5 / 11
4話 発覚
しおりを挟むニーナとリルベルは他の友人たちと一緒に昼食をとり、次の講義のための準備をしていると…
普段はあまり話したことのない娘、顔を真っ赤にして、泣きながら講義室へ入ってきた。
「あの娘… どうしたのかしら?」
ニーナとリルベルが少し離れたところから、泣いている子のようすをうかがっていると…
「ケインが… 1年下のエリスと、“秘密の恋人”なんですって!」
泣きながらその子は、集まった友人たちに訴えた。
「どういう意味…?! だってデイジー、あなたがケインの“秘密の恋人”なのでしょう?」
「でも私… 彼が… ケインがこっそりエリスと会って、キスしているのを見てしまったの!」
「そんな… ひどいわ!」
「・・・っ?!」
「・・・っ?!」
ニーナとリルベルはその話を聞き、2人そろってハッ… と息をのみ、顔を見合せてぼうぜんとした。
「・・・・・・」
どういうこと? 泣いている彼女… “秘密の恋人”だったの?! ケインの恋人は私1人ではないの?!
ウソよ…?! そんなの、ウソよ?!! 信じないわ… 信じない!! 嫌よ… 嫌―――っ!!!!
心の中で何度も信じられないと、ニーナは悲痛なさけびをあげた。
婚約をすすめたいと話したときの、冷たい態度のケインが頭の中をよぎる。
『あのさ、ニーナ? 話はそれだけか?』
『なら、僕は他に用があるから、悪いけどもう行くよ!』
『え?! 待ってケイン…』
『ごめん、急いでいるんだ! じゃあね!』
心臓が凍えそうなほど冷たくなり、ニーナはガタガタと震え、ギュッ… と自分を抱きしめる。
「・・・っ」
勇気を出して婚約の話を、私からしたのに… あの時ケインは、私を置いて誰かに会いに行ってしまった! ケインが会いに行ったのは、エリスという子なの?! その子も私と同じ、ケインの“秘密の恋人”なの?!
29
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

さようなら、あなたとはもうお別れです
四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。
幸せになれると思っていた。
そう夢みていたのだ。
しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]
風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは
アカデミーに入学すると生活が一変し
てしまった
友人となったサブリナはマデリーンと
仲良くなった男性を次々と奪っていき
そしてマデリーンに愛を告白した
バーレンまでもがサブリナと一緒に居た
マデリーンは過去に決別して
隣国へと旅立ち新しい生活を送る。
そして帰国したマデリーンは
目を引く美しい蝶になっていた
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる