好きだと先に言ったのはあなたなのに?

みみぢあん

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2話 秘密の恋人

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 マーカスとケインは同じ血筋らしく2人ともそろって、さわやかな美形で… そのうえ明るい性格だから、人づきあいが上手く、女の子たちからビックリするほど人気がある。

 4人で一緒にいることが多くなり… リルベルとニーナは、学園の女の子たちに嫉妬され、かげぐちを言われるようになって、マーカスとケインの人気に気づいた。


「もう! 面倒だから彼女たちの期待にこたえて、ニーナとケインは婚約すれば?!」
 などと… 女の子たちの陰険な嫌がらせに、腹を立てたリルベルはニーナとケインをあおった。

「ふむふむ… ニーナのスタッドリー男爵家とケインのレブデール子爵家なら、悪くない縁組だよな? リルベルの意見は悪くないと思うな僕は?!」
 リルベルの婚約者マーカスも、ニヤニヤと笑って話にのる。

「ふふっ… うちのお父様はね、自分がお母様と奇跡的に恋愛結婚をしたから、私にもそうして欲しいみたいなのよ…? だから、私がケインを好きにならないかぎり、婚約は絶対にしないわ!」
 私の理想は、リルベルとマーカスみたいな婚約者を見つけることなのよ?! 本当に2人は、親が決めた婚約者同士とは、思えないほど仲が良いもの… うらやましいわ!

「僕はこんなにニーナのことが好きなのに? さびしいなぁ…」
 ケインはニコニコと笑いながら、ニーナの手をとった。

「もう、ケイン…! あなたのそういう態度が、かんちがいされてしまうのよ?」
「僕は本気だよ、ニーナ?」

「////////っ!」
 本当にこの人は… こんなふうに見つめられたり、いきなり手をにぎられたら、私でもドキッ…! としてしまうわ!! でも、この笑顔に流される気はないから?! 

 ケインの手の中から自分の手をひきぬき、ニーナはほほをまっ赤にそめてキッ… とにらんだ。

「すぐ顔が赤くなって、本当にニーナは可愛いね!」

「もう、ケイン! 冗談はやめてちょうだい?!」
 ケインのこういう態度が、私は本当に苦手なのよ! だから… 好きだと言われても、私はケインを好きになれないはずなのに! でもこんなふうに、会うたび好きだと言われると… 断わり続ける自信がないわ……??? 頭がクラクラする!

「だから、ニーナ… 僕は冗談は言ってないよ?」
 キラキラと輝く青い瞳で、ニーナを誘惑ゆうわくするようにケインは微笑む。

「ほら、ニーナ! あなたたちとても、お似合いよ?! はやく婚約してしまいなさい?!」

「こらこら… 無理いはいけないよ、リルベル?!」
 リルベルはふたたび、ニーナとケインをあおり出し… マーカスは婚約者の暴走を上手におさえる。

「もう、困った人たち!」
 そう言いながらも、ニーナはあまり悪い気はしなかった。
 リルベルとマーカスのように、誰が見てもお似合いのカップルになれるのなら… と、そう考えていたから。

 チラリッ… とニーナがケインを見ると、ケインの青い瞳と視線が合いニコリと微笑まれる。



 ―――結局、ニーナは毎日のように、ケインから好きだと言われるうちに… ニーナもケインのことが、本当に好きになってしまう。


 でも、いきなり婚約するのは怖い気がして… ケインの提案で2人は、“秘密の恋人”になることにした。
 
 秘密と言っても… お互いの親友、リルベルとマーカスにだけは、2人が恋人同士だと話している。




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