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花祭り2~イオとの距離~

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 それから数日間、リナリーは食堂にも放課後も姿を見せなくなっていた。

 いよいよ嫌われたか、とクロエが落ち込んでいると、ラリーが言った。

「リナリーはああ見えて不器用なんだ。ほんとは仲直りしたいくせに、素直になれないだけ。少し時間かかると思うけど、待ってあげて。」

 クロエは自分から話しに行こうと思ったが、今は時間をおいた方がいい気がした。

 ラリーは、リナリーと一緒にいることが増えた為、そんな時は、クロエとイオはあの2人の場所で共に時間を過ごした。

 2人で寝転がって静かに過ごすときもあれば、
 ポツポツと話をする時もあった。

 クロエには、適当に話せるような話があまりなかったが、イオが話す、昨日テオが何をやらかしたとか、ラリーとの昔のエピソードなど、なんてことない日常の話を聞くのが好きだった。

 楽しそうに話すイオの目を見て、クロエは突然こう言った。

「イオって木みたいね。」

 イオは意味が分からず、一瞬固まり、「え。。。木???」となっていた。


「うん、何も言わずにただそこにいて、大きな心で私を癒してくれるから、この木みたいだなって。」

 クロエがそういうと、イオは少し顔を赤くして、真剣な表情でクロエに聞いた。

「それは、クロエの中で俺が特別ってこと?」

 イオに質問され、クロエは本音で答えた。

「・・・ええ。イオは特別よ。一緒にいて楽しいし、それに」

「この時間が終わる時、私いつも残念な気持ちになるのよ。ずっとこのままだったらいいのになって。。。」

 クロエは本心をありのまま伝えたのだったが、イオはうろたえて何も言えなくなってしまった。

 少し落ち着いて、クロエの方に向き直り、緊張しながらこう言った。

「俺も、クロエとずっと一緒にいたいなって思ってるよ。」

 イオの緊張で赤くなった耳と、気を許した相手にしか見せない、少し甘えたような目元を見て、クロエはイオから目が離せなくなり、動悸が収まらなくなった。

 そんな時、ちょうど授業開始5分前の予鈴が鳴った。

「あ、そろそろ行こっか」

 とイオが呟き、すごく自然にクロエの手を取って歩きだした。引き連れているというよりは、まるで恋人同士が手をつないでいる感覚に陥り、クロエはさらにドキドキが止まらなくなった。

 イオは絶対に天性の女たらしだとクロエは思った。


 ◇


 それから、花祭り前日になった。

 リナリーとはあれから話せないままだったが、
 集合場所と時間は教えられていた。

「もし気が向いたら来て。」

 とラリーに言われていた。

 イオのおかげもあり、クロエは前に進める気がした。また、リナリーとも話がしたかった。

 明日の花祭りに行こうと決心したクロエだった。
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