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14話 エヴァとリアンナ2
しおりを挟む契約結婚の計画をエヴァから聞くあいだ、リアンナは学園に来るといつも憂鬱になる、貴族の令嬢たちにたいする苦手意識や緊張を感じず… 思っていたよりも楽しい時間をすごすことが出来た。
1番の友だちを相手にするように大らかに話すエヴァといると、リアンナは自分も本物の貴族令嬢になった気がして夢を見ている気分だった。
「ねぇ、リアンナ様… 明日も昼食の後で、おしゃべりをしに来ても良いかしら?」
「ええ、もちろんですわ! とても興味深いお話でしたから… ふふふっ…」
アルベール様と契約結婚をするという、衝撃的な計画内容よりも… 私と話をしていても、エヴァ様が楽しそうに笑っている姿を見るのがとても嬉しい…
「これで私とリアンナ様は、お友だちですよね?」
「ええ… エヴァ様がそう思って下さるのなら」
まぁ、初めてだわ?! こんなふうに私をお友だちだと言ってくれる令嬢は! 今まで私が学園内で人と話すのを避けていたせいもあるけれど…
「ふふふっ… 他のお友だちにリアンナ様とお友だちになったと自慢してしまいたいけれど、アルベールとリアンナ様の契約結婚の計画があるから、今は我慢しないと」
「そうですわね… それが良いですわ」
不思議だわ… 貴族同士の社交的な礼儀からではなく、エヴァ様には心から笑えることができる。
こんな人が、貴族の令嬢の中にはいるのね? 嬉しい驚きだわ…
リアンナは満面の笑みをうかべた。
「私の話を聞いてくれてありがとう、リアンナ様!」
「こちらこそ… 私に提案してくれてありがとうございます」
エヴァ様が提案してくれた、アルベール様との契約結婚が… 正直、うまくゆくとは思えない。
…だけど、あと数ヶ月で学園を卒業する私にとって、エヴァ様と話す楽しい時間は苦しかった学園生活をたえぬいた私に、女神様から特別にご褒美をもらったように感じるの。
その日リアンナは、女神に祈りをささげたくて… 学園からペルサル伯爵邸に帰るとちゅう、少し遠回りをして神殿に立ち寄るよう、御者に頼んだ。
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