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52話 王立騎士団 クレマンside
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これ以上、クレマンとミレイユがこの場に残れば、騒ぎが大きくなると… 王宮警備を担う騎士は判断した。
「まずは、事情をお聞きしたいので、お2人とも、ご同行願います」
「はい、お願いします… さぁミレイユ行こう?」
早くここからミレイユを連れ出したい!
クレマンは暗がりで転がる、自分が殴って気絶させ男をチラリと見た。
「…ク… クレマン…」
「さっき他の騎士が、ご両親を呼んでくれると言っていたから、すぐに会えるよ?」
怯えて泣きじゃくるミレイユをなだめながら、クレマンは騎士の指示にしたがい、王宮内にある騎士たちの待機場所へと向かった。
「……」
転んで汚れてしまったドレス姿のミレイユが… これ以上、人の目にさらされないだけでも良かった! 美しく整えていた髪も、クシャクシャだし、頬も涙で濡れている…! せっかく可愛くおしゃれをして来たのに、かわいそうに…! いったい、ミレイユを襲ったあの男は誰なんだ?!
クレマンたちを誘導する騎士が、人の目を避けて建物の外から、ぐるりと回って進んでくれるのがありがたい。
「ご… ごめんなさい、クレマン… 私があなたの言うとおり、扉の前で待っていれば、こんな大騒ぎにはならなかったのに…!」
「ミレイユは何も悪くないよ? 悪いのは、あの男なんだから…! それに、疲れ果てていた君を、1人にした僕が1番悪いんだよ?」
また僕が醜聞の中心になってしまったから! ミレイユを巻き込んで、注目を浴びた。
だから、ミレイユが人の目を避けたいと思うのは当然なんだ! 僕の配慮が欠けていたから、こんな騒ぎが起きた!
「クレマン…」
「君のご両親もすぐに来てくれるから… ファーロウ邸に帰れるよ?」
「ク… クレマンはどうするの?」
「僕は王宮警備をしている騎士たちに、事情を説明しないといけないし… このまま残ることになると思う」
まだ、相手が誰かはわからないけれど…? ミレイユが襲われる姿を見て、僕はカッ… となり、相手が気絶するまで殴ってしまった。
だから今は、この状況をしっかり説明しないと… 最悪の場合、僕は暴行した罪を、問われるかもしれない!
「私も… 私も残って説明するわ?! 私が悪いのに…!」
ぶるぶると華奢な身体を震わせながら、ギュッ… とクレマンの腕にしがみつきミレイユは訴える。
「大丈夫だよ、ミレイユ… 僕が全部、説明するからね? 僕でたりない時は明日にしてもらうよう、頼んでみるから… ね?」
今にもミレイユは、倒れてしまうのではないかと思うほど、動揺していて… 限界に見える。
それに出来るだけ、ミレイユの名前が出ないようにしないと… もっとミレイユを傷つけてしまう! そうならないよう、僕がしっかり守るんだ!!
婚約者のミレイユを、自分が守らなければならないという、強い思いが… 不思議なほどクレマンの頭を冷静にし、落ち着いていられた。
2人が騎士たちの待機所まで来ると… ミレイユの兄ルドヴィクが、同僚の騎士から報告を受け待っていた。
王宮警備で巡回していた騎士も、クレマンたちを待機所まで案内した騎士も、兄ルドヴィクと同じ王立騎士団の騎士なのだ。
「ミレイユ!! 大丈夫か?!」
「お… お兄様!!」
クレマンの腕にしがみついていたミレイユは… ふたたびワッ… と泣きながら、クレマンの腕を放し、兄ルドヴィクの胸に飛び込んだ。
「よしよし… ミレイユ可愛そうに! 怖い目にあったな…?!」
ミレイユの兄ルドヴィクはミレイユを抱きしめ、優しい声でなだめる。
だが、するどい視線をクレマンに向け、『お前は何をしていたんだ?!』…と、ジロリッ… とにらむ。
「……」
まぁ… 仕方ないか… 実の兄上には、さすがに勝てないな…? それに僕はまたしても、ミスを犯したから!
確かに今はダメだけど… でも僕は必ずルドヴィク卿よりも、ミレイユに頼られる存在になってみせるよ!
ミレイユの温もりがふんわりと残る、自分の腕をなでながら… クレマンはもう一つ、新たな目標を自分の心に追加した。
「まずは、事情をお聞きしたいので、お2人とも、ご同行願います」
「はい、お願いします… さぁミレイユ行こう?」
早くここからミレイユを連れ出したい!
クレマンは暗がりで転がる、自分が殴って気絶させ男をチラリと見た。
「…ク… クレマン…」
「さっき他の騎士が、ご両親を呼んでくれると言っていたから、すぐに会えるよ?」
怯えて泣きじゃくるミレイユをなだめながら、クレマンは騎士の指示にしたがい、王宮内にある騎士たちの待機場所へと向かった。
「……」
転んで汚れてしまったドレス姿のミレイユが… これ以上、人の目にさらされないだけでも良かった! 美しく整えていた髪も、クシャクシャだし、頬も涙で濡れている…! せっかく可愛くおしゃれをして来たのに、かわいそうに…! いったい、ミレイユを襲ったあの男は誰なんだ?!
クレマンたちを誘導する騎士が、人の目を避けて建物の外から、ぐるりと回って進んでくれるのがありがたい。
「ご… ごめんなさい、クレマン… 私があなたの言うとおり、扉の前で待っていれば、こんな大騒ぎにはならなかったのに…!」
「ミレイユは何も悪くないよ? 悪いのは、あの男なんだから…! それに、疲れ果てていた君を、1人にした僕が1番悪いんだよ?」
また僕が醜聞の中心になってしまったから! ミレイユを巻き込んで、注目を浴びた。
だから、ミレイユが人の目を避けたいと思うのは当然なんだ! 僕の配慮が欠けていたから、こんな騒ぎが起きた!
「クレマン…」
「君のご両親もすぐに来てくれるから… ファーロウ邸に帰れるよ?」
「ク… クレマンはどうするの?」
「僕は王宮警備をしている騎士たちに、事情を説明しないといけないし… このまま残ることになると思う」
まだ、相手が誰かはわからないけれど…? ミレイユが襲われる姿を見て、僕はカッ… となり、相手が気絶するまで殴ってしまった。
だから今は、この状況をしっかり説明しないと… 最悪の場合、僕は暴行した罪を、問われるかもしれない!
「私も… 私も残って説明するわ?! 私が悪いのに…!」
ぶるぶると華奢な身体を震わせながら、ギュッ… とクレマンの腕にしがみつきミレイユは訴える。
「大丈夫だよ、ミレイユ… 僕が全部、説明するからね? 僕でたりない時は明日にしてもらうよう、頼んでみるから… ね?」
今にもミレイユは、倒れてしまうのではないかと思うほど、動揺していて… 限界に見える。
それに出来るだけ、ミレイユの名前が出ないようにしないと… もっとミレイユを傷つけてしまう! そうならないよう、僕がしっかり守るんだ!!
婚約者のミレイユを、自分が守らなければならないという、強い思いが… 不思議なほどクレマンの頭を冷静にし、落ち着いていられた。
2人が騎士たちの待機所まで来ると… ミレイユの兄ルドヴィクが、同僚の騎士から報告を受け待っていた。
王宮警備で巡回していた騎士も、クレマンたちを待機所まで案内した騎士も、兄ルドヴィクと同じ王立騎士団の騎士なのだ。
「ミレイユ!! 大丈夫か?!」
「お… お兄様!!」
クレマンの腕にしがみついていたミレイユは… ふたたびワッ… と泣きながら、クレマンの腕を放し、兄ルドヴィクの胸に飛び込んだ。
「よしよし… ミレイユ可愛そうに! 怖い目にあったな…?!」
ミレイユの兄ルドヴィクはミレイユを抱きしめ、優しい声でなだめる。
だが、するどい視線をクレマンに向け、『お前は何をしていたんだ?!』…と、ジロリッ… とにらむ。
「……」
まぁ… 仕方ないか… 実の兄上には、さすがに勝てないな…? それに僕はまたしても、ミスを犯したから!
確かに今はダメだけど… でも僕は必ずルドヴィク卿よりも、ミレイユに頼られる存在になってみせるよ!
ミレイユの温もりがふんわりと残る、自分の腕をなでながら… クレマンはもう一つ、新たな目標を自分の心に追加した。
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