契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん

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30話 婚姻の儀

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 学園の卒業試験でリアンナは、婚約者のアルベールとともに難なく優秀な成績で合格した。

 そのあとの卒業パーティーでは、1人さびしく孤独にすごすこともなく… リアンナは大喜びした。 

「信じられないわ、アル! まさか私が… 学園の王子様にエスコートしてもらえるなんて! 少し前まで私のパートナーになってくれる男性なんていないと、1人で参加することを覚悟していたのがうそみたい…」
 私が婚外子こんがいしだと知られていたことを、アルに聞いたときから… ずっと心にかかえていた重い荷物をおろせた気がする。
 アルの前では不思議なほど、私は笑ってばかりだわ…?

 ニコニコと笑いはしゃぐリアンナに、アルベールはほほをそめて苦笑する。

「リア… 王子様はやめてくれよ! そんな恥ずかしいこと言われたら、僕は顔をあげて歩けなくなるからさぁ…」

「ふふふっ… あなたとガセボで初めて話したときに、そう思ってしまったから仕方ないわ」

「う~んん… まぁ、僕のほうこそ… 学園生たちがあこがれる『高嶺たかねの花』をエスコートできて、友人たちに自慢してるけどね?」

 アルベールにエスコートされたリアンナは、灰色だった学園生活にキラキラと輝く極彩色ごくさいしょくの思い出を作ることができた。


 成人の儀式もリアンナとアルベールは2人そろって神殿へ行き、仲良くならんで受け… アルベールが叔父から公爵位を継承けいしょうするときも、リアンナは公爵邸の執務室でアルベールが書類に署名する姿を見守った。


 そしてついに… 婚姻こんいんの儀式の日がやって来た。





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