好きだと先に言ったのはあなたなのに?

みみぢあん

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7話 見合い相手

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 父親のスタッドリー男爵の学園生時代からの友人、アルセスター伯爵の長男ジュールとの見合いが決まり… ニーナは少し狼狽うろたえてしまう。


「未来の伯爵様が見合い相手だなんて… お父様、私では少しつり合わないのではないかしら?」
 アルセスター伯爵家と言えば… とても古い名家で、あまりにもスタッドリー男爵家とでは、家の格が違いすぎるもの…?

「いや、お前が出した条件に合う、ちょうど良い年齢の男性貴族は彼しかいないからね…?」 

「そうなのですか…?!」
 ううっ… 私は“キツネ狩り”だけは絶対にしない男性が良いと、条件はその一つだけだったのに?! そんなにこの国の殿方とのがた野蛮やばんな“キツネ狩り”が好きなのかしら?!

「それに… 先方せんぽうのアルセスター伯爵が、お前と令息を合わせたいといっておられるんだよ」

「なぜかしら?」
 思わずニーナは首をひねった。

「ほら、先日… お前がアルセスター伯爵がうちに事業計画の打ち合わせでいらっしゃった時に、お茶を出しただろう?」

 スタッドリー男爵家とアルセスター伯爵家で、共同事業をいくつかおこなっているのだ。

「ええ…」
 確かあの時は、お母様がかぜをひいて人前に出られなかったから… 私がお母様にかわって、スタッドリー男爵夫人の役目をになったのよね…

「しばらく話をしただろう? それで伯爵がお前を気に入ったらしいのだよ」

「まぁ……」
 アルセスター伯爵様は、とてもハンサムで素敵すてきなおじ様で… 私は帝国に旅行に出たときのお話を、夢中になって聞いていた覚えがあるけれど…? ああ! 確かあの時、帝国に留学されている息子さんのお話を聞いたわ! そうだ、思いだしたわ… 帝国のお話に興味があるなら、留学中の息子さんとも気が合うはずだと! 

「思いだしたかな?」
「はい、お父さま…」
「ふむ…」 

「………」
 父親のアルセスター伯爵様とは、何度かお会いしたことがあるけれど、見合い相手のジュール様は、私が学園に入学した年に、ちょうどいれかわるように卒業してしまわれた。
 その後すぐに、帝国へ留学のために旅立ってしまわれたから… 長男のジュール様とは一度もお会いしたことが、無いのよね? どんな殿方かしら?




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