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6話 恋の魔法がとけた後
しおりを挟む一度、気持ち悪いと思ったら… ケインの顔を見ることさえ、ニーナは気持ち悪くてたえられなかった。
学園の中庭におかれた長いすに2人で座り、昼食のサンドイッチを食べながら、ニーナは友人のリルベルにたずねられる。
「ねぇ、ニーナ… 本当にケインとは会わないの? ハッキリと別れたほうが良くないかしら?」
「うん、あのね…… 今まで私はケインと“秘密の恋人”の関係を、続けてきたつもりだったけれど… たぶん、ケインのほうは次の“秘密の恋人候補”を見つけたときには、私との関係は終っていたと思うのよ?」
手に持ったキュウリのサンドイッチを、ニーナはパクリッ…と食べる。
「ああ… うん、なるほどね」
リルベルもサンドイッチをパクリッ… と食べた。
「だから私はケインに別れをつげる手間も、はぶくことにしたの… だって、私から婚約の話をしたとき、彼は嫌そうにはぐらかしたから… 彼に私と婚約する気が無いと、言ったようなものでしょう?」
「確かにそうね… うん!」
「私が誰かと婚約しても、ケインは気にしないと思うわ…」
とにかく私は、2度とケインの顔を見たくないわ! 最初に“好きだ”と彼に告白されたときに、軽い男性だと思った印象は、やっぱり間違っていなかったのよ! 私はそれに気づいていたのに… 結局は彼の情熱に流されてしまったのよね…… もう!!
リルベルの婚約者マーカスに、ケインの悪い遊び癖を聞いてから、ニーナは徹底的にケインに会うのを避けることにした。
毎日、ケインが“好きだ” と言ってニーナにかけた、恋の魔法は… 今ではニーナの心から、綺麗にさっぱりと消えてしまったのだ。
それでもケインに付けられた深い傷は… 今もニーナの胸に残り、自信をなくしていた。
「私も両親のように、恋愛結婚をしたかったけれど… 信用できる男性を自分で見つける自信がないわ…? また、ケインのような変な人を選んでしまいそうで怖いの…」
私はもう、恋愛はこりごりだわ… それにリルベルとマーカスのように、お似合いな2人を見ていると、親が決めた結婚相手が悪いとは思えないし…。
ニーナは、父親がすすめる男性とお見合いをして、その人が気に入れば、婚約することにした
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