリーナとイオの証言から、ルイがセリーナに対して乱暴をしようとしたと判明し、学園を退学となった。
ルイは最後まで「セリーナに呼び出された。乱暴はしていない。」と否定していたが、状況的に信憑性が薄いと判断されたのだった。
ルイを殴ったイオに関しては、暴力は良くないが、女子生徒を守ろうとした行動は処分に値しないとして、おとがめなしとなった。
セリーナは、あんなことがあったのに、翌日から学園に来ていた。
そして、登下校時や昼休み、休み時間など、セリーナの隣にはなぜかいつもイオがいるようになっていた。
リナリーがイオに、
「なんであんた、いつもセリーナにくっついてるわけ?」
と聞くと、
「セリーナは、襲われたことで人間不信になったらしいんだよ。で、最初に発見したのが俺だったから、当分落ち着くまでは、俺が近くにいた方が安心するって言われてさ。先生たちも、『それなら、君ができる限り付き添ってあげて』って感じで頼まれちゃって・・・」
「はぁ??なんであんたがそこまでしなくちゃいけないのよ?セリーナ無事だったんでしょ?断りなよ!」
リナリーがそういうと、ラリーが反論した。
「リナリーは人の心がないの??セリーナは、健気に学校に来ようとしてるんだよ。イオがいれば安心するんだったら、助けてあげるべきだろ?セリーナはクロエの恩人でもあるんだぞ!」
2人の口論をあわあわして聞いていたクロエは、名前を出された瞬間ビクっとした。
セリーナとイオが、常に一緒にいるのはすごく嫌だったし、もう2度とアリオンの時のような思いはしたくないと思っていた。
しかし、セリーナがクロエの危機を助けてくれたのは本当に感謝している。
今がセリーナの危機であるのなら、クロエはセリーナが回復するよう、応援しなくてはならなかった。
「そうよ。セリーナは私のこと助けてくれたもの。襲われた時はすごく怖かったはずだし、イオといると安心するなら、手助けしてあげた方がいいと思う。」
クロエがそう言うと、リナリーは何か言いたげだったが、それ以上は言い返してこなかった。
イオは、少し複雑そうな表情を浮かべ、
「分かってくれてありがとう、クロエ。時間がある時は、いつもみたいにみんなと過ごしたい。」
と言った。
(イオならきっと大丈夫。優しいから断れなかっただけ。私に待っててって言ったもの。私が信じなきゃ)
クロエはそう自分に言い聞かせていた。
しかし、その後しばらくしても、イオが時間を作れることは少なくなり、前のように4人で昼食を食べることもなくなってしまった。
あの秘密の丘なら、セリーナの相手に疲れたイオが来るかもしれないと思ったが、いつ行っても、イオが現れることはなかった。
ある日、クロエはセリーナとイオが一緒にいるところを見かけた。
以前はセリーナに対して、一歩遠慮したような態度を取っていたイオが、まるで4人で過ごしていた時のように、心から気を許し、楽しんで話している様子が伝わってきた。
セリーナに対して疲れているとはどう考えても言い難かった。
相変わらず、セリーナのイオに対する距離は近く、冗談を言ったイオの背中や腕を触ったりしていた。
クロエはそのまま2人に出くわさないよう帰ろうと思ったのだが、逃げるのもおかしいと思い、話しかけてみることにした。
「イオ、セリーナ、こんにちは。」
イオとセリーナがクロエに気づいた。
「クロエ!久しぶり。最近会いに行けなくてごめん。」
イオは申し訳なさそうに言った。
「私からもごめんね。イオを独り占めしちゃって。。。イオと話してると居心地良くて、いつもわがまま言っちゃうの。」
全く申し訳なさそうにセリーナが言った。
『わがままを聞いてくれるほど、セリーナはイオにとって特別な存在である』と自慢されたような気がして、クロエはカチンとした。
「そうだったのね。じゃあ、私も今日はイオを独り占めしてもいい?放課後、2人のあの場所で待ってる。」
わざと『2人のあの場所』という言い方をした。セリーナは知らないはずだ。
イオは、
「分かった。必ず行くよ」
と言った。セリーナは、イオのその言葉が嬉しく、やはりイオの特別は自分なんだと思えた。
しかし、その日の放課後、いくら待ってもイオは現れなかった。
セリーナとイオの証言から、ルイがセリーナに対して乱暴をしようとしたと判明し、学園を退学となった。
ルイは最後まで「セリーナに呼び出された。乱暴はしていない。」と否定していたが、状況的に信憑性が薄いと判断されたのだった。
ルイを殴ったイオに関しては、暴力は良くないが、女子生徒を守ろうとした行動は処分に値しないとして、おとがめなしとなった。
セリーナは、あんなことがあったのに、翌日から学園に来ていた。
そして、登下校時や昼休み、休み時間など、セリーナの隣にはなぜかいつもイオがいるようになっていた。
リナリーがイオに、
「なんであんた、いつもセリーナにくっついてるわけ?」
と聞くと、
「セリーナは、襲われたことで人間不信になったらしいんだよ。で、最初に発見したのが俺だったから、当分落ち着くまでは、俺が近くにいた方が安心するって言われてさ。先生たちも、『それなら、君ができる限り付き添ってあげて』って感じで頼まれちゃって・・・」
「はぁ??なんであんたがそこまでしなくちゃいけないのよ?セリーナ無事だったんでしょ?断りなよ!」
リナリーがそういうと、ラリーが反論した。
「リナリーは人の心がないの??セリーナは、健気に学校に来ようとしてるんだよ。イオがいれば安心するんだったら、助けてあげるべきだろ?セリーナはクロエの恩人でもあるんだぞ!」
2人の口論をあわあわして聞いていたクロエは、名前を出された瞬間ビクっとした。
セリーナとイオが、常に一緒にいるのはすごく嫌だったし、もう2度とアリオンの時のような思いはしたくないと思っていた。
しかし、セリーナがクロエの危機を助けてくれたのは本当に感謝している。
今がセリーナの危機であるのなら、クロエはセリーナが回復するよう、応援しなくてはならなかった。
「そうよ。セリーナは私のこと助けてくれたもの。襲われた時はすごく怖かったはずだし、イオといると安心するなら、手助けしてあげた方がいいと思う。」
クロエがそう言うと、リナリーは何か言いたげだったが、それ以上は言い返してこなかった。
イオは、少し複雑そうな表情を浮かべ、
「分かってくれてありがとう、クロエ。時間がある時は、いつもみたいにみんなと過ごしたい。」
と言った。
(イオならきっと大丈夫。優しいから断れなかっただけ。私に待っててって言ったもの。私が信じなきゃ)
クロエはそう自分に言い聞かせていた。
しかし、その後しばらくしても、イオが時間を作れることは少なくなり、前のように4人で昼食を食べることもなくなってしまった。
あの秘密の丘なら、セリーナの相手に疲れたイオが来るかもしれないと思ったが、いつ行っても、イオが現れることはなかった。
ある日、クロエはセリーナとイオが一緒にいるところを見かけた。
以前はセリーナに対して、一歩遠慮したような態度を取っていたイオが、まるで4人で過ごしていた時のように、心から気を許し、楽しんで話している様子が伝わってきた。
セリーナに対して疲れているとはどう考えても言い難かった。
相変わらず、セリーナのイオに対する距離は近く、冗談を言ったイオの背中や腕を触ったりしていた。
クロエはそのまま2人に出くわさないよう帰ろうと思ったのだが、逃げるのもおかしいと思い、話しかけてみることにした。
「イオ、セリーナ、こんにちは。」
イオとセリーナがクロエに気づいた。
「クロエ!久しぶり。最近会いに行けなくてごめん。」
イオは申し訳なさそうに言った。
「私からもごめんね。イオを独り占めしちゃって。。。イオと話してると居心地良くて、いつもわがまま言っちゃうの。」
全く申し訳なさそうにセリーナが言った。
『わがままを聞いてくれるほど、セリーナはイオにとって特別な存在である』と自慢されたような気がして、クロエはカチンとした。
「そうだったのね。じゃあ、私も今日はイオを独り占めしてもいい?放課後、2人のあの場所で待ってる。」
わざと『2人のあの場所』という言い方をした。セリーナは知らないはずだ。
イオは、
「分かった。必ず行くよ」
と言った。セリーナは、イオのその言葉が嬉しく、やはりイオの特別は自分なんだと思えた。
しかし、その日の放課後、いくら待ってもイオは現れなかった。
33
お気に入りに追加
1,743
あなたにおすすめの小説
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。
メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい?
「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」
冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。
そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。
自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
嘘つきな私が貴方に贈らなかった言葉
海林檎
恋愛
※1月4日12時完結
全てが嘘でした。
貴方に嫌われる為に悪役をうって出ました。
婚約破棄できるように。
人ってやろうと思えば残酷になれるのですね。
貴方と仲のいいあの子にわざと肩をぶつけたり、教科書を隠したり、面と向かって文句を言ったり。
貴方とあの子の仲を取り持ったり····
私に出来る事は貴方に新しい伴侶を作る事だけでした。
見た目普通の侯爵令嬢のよくある婚約破棄のお話ですわ。
しゃち子
恋愛
侯爵令嬢コールディ・ノースティンはなんでも欲しがる妹にうんざりしていた。ドレスやリボンはわかるけど、今度は婚約者を欲しいって、何それ!
平凡な侯爵令嬢の努力はみのるのか?見た目普通な令嬢の婚約破棄から始まる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる