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15話 エヴァの計画 エヴァside
しおりを挟む昼食の後、エヴァは毎日のようにリアンナに会いに行き、契約結婚の計画を一緒に立てた。
自分のことをバカにしたり、あきれたりしないで… 最後まで話を誠実な態度で聞いてくれるリアンナに、エヴァは好感を持つようになった。
「アルベールでさえ、私の計画をうちあけたときは、『ゴシック小説の読み過ぎだ』 …と言いたげに、あきれていたのに? ふふふっ…」
リアンナ様は協力しても良いと言ってくれた。
この話はなんとしても成功させないと! そうすれば、リアンナ様も惨めな結婚をしなくてすむわ。
「次は叔父様をうまく説得すれば、大成功ね…? ふふふっ…」
どうせアルベールは失敗すると思い込んでいて私の計画を進めようとはしないわ… だから発案者の私が、この計画を進めるべきよね?
リアンナの説得に成功したエヴァは、公爵を説得する自信があった。
学園から帰宅すると、エヴァはさっそく公爵に会いに執務室へとゆき、そして……
「私が好きだと告白したから、アルベールは孤児の私を心配して結婚しようと言ってくれました…」
リアンナ様を説得できたから… 次に私の計画の鍵をにぎるのは、 やっぱり叔父様だわ。
エヴァの話を聞き、公爵は難しい顔になる。
「ああ、その話ならアルベールに聞いているよ…」
公爵はアルベールと同じく、『結婚をさせてくれ』 …とエヴァがねだりに来たのだと思っているようだ。
「でも叔父様… アルベールが本当に愛しているのは、ペルサル伯爵令嬢のリアンナ様なのです!」
叔父様をうまく説得して、リアンナ様とアルベールを結婚させなければ!
予想とはちがったエヴァの言葉に、公爵はとまどう。
「…なんだと?」
「ですから私は… 大好きなアルベールとリアンナ様が結婚できるように、叔父様に協力してほしいの!」
ペルサル伯爵令嬢で学園でも秀才で有名なリアンナ様なら、公爵夫人にピッタリの女性だわ。
いつもアルベールに甘い叔父様なら、きっと私の話に興味を持ってくれるはずよ?
「だが… 確かリアンナ嬢はローンヘッド男爵と婚約すると聞いたが?」
「はい、その通りです… ですから、急いでアルベールとの結婚をすすめないと、リアンナ様がローンヘッド男爵に奪われてしまいますわ?!」
リアンナ様にたずねたら、まだ婚約式も婚前契約も決まっていないと言っていたから… まだ、間に合うはずよ。
公爵は首をかしげた。
「ふむ、奪われるか……」
「お願いです、叔父様! 優しいアルベールが幸せになれるように… どうか、お力をお貸しください!」
どうか叔父様、私の望みをかなえて!
その場で公爵は、エヴァの提案を受け入れるかどうかは言わなかったが… すぐに公爵邸へリアンナの縁談相手のローンヘッド男爵を呼びつけた。
恐らく公爵はエヴァから話を聞き、男爵からリアンナについての情報をえようとしているのだ。
エヴァは公爵が自分の話に興味を持っているのだと確信し、ほくそ笑む。
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