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23話 兄弟げんか エドガーside
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ファゼリー伯爵家の本邸に戻ってすぐに、エドガーは弟のジョナサンが自分の部屋に閉じこもったきり2週間も出て来ないと聞く。
「セイフォード男爵家へ体調を崩されたアリアーヌ様のお見舞いに出かけられた時は、普段と変わらぬご様子でしたが… お帰りになられた時はひどく落ち込んでおられまして…」
「まったくジョナサンのやつ… どこまで人騒がせなヤツなんだ」
もうすぐ自分の結婚式だから… 一番楽しい日々をすごしていると思っていたのに。 もしかしてアリアーヌと喧嘩でもしたのか?
さすがに何かあったと察して…
エドガーはハァ―――ッ… と大きなため息をつくとジョナサンの部屋へ嫌々向かった。
ジョナサンの部屋に入ると、むせかえるような酒の匂いが部屋中に充満していた。
昼間だというのに窓のカーテンは閉め切ったままで… エドガーは執事にカーテンと窓を開け換気をするよう指示を出す。
ジョナサン本人はというと… 1人で酒を飲み酔いつぶれたらしく、絨毯の上でゴロリと転がりガァー ガァー といびきをかいて眠っていた。
「おい! ジョナサン、起きろ! この酔っ払いめ、起きろっ!!」
こいつはいったい、何をしているんだ?!
転がったジョナサンのヒョロリとした肩をエドガーは容赦なくバシッ…! バシッ…! とたたき、強引に起こした。
「ううっ… んっ… 痛いっ……!」
「起きろ―――っ!!!」
ジョナサンの耳をつかみ引っ張るとエドガーは怒鳴った。
「痛でででででっ……?!!!」
「よしっ…! 起きたな? …おまえ、身体が発酵しているみたいに酒臭いぞ」
ジョナサンが目をショボショボさせながら目覚めたのを確認すると… エドガーは執事に湯あみの用意をさせる。
ようやく入浴をすませ、さっぱりとしたジョナサンが伯爵邸の執務室へあらわれたのは、日が暮れる少し前のことだった。
「それで? 何があって2週間も酒浸りで荒れていたのか、簡単に説明しろジョナサン」
エドガーは執務机につき伯爵家の当主らしく威厳のある態度でジョナサンにたずねた。
「それは……」
執務机の前に置かれたソファセットの長椅子に、だらしなく足を投げ出して腰を下ろし… ジョナサンは唇を噛みしめ子供のようにムスッ… と黙りこんだ。
「ジョナサン、話せ」
「兄さんには、関係の無いことだよ…」
「私はお前が思うよりもヒマでは無い! 子供のように拗ねてないで説明しろ」
もうすぐ結婚して妻が出来るという男が、何を言っているんだ。 この愚か者が!
不貞腐れて目を合わせようとしないジョナサンをエドガーはにらみつける。
「だから…! 兄さんには関係ないから、僕に干渉しないでくれ」
「私だって干渉したくないから、先に何が起きたか、お前に理由を聞いているのがわからないのか?」
この短絡的な弟のせいで、私まで面倒なことに巻き込まれるのだけは避けたいからな。
「言いたくない!」
「…ジョナサン!」
クソッ…!! こいつの胸ぐらをつかんで頭をガクガクッ… 揺すってやりたい!!
アッ… という間にエドガーの我慢に限界が来た。
執務机を離れジョナサンの前へ行き… エドガーはシャツのえりをつかみ、ジョナサンを引っぱり上げて首をしめる。
「ぐっ…! は… 放せ!」
「安心しろ、ジョナサン。 お前に干渉しているひまは無い。 できれば今すぐにでも、私はジュリーに求婚したい」
頭半分、上から見下ろしながら、エドガーは弟をにらみ威嚇した。
「なっ… ジュリーに求婚? 兄… 兄さん…が…?」
「ああ、そうだ。 浅はかなお前のおかげでジュリーは幸運にも男爵家から解放された。 私はこの好機を逃したくないからな!」
まったく忌々しい弟だ! 私の胸で泣いたジュリーの涙がこの弟への愛情だったのかと思うと、腹の中から焼け焦げそうだ。
心の底でエドガーはジュリーの婚約者だったジョナサンに、嫉妬を燃やしていた。
「セイフォード男爵家へ体調を崩されたアリアーヌ様のお見舞いに出かけられた時は、普段と変わらぬご様子でしたが… お帰りになられた時はひどく落ち込んでおられまして…」
「まったくジョナサンのやつ… どこまで人騒がせなヤツなんだ」
もうすぐ自分の結婚式だから… 一番楽しい日々をすごしていると思っていたのに。 もしかしてアリアーヌと喧嘩でもしたのか?
さすがに何かあったと察して…
エドガーはハァ―――ッ… と大きなため息をつくとジョナサンの部屋へ嫌々向かった。
ジョナサンの部屋に入ると、むせかえるような酒の匂いが部屋中に充満していた。
昼間だというのに窓のカーテンは閉め切ったままで… エドガーは執事にカーテンと窓を開け換気をするよう指示を出す。
ジョナサン本人はというと… 1人で酒を飲み酔いつぶれたらしく、絨毯の上でゴロリと転がりガァー ガァー といびきをかいて眠っていた。
「おい! ジョナサン、起きろ! この酔っ払いめ、起きろっ!!」
こいつはいったい、何をしているんだ?!
転がったジョナサンのヒョロリとした肩をエドガーは容赦なくバシッ…! バシッ…! とたたき、強引に起こした。
「ううっ… んっ… 痛いっ……!」
「起きろ―――っ!!!」
ジョナサンの耳をつかみ引っ張るとエドガーは怒鳴った。
「痛でででででっ……?!!!」
「よしっ…! 起きたな? …おまえ、身体が発酵しているみたいに酒臭いぞ」
ジョナサンが目をショボショボさせながら目覚めたのを確認すると… エドガーは執事に湯あみの用意をさせる。
ようやく入浴をすませ、さっぱりとしたジョナサンが伯爵邸の執務室へあらわれたのは、日が暮れる少し前のことだった。
「それで? 何があって2週間も酒浸りで荒れていたのか、簡単に説明しろジョナサン」
エドガーは執務机につき伯爵家の当主らしく威厳のある態度でジョナサンにたずねた。
「それは……」
執務机の前に置かれたソファセットの長椅子に、だらしなく足を投げ出して腰を下ろし… ジョナサンは唇を噛みしめ子供のようにムスッ… と黙りこんだ。
「ジョナサン、話せ」
「兄さんには、関係の無いことだよ…」
「私はお前が思うよりもヒマでは無い! 子供のように拗ねてないで説明しろ」
もうすぐ結婚して妻が出来るという男が、何を言っているんだ。 この愚か者が!
不貞腐れて目を合わせようとしないジョナサンをエドガーはにらみつける。
「だから…! 兄さんには関係ないから、僕に干渉しないでくれ」
「私だって干渉したくないから、先に何が起きたか、お前に理由を聞いているのがわからないのか?」
この短絡的な弟のせいで、私まで面倒なことに巻き込まれるのだけは避けたいからな。
「言いたくない!」
「…ジョナサン!」
クソッ…!! こいつの胸ぐらをつかんで頭をガクガクッ… 揺すってやりたい!!
アッ… という間にエドガーの我慢に限界が来た。
執務机を離れジョナサンの前へ行き… エドガーはシャツのえりをつかみ、ジョナサンを引っぱり上げて首をしめる。
「ぐっ…! は… 放せ!」
「安心しろ、ジョナサン。 お前に干渉しているひまは無い。 できれば今すぐにでも、私はジュリーに求婚したい」
頭半分、上から見下ろしながら、エドガーは弟をにらみ威嚇した。
「なっ… ジュリーに求婚? 兄… 兄さん…が…?」
「ああ、そうだ。 浅はかなお前のおかげでジュリーは幸運にも男爵家から解放された。 私はこの好機を逃したくないからな!」
まったく忌々しい弟だ! 私の胸で泣いたジュリーの涙がこの弟への愛情だったのかと思うと、腹の中から焼け焦げそうだ。
心の底でエドガーはジュリーの婚約者だったジョナサンに、嫉妬を燃やしていた。
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