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9話 元秘密の恋人
しおりを挟む何か月も前に飽きて放置していた恋人に、何のことわりもなく婚約されて… ケインはどうやら腹をたてているようだ。
「ダメだよ、ニーナ! 僕が君との婚約を、すぐに決めなかったから… まるで僕への復讐みたいに、好きでもない男と婚約なんてしたら、きっと君は後悔するはずだ!」
本気で心配するように、ケインは困った顔でニーナを説得しようとする。
「なぜ、私が後悔するの?」
この人… 今さら何を言っているの? もう、何か月も私たちは会話をしてないのに? 頭がおかしいのかしら?! まだ私が、ケインの“秘密の恋人”を続けていると思っているの? 理解に苦しむわ???
思わずニーナは眉をひそめて、ジッ… とケインを観察した。
「君は僕を愛していることを、知っているからさ!」
「あら…… まだ、そう思っていたの?! それなら心配ないわ」
まぁ、嫌だ! 本当にこの人、頭がおかしい人だわ?!
「心配ないって… なんだよ?!」
「だって、今はあなたのことが、とても気持ちが悪い人だと思っているから… 心から、特に今っ…!!」
本当に嫌だわ! 気持ち悪い人! どうしてこんな人が、少しでも良いと私は思ったのかしら?!
ニーナの腕に、ゾッ… と鳥肌がたち、後ろに3歩さがり、ケインから距離をとる。
「なっ…! 何だって?! 僕が… 気持ち悪い?! お前…っ!!」
ケインの顔がカッ… と赤くなり、怒り出した。
「お願いだから帰って下さる? あなたが連れて来た人は、私がお相手を誰かに頼んであげるから… ね?」
本当に気持ち悪いわ!
ニーナは不快すぎて歪んでしまった、自分の唇を扇で隠し… もう一歩、後ろにさがる。
「おいっ…!」
「ねぇ、ケイン…? 今すぐ帰ったほうが、あなたのためにも良いわよ?」
チラリッ… とケインの背後を見るニーナ。
「何だよ?!」
ケインはニーナの視線に気づき、自分の背後をふり返ると… ハッ… と息をのむ。
そこには歴代の“秘密の恋人”たちが、集合していたからだ。
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