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14話 苦肉の策?2 セインside

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 王立騎士団の騎士たちを統率とうそつする、有能で厳格げんかくな副団長の姿からは、想像できないほど… セインは不器用ぶきようなプロポーズをした。


「妻…… ですか? セイン様の?! でも侯爵様のセイン様と、貧乏男爵の娘の私では… 大きな身分の差という問題が…?!」

 顔をまっ赤にして、マリエルがたずねると… セインは自分の言葉に力を込めて、マリエルの劣等感れっとうかんをはっきりと否定した。

「それなら、1度結婚に失敗して離婚歴のある私の方が… ずっと問題があると思うぞ?! 年も14歳上だし… 身分の差など気にならないほど、マリエルよりも私は条件が悪い!」

「で… でも、セイン様……?」

「・・・・・・」
 ジッ… とセインがマリエルを見つめると…

「セ… セイン様が、私と白い結婚を考えておられるのなら… おことわりします!」

「マリエル……」
 ああ、やっぱりダメかぁ―――っ………

 セインは落胆らくたんし、ガックリと肩を落として下をむく。

「…私は、セインさまの子どもが… 欲しいのです…」
 マリエルは勇気をふりしぼって、最大限の愛の告白をした。

「・・・っ?!」
 今… マリエルは何て言った?! 私の聞き間違いか?! んんん?!

 一瞬、自分の耳が信じられず… セインはパッ… と顔を上げてマリエルを見た。

「/////////…っ」
 マリエルはさらに顔を赤くして、下をむく。

 上から見下ろすセインからは、マリエルの細いうなじまで、まっ赤に染まっているのがわかる。

「…私の子?!」
「はい、セインさまの子どもを… 産みたいのですっ……!」

「/////////……っ」
 思わずセインの顔まで、まっ赤に染まる。

「セイン様……?」
「マ… マリエル! 君が望むなら… 君の… 希望をできるかぎり… 私はかなえるつもりだ…!! それが夫の仕事だからね……?」
「本当に? セイン様?!」

「///////…本当だ、約束する!」
 セインはまっ赤な顔で、コクッ… コクッ… とマリエルにうなずく。

「セイン様…!!」

「うおぉっ…?!!」
 ギュウゥゥゥッ… とマリエルに抱き付かれ、セインはあわあわと長く大きな手を振りまわす。

「マ… マリエル…? 本当にそれで良いのかい?!」 
「はい! そうなれば良いと… 初めてお会いした時から、思っておりましたから!」

「はっ? マリエル……?!!」
 今… 私は夢を見ているのか? こんな幸運は、やっぱり私の妄想もうそうだろうか…?!! いったい何がおきているんだ??! 奇跡きせきなのか?! 私に奇跡がおきているのかぁ―――っ…??!

 自分の目も耳も、まったく信じられなくなったセインは、迷ったあげく…… とりあえず、ためしにマリエルの唇にキスをしてみる。

 マリエルはほほを染め、うっとりとセインに笑いかけた。

 セインの体温は急激に上昇じょうしょうする。





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