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24話 夜会への道
しおりを挟むお兄様のエスコートで、ブリンクロウ侯爵家の舞踏会に、私は出席することにした。
キンレット男爵家にも公爵家から招待状が届いていて、お兄様もそろそろ結婚相手を探そうとしていた時だったらしい。
「お兄様にも、素敵な奥さんが見つかると良いわね?」
お父様が亡くなる前は、お兄様にも婚約者がいたけれど。
大きな借金を背負ってしまったため、それが原因で婚約を解消してしまった。
ブリンクロウ侯爵邸へ向かう馬車に揺られながら、隣に座るお兄様を見つめた。
「そうだな… でも、すぐに結婚をしたいわけではないんだ」
「どうして?」
「ベルナール卿の支援と助言のおかげで、キンレット男爵家の借金は大幅に減ったが… まだ残っているからね」
「ああ……」
結婚の時に贈られた支度金以外にも、ベルナール様は男爵家にお金を貸してくれた。
ベルナール様が持つ情報を参考に、お兄様はそのお金を使い投資にまわして、少しずつ借りたお金を返済している。
「もしも、僕が結婚できなかったら、レオニーの子を養子にもらおうかなぁ~?」
「もう、お兄様! 何を言っているの?!」
「ははははっ…!」
「私の子供なんて…… そんな…」
正直、考えたことも無い。
でもベルナール様と結婚して、初夜の儀式もしっかり行った。 そして毎晩のように、情熱的な夜をベルナール様と過ごしている。
「お前は健康だから、きっと大丈夫だよ。 それにベルナール卿とレオニーの子なら、可愛いだろうな」
「……っ」
お兄様に言われて、初めて気づくなんて! 私は避妊なんてしたことがないわ。
だけどそれって、今… 私のお腹の中に、ベルナール様の子がいても、おかしくない状況なのでは?
サッ… と血の気がひき、思わず私は自分のお腹に手を当てた。
「どうしたんだ、レオニー? 急に黙り込んだりして…」
「お兄様… 私… 子供のことなんて、すっかり頭から抜け落ちていたの」
「おやおや… 僕の妹はそういう話に、疎いとは思っていたけど」
「私ったら…… 本当にマヌケね?」
どうしよう? 本当に何も考えていなかったわ。
「いやいや。 …たぶん、レオニーのそういうところが、ベルナール卿は可愛いと思っているかもしれないよ?」
「そうかしら? でも、ベルナール様と話し合わないと…」
「そうだね。 それが良いよ」
私の動揺を読み取ったお兄様は、私の手をトントンッ… とたたく。
「……」
私はベルナール様が婚外子を連れて来ても、愛情を持って自分の子として育てると言ったけれど。 自分がベルナール様の子供を産むなんて… 考えていなかったわ。
ベルナール様は子供のことを、どう思っているのかしら?
一生、自分には訪れるコトは無いと思っていた出来事が、またしても1つ訪れた。
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